ボルボEX30の2モーターモデルに試乗してわかった、1モーターモデル、クロスカントリーとの違い | クルマ 【BE-PAL】キャンプ、アウトドア、自然派生活の情報源ビーパル

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2026.03.13

ボルボEX30の2モーターモデルに試乗してわかった、1モーターモデル、クロスカントリーとの違い

ボルボEX30の2モーターモデルに試乗してわかった、1モーターモデル、クロスカントリーとの違い
ボルボEX30の新モデル「ツインモーターパフォーマンス」に新潟で試乗してきました。
2024年の登場時からEX30を高く評価してきた日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員(BE-PAL選出)の金子浩久が、気づいた点を報告します。

EX30で用意されている5モデルの違いとは?

ボルボのEV(電気自動車)「EX30」がバリエーションを5モデルにまで増やしました。EX30には、2024年の登場時から乗っており、高く評価してきたことはBE-PAL.NETでも以下のようにアップしています。

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試乗レビュー。大雪の中で電気自動車「ボルボEX30」はどのように走ったのか?

5モデルは、モーターの数とバッテリーの容量の違い、インテリア素材や装備などの違いが組み合わされた4モデルがあり、加えてオフロードも見据えた「クロスカントリー」があります。

ベーシックな「プラス シングル モーター」(WLTCモードでの航続距離390km)、バッテリー容量を69kWhに増やした「プラス シングル モーター エクステンデッド レンジ」(同560km)、航続距離は変わらずインテリアや装備などの異なるこれまでの「ウルトラ シングル モーター エクステンデッド レンジ」などに、この「ウルトラ ツイン モーター パフォーマンス」(同535km)と「クロス カントリー ウルトラ ツイン モーター パフォーマンス」(同500km)で合計5モデル。

モーター1基が3モデル、2基が2モデル。2モデルのうち「EX30クロスカントリー」についても、すでにこちらで報告しています。

ボルボのオフロード向きEX30 クロスカントリーを長距離試乗してわかったEX30との違い

ツイン モーター パフォーマンスの特徴

そして、今回、新潟の上越妙高周辺で試乗したのがもう一つの2モーター搭載モデル「EX30 ツインモーターパフォーマンス」というわけです。

フロントに最高出力156馬力、リアに272馬力のモーターを搭載しています。出力特性は「クロスカントリー」と同じです。

「クロス カントリー」の特徴は、オフロード走行に備えてサスペンションのセッティングが変更されていることと、そのために最低地上高が20ミリ上げられていることです。つまり、「クロス カントリー」がオフロード指向だとするならば、「ツイン モーター パフォーマンス」はオンロード指向というわけです。全長4235x全幅1835x全高1550(ミリ)と大きくはないので、日常的にも扱いやすい寸法です。

EX30はEVらしい滑らかで静かな走りやADAS(運転支援機能)の使いやすさだけでなく、ミニマルな造形のインテリアが魅力的です。リサイクル素材や再生可能材などをたくさん用いたボルボらしい取り組みもうかがえます。

後席に腰掛けても窮屈さは感じません。ただ、ここに大人が3人座るとなるとキツくなるでしょうね。

これまでのEX30と同じく優れたドライバーインターフェイス

多くの機能を備えていますが、それらに気押されることのない優れたドライバーインターフェイスがEX30の長所の一つとなっています。それらは「ツインモーターパフォーマンス」でも変わりません。

Googleアシスタント、マップ、ストアなどのアプリも、あらかじめインストールされています。より正確で使いやすいナビゲーションやさまざまなインフォテインメントによる車内時間の充実などに効果を発揮します。音声入力による操作を加えると、より使いやすくなるはずです。音声入力はもっと普及して良いと思っています。

上越妙高駅周辺の雪のない道路を走り始めると、ツインモーターは他のモデルと変わらず静かに滑らかに加速していきます。ワンペダルドライブは「高・低・OFF」の3つから選べるので、信号や渋滞などで発進と停止が繰り返される街中では、「高」を選んで走ると右足の踏み戻しだけで加減速して走れるので便利です。

街から外れて郊外や峠の方に向かっていくと信号も少なくなり、停止することもなく一定の速度を保って走っていくことができます。

OFFを選べば、回生による走行抵抗と過大な姿勢変化などがなくなるのでスムーズに進み続けていきます。EVを運転する時には、ワンペダルドライブ(=回生)の強弱を走行状況に合わせながら変えていくことが大切になっていきます。

走行モードは、「レンジ」「標準」「パフォーマンス」の3種類。レンジというのは他のクルマだったら、「ECO」と称されることが多いモード。アクセルペダルに対する反応が穏やかになります。パフォーマンスはその反対で、敏感です。標準は、その中間。

そして、クロスカントリーとともにこのクルマが他のシングルモーターの3モデルとの最大の違いとなっているのは、フロントのモーターも駆動しての4輪駆動です。

つねに4輪が駆動されるのはパフォーマンスモードを選んだ場合のみです。他のモードでは、急加速時などの状況変化があったとクルマが判断した場合だけです。

山道で試乗してみた感想は?

空いた山道で、パフォーマンスモードに切り替えてみました。4輪が駆動されると、ハンドルを通じてそれが体感できました。

他モードでのリアモーター駆動時にフロントタイヤと駆動系を通じて伝わってくる走行中の大小さまざまなショックや振動などの多くが、フロントモーターの回転による微振動が上書きするようです。これは独特な感覚です。動きが整ってくる感じを受けます。コーナリングも安定度合いを少し高めます。

そして、1基のモーターをリアに搭載する「プラスシングルモーター」よりも加速が鋭くとても速いですが、「プラスシングルモーター」も遅いわけではなく、日常的な交通状況下では速いのです。

停止状態から最大トルクが発生するというモーターの特性が顕著に現われるから、信号からの発進や街中での中間加速などでは並のエンジン車よりも速いくらいです。ちなみに、カタログデータでの「プラスシングルモーター」の0-100km/h加速が5.7秒。「ツインモーターパフォーマンス」は3.6秒。ポルシェ 911カレラSとカレラ4Sが3.5秒だから、いかに速いかがわかります。

このツインモーターパフォーマンスの乗り心地は硬派なエンジン車のようにガチガチに足回りが固められていたりするわけではなく、誰にでも構わずデイリーユースできるものです。クロスカントリーとの運転感覚の違いはそれほど大きなものではありません。

パフォーマンスモードの運転感覚はとても速く上質と評価できますが、その分の電費は確実に悪化することが予想できます。

税込価格は「プラス シングル モーター」が479万円、「プラス シングル モーター エクステンデッド レンジ」が539万円、「ウルトラ シングル モーター エクステンデッド レンジ」が579万円、この「ウルトラ ツイン モーター パフォーマンス」が629万円、「クロスカントリー ウルトラ ツイン モーター パフォーマンス」が649万円。

中高速域での加速の違いとパフォーマンスモードでの運転感覚の違いなどがシングルモーターとツインモーターの大きな違いですが、それらにどれだけ価値を見出せるか? 僕だったら「プラス シング ルモーター」を選びます。気持ちと予算に余裕があったら「クロスカントリー」か。

と、ここまでは事前に予想できた展開でした。そこに、これまで体験したことがなかったことが起こりました。

これまで体験したことがないデジタル化による進化

ステアリングヒーターとシートヒーターにAUTOモードが備わっていて、車内温度に応じてヒーターをONにし、自動的に強弱を付けてくれるのです。便利で、心地よいものでした。エアコンではなく、ステアリングとシートのヒーターを使うことで電費も向上できるはずですから好都合です。

EX30には備わっていませんが、他メーカーの一部のEVには回生ブレーキにもAUTOモードが選べるようになってきました。ヒーターにもAUTOモードが用意され、EVの“AUTO化”が進んでいるのです。

さらに驚きがもうひとつありました。ヒーターのAUTOモードについてボルボカーズジャパンの広報部に確かめたところ、「OTA(Over The Air、無線通信を利用した送受信)で追加された」とのこと。知らなかっただけかもしれませんが、OTAによる機能追加を初めて体験しました。

これまでもEX30に存在していたステアリングとシートのヒーターに新たにAUTOモードを追加することは、物理的なスイッチなどを追加しなくても、ソフトウェアを書き換えることで実現されました。その書き換えもOTAによるものだったら、簡単にできました。金型を変えて物理スイッチを追加しなければならなかった往時との隔世の感があります。

金子浩久の結論: EX30には物理スイッチが2つ(左右ウインドの上下)しかなく、それ以外の操作をセンターディスプレイパネルに集約されています。その理由は単なるデザイン的なミニマリズムの追求だけでなく、OTAへの備えだったのだと合点がいった次第です。ここにも、最近のクルマのデジタル化による変化と進化の大きさが現われていました。

金子 浩久さん

自動車ライター

日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員(BE-PAL選出)。1961年東京都生まれ。趣味は、シーカヤックとバックカントリースキー。1台のクルマを長く乗り続けている人を訪ねるインタビュールポ「10年10万kmストーリー」がライフワーク。webと雑誌連載のほか、『レクサスのジレンマ』『ユーラシア横断1万5000キロ』ほか著書多数。構成を担当した涌井清春『クラシックカー屋一代記』(集英社新書)が好評発売中。

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