キャンプ場と公道で「デリカミニ」に試乗。よかった点と気になった5点 | 試乗記 【BE-PAL】キャンプ、アウトドア、自然派生活の情報源ビーパル
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    2023.07.05

    キャンプ場と公道で「デリカミニ」に試乗。よかった点と気になった5点

    日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員の金子浩久が、新型の三菱「デリカミニ」をキャンプ場と公道でチェックしてきました。三菱といえば、ラリーで鍛えた4輪駆動制御技術を誇るメーカーです。一方で、軽四駆から軽EVまで独自の軽自動車を開発してきた軽自動車メーカーでもあります。荷物がたっぷり詰めそうなスーパーハイトワゴン×4WDの新型車は、はたしてどんな仕上がりになっているのでしょうか?

    デリカミニ

    デリカD:5の遺伝子を受け継ぐスーパーハイトワゴン

    三菱自動車が新発売した軽自動車「デリカミニ」に、メディア向け試乗会で乗ってきました。千葉県のキャンプ場を会場として、その周辺と一般道を約1時間走る試乗コースです。

    デリカミニの荷室

    デリカミニは、軽自動車の中でもスーパーハイトワゴンと呼ばれる種類に属しています。車高のとても高い箱形のクルマです。

    三菱自動車には、「デリカD:5」というミニバンがあります。このデリカD:5が本格的な4輪駆動システムを備えていて、実際に走らせても悪路走破力は格別に高く、唯一無二の存在なので三菱らしい個性派モデルとして歴代モデルが高い人気を集めています。

    デリカミニは、その名前とイメージにあやかろうというわけです。

    軽4WDの価格はもはやコンパクトSUV並み

    デリカミニには4輪駆動だけでなく、前輪駆動版もあります。トランスミッションはCVT1種類ですが、660ccのエンジンはNA(自然吸気)とターボの2種類。装備の違いによるグレードも4つあるので、合計8モデル。車両本体価格は、1804000円から2238500円。

    デリカミニ

    試乗した4WD版の「T Premium」の税込み車両価格は2238500円ですが、サンシャインオレンジメタリックというボディカラーやアダプティブLEDヘッドライトなどがメーカーオプションとして装着されていて、それらの合計額が159500円。

    デリカミニのインパネ

    さらに、ナビとETCとドライブレコーダー、サイドデカール、フロアマット、その他などのディーラーオプション432520円分も加えられて、合計金額が283520円にも上ります。

    最近の食品や各種エネルギー代金だけでなく、クルマの価格も上がっているのです。

    車高の高さからすると意外なほどの走行安定性

    デリカミニの右前方視界

    会場から一般道に出て、すぐに好印象を得ました。車高の高い大きな“箱”なので、落ち着きのない動きをするのではないかと想像していたのですが、意外や意外、違っていました。

    舗装のつなぎ目や小さな段差などを乗り越えたり、交差点でハンドルを切ってもピョコピョコ動くようにも感じられず、ボディは落ち着きながらタイヤだけが上下動している感じです。

    165/60R15という大径サイズのタイヤと専用ショックアブソーバーの効能を確認することができました。

    「デリカミニはオフロードをガンガン走るクルマではありませんが、安心感を感じられるものにしました」と、三菱の開発担当者が語っていたとおりの乗り心地といえます。

    デリカミニのスピードメーター

    試乗してみてちょっと気になった点

    しかし、スーパーハイトワゴンと称する軽自動車すべてが抱える課題をデリカミニも抱えていました。

    1 左右の死角

    デリカミニの助手席側の窓

    前方の視界は良いのです。でも、運転席と助手席両ドアの下半分から地面までが完全に死角に入ってしまっている。まったく認識できない。特に細い道での方向転換や、駐車時に神経を使う。これでは、小さなサイズのクルマに乗っているメリットを感じません。

    2 運転席が高すぎる

    デリカミニ

    課題その2として、高さのあるボディの高めの位置に座って運転していることの不安定感がやはり無視できませんでした。舗装路を流れに添いながら走る分には問題ありませんが、未舗装で少し凹凸が連続する農道を走ってみたら、つねに前後左右にボディが揺さぶられ、不安定感が一気に出てきました。

    横転こそしないでしょうが、気持ち良いものではありません。強健さが売りの「デリカ」を名乗るのに、これでは心許ないですね。

    3 ヘッドライトのデザイン

    デリカミニのヘッドライト

    テレビCMでも訴求している上部が切られたリング状のヘッドライトのデザインアイデアは、どう見ても先に出たイギリスの某オフローダーとそっくりです。

    「デリカ」という名前をセルフサンプリングしているのだから、ヘッドライトも含めたフロント部分のデザインもデリカD:5もしくはこれまでのデリカシリーズをイメージできるものでないとチグハグですね。企画と意匠がバラバラ。

    4 全車標準装備のグリップコントロールとヒルディセントコントロール

    デリカミニ

    グリップコントロールやヒルディセントコントロールなどのオフロード用の電子制御機能の真価は試せませんでしたが、積雪地域を除けば、そもそもオーナーとなる人は、それらを必要とするような過酷な道にこのクルマを乗り入れるのでしょうか?

    5 マジメすぎるにもほどがある内装

    インテリアやシートなどは、最近の三菱の軽自動車と変わらない黒・グレー一色のオーソドックスなもの。普通過ぎ、マジメ過ぎ。

    シートは撥水シート生地ではあるものの、シートを外せるとか丸洗いできるとか、アウトドアアクティビティを楽しんでいるユーザーの実際に役立つように仕上げられていたら、他の軽自動車との大きな違いを出せたのに、と思います。ちょうど、デリカ:D5が他のミニバンとは違った孤高の存在として輝いているようにです。

    新生パジェロミニもあるのか…?

    デリカミニのエンジン

    デリカミニは、オフロードドライビングの雰囲気を楽しむ軽自動車です。雰囲気だけではない現代版「パジェロミニ」の登場も待ちたいですね。

    金子浩久
    私が書きました!
    自動車ライター
    金子浩久
    日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員(BE-PAL選出)。1961年東京都生まれ。趣味は、シーカヤックとバックカントリースキー。1台のクルマを長く乗り続けている人を訪ねるインタビュールポ「10年10万kmストーリー」がライフワーク。webと雑誌連載のほか、『レクサスのジレンマ』『ユーラシア横断1万5000キロ』ほか著書多数。構成を担当した涌井清春『クラシックカー屋一代記』(集英社新書)が好評発売中。https://www.kaneko-hirohisa.com/

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