スバルの新型クロストレックはトヨタ式の最強ハイブリッド!泥まみれで4WD性能をチェックしてきた | 試乗記 【BE-PAL】キャンプ、アウトドア、自然派生活の情報源ビーパル

試乗記

2024.10.17

スバルの新型クロストレックはトヨタ式の最強ハイブリッド!泥まみれで4WD性能をチェックしてきた

スバルの新型クロストレックはトヨタ式の最強ハイブリッド!泥まみれで4WD性能をチェックしてきた
日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員(BE-PAL選出)の金子浩久が、スバルの新型クロストレック(旧・XV)に乗ってきました。

「クロストレック ストロングハイブリッド」という名前で、現行モデルより排気量アップの2.5リットル水平対向エンジンに、トヨタ方式の2モーター式ハイブリッドシステムを搭載しています。スバルの売りである「水平対向エンジン」「左右対称レイアウト」「AWD(4WD)」は踏襲しつつ、ダウンサイジング潮流の「逆張り」で大幅にパワーアップした新クロストレック。その魅力と気になった点をリポートします。

外観はいまのモデルとほぼ同じ、だがしかし!

スバル クロストレック

 スバルのクロストレックに追加される「クロストレック ストロングハイブリッド」(以下ストロングハイブリッド)のプロトタイプに試乗しました。

スバル クロストレック

 プロトタイプといっても、ナンバープレートが装着されていないぐらいしか市販版と違うところが見当たらないほど完成された状態でした。18インチホイールやエンブレムなどが専用の装備だそうです。

スバル クロストレック

 場所は、富士山麓の「イエティ・スノーパーク」。以前の「日本ランドスキー場」ですね。夏のスキー場ですから他にお客さんはいませんが、フェンスに幕を張って外から見えないようにしていました。そんなことをしなくとも、新型ストロングハイブリッドは現行型のクロストレックと外観は変わりませんから、見分けが付く人はいないでしょう。

「日本初スキーの地」は、新潟ではなく富士山麓?

スキー発祥の地

 レストラン棟に入ってすぐに興味深い展示がありました。題して「日本初スキーの地」。日本初スキーの地は、ヨーロッパの軍人であるレルヒ少佐が明治時代に日本陸軍を指導した新潟ではありませんでしたっけ?

 中学校で習って以来ずっとそう憶えてきたので意外でした。エビデンスもいくつも挙げられていたので、そうなのかもしれません。

大排気量エンジン+強力なモーターで走りはどうなった?

スバル クロストレック

 缶酎ハイのようにストロングハイブリッドと呼んでいるのは、トヨタが自ら開発してプリウスを始めとした様々なクルマに採用している「THS」システムのことを指しています。

 現行型の「クロストレック e-BOXER」が2.0リッター水平対向エンジンに最大トルク65Nmのモーターを組み合わせたマイルドハイブリッド方式を採用しているのに対して、クロストレック ストロングハイブリッドは2.5リッターエンジンに最大トルク270Nmのモーターを組み合わせています。

スバル クロストレック

 クロストレックに2.5リッターもの排気量の4気筒エンジンを組み合わせているのは、すでにアメリカで発売され、日本でも2025年の登場が予想されている「フォレスター」に搭載されているからでしょう。

 共用することによって効率化を図ることが目的なのでしょうが、2.5リッターもの大排気量エンジンに強力なモーターまで組み合わされるわけですから、クロストレックのボディには過剰なように、乗る前には思われました。

加速が強力すぎる!オーバースペックか?

スバル クロストレック

 案の定、舗装された駐車場で加速してみると強力な加速を示します。でも、フェンスが迫ってくるので、すぐにブレーキです。

スバル クロストレック

「イエティ・スノーパーク」の駐車場内のテストコースで加速をチェック。

 これが高速道路であったなら、そのまま中高速域での加速の伸びなどドライバビリティを試せたのですが、狭く、短い距離を多くのクルマとともにせわしなく走ったので、最後のところまではわかりませんでした。

 本来はリアルワールドでの長距離走行を得意とするはずのスバルの長所を感じられなかったかもしれないので残念でした。

その後、スキー場内の試乗コースで登攀性能をチェック。

最後に泥濘路面で4WDの走行性能をチェックした。

スバル クロストレック

ぬかるみの中をグイグイ進むクロストレック。

スバル クロストレック

車体を下から見上げた図。前後輪をドライブシャフト(矢印の黒い軸)でつなぐ、スバル伝統の機械式4WDシステム。機械的なつながりによってすべての車輪に大きなトルクを伝達できるのが長所。近年ふえている電動式4WDは、雪道でのスリップ時に後輪がスリップしてから駆動を伝えるため前後輪の回転バランスが崩れるが、機械式4WDではその欠点がない。

現行型e-BOXERはかなりバランスが良い

スバル クロストレック

 演出なのかもしれませんが、駐車場ではエンジン音が大きめに聞こえました。演出ではなかったとしても、大きめのエンジン音は抑えるべきでしょう。意味がありません。大きな音をスポーティだとか、高性能の象徴のように扱うのは幼稚なことです。

 その点で、マイルドハイブリッド方式の現行型e-BOXERのバランスの良さが再確認できました。ストロングハイブリッドほどのパワーはありませんが、かえってスバルが常套句にしている「意のままにクルマを操る」感じが顕になっていました。

スバル クロストレック

荷室には100V電源が付いている。キャンプのときにもこれは便利!

スバル クロストレック

 クロストレック全体の美点のひとつは、「XV」時代から適正なボディサイズと形状を守り続けていることです。やや装飾過剰なところもありますが、車高を上げたり、前後長を伸ばしたりしていないのはスバルの良心でしょう。

気になった点

スバル クロストレック

 不満点も短い試乗中にありました。

EV走行モードが選べない

スバル クロストレック

 ひとつは、電気だけで走るEVモードに切り替えられなかったことです。開発スタッフに確認すると、「充電量が不足しているから」とのことでした。これがリアルライフでも頻発するようでしたら、もしかすると実生活ではストロングハイブリッドのメリットを享受しにくく、使いにくいのかもしれません。いずれにしても、ナンバー付きのものをある程度の時間と距離を乗ってみないとわかりません。

スバル クロストレック

充電優先モードが選べない

スバル クロストレック

 もうひとつは、充電を最大限に行なう走行モードが設けられていない点です。例えば、深夜や翌早朝に出発することが予定されているキャンプサイトに向かう途中で充電量が少ない場合に、事前に走行中に十分な量の充電を行なえるようプログラミングされたモードのことです。これがあると、自然の静寂の中でエンジンノイズを響き渡らせることなく、電気の力だけで無音で立ち去ることができるのです。

 ストロングハイブリッド方式なのですから、充電やEVモードに関して柔軟性があって然るべきでしょう。

最新運転支援機能「アイサイトX」はぜひ装着すべし

スバル クロストレック

 試すことはできませんでしたが、試さなくても優秀性がわかっている「アイサイトX」は依然として高水準な運転支援機能です。渋滞時ハンズオフやレーンチェンジアシストが可能なので、遠くのフィールドに出掛けるための長距離走行でドライバーの負担を確実に軽減してくれます。オプションですが、その効果は十分以上にあるので強く装着を勧めます。

スバル クロストレック

 繰り返しになりますが、限られた場所と時間による試乗だったので、その良さも限定的にしか伝えられなかったことをご容赦ください。いつか長距離を走った時には、その報告は必ずいたしますので。

金子浩久

金子 浩久さん

自動車ライター

日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員(BE-PAL選出)。1961年東京都生まれ。趣味は、シーカヤックとバックカントリースキー。1台のクルマを長く乗り続けている人を訪ねるインタビュールポ「10年10万kmストーリー」がライフワーク。webと雑誌連載のほか、『レクサスのジレンマ』『ユーラシア横断1万5000キロ』ほか著書多数。構成を担当した涌井清春『クラシックカー屋一代記』(集英社新書)が好評発売中。

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