
先代から未舗装路の走行性能には評価が高かったキャプチャーの進化版。走行性能から運転支援装備、価格や内装まで、日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員(BE-PAL選出)の金子浩久が長距離走行でチェックしてきました。
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未舗装路の乗り心地が抜群でキャンプに最適

マイナーチェンジされたルノーのコンパクトSUV「キャプチャー」で、横浜と愛知県を往復して650kmあまり試乗してきました。
先代キャプチャーには、とても高い評価を下していました。郊外の林の中の未舗装路での乗り心地がとても良かったのです。土の路面の上の緩やかな凹凸や石などをサスペンションが柔軟に上下動して巧みに吸収して、姿勢変化も穏やかで、快適に走っていました。アスファルトのように平滑な路面ならば驚きませんが、キャンプやピクニックなどをするような、踏み固められた土の路面だったので、その能力にビックリさせられてしまったのです。
新型キャプチャーのパワートレインは、1.3リッター4気筒ターボエンジンとモーターを組み合わせたマイルドハイブリッド(MHEV)です。

最高出力158馬力、最大トルク270Nmのエンジンに同5馬力と同19.2Nmのモーターが組み合わされ、前輪を駆動します。

グレード名の「エスプリ ハイブリッド」は、エスプリ(精神・心・天分)の名の通り(スポーツカーの)“アルピーヌの精神”を纏ったスポーティ版という意味です。

税込価格409万円。特徴は専用デザインの19インチホイールやエンブレムやシートの刺繍など。

先代モデルとの外観上の大きな違いは、フロントグリルやヘッドライトなどになります。だいぶ印象が変わりました。

シートの座り心地や高速安定性がすばらしい!

先代から引き継いだ二つ目の美点はシートです。前後のシートは見た目通りにクッション性が良く、走り続けてもホールド性が失われず、心地良く身体を支えてくれました。
発進の際にマイルドハイブリッドのモーターがエンジンをアシストしていますが、体感上はミニマムなものでした。

懸念していた19インチタイヤの乗り心地は硬めですが、許容範囲内です。60km/hぐらいまでのタイヤからのゴーッというノイズが大きめです。
しかし、興味深いことにそこから上の速度域ではノイズの音量増加は穏やかで、耳馴染みも悪くなくなります。
踏み固められた未舗装路やアスファルト舗装が荒れている舗装路などを通過する時の姿勢の乱れが少なく優れています。凸凹路面でも走行が乱されません。ショックもうまく吸収しています。先代から継承している美点です。
新東名でクルーズコントロール機能をチェック

東名高速に乗ってしばらくして、一定のペースで走れるようになると、インテリアの操作系統が気になってきます。センターモニターパネルが縦型になり、サイズも大きくなりました。すべてをスイッチをパネル内のタッチで行うのではなく、エアコン操作やハザード、ドアロックなどは物理スイッチが設けられています。
東名高速から新東名高速に入る頃には周囲を走るクルマも少なくなり、車線も3車線に増え、最高速度120km/hに上がって巡航しやすくなります。先はまだまだ長いので、運転支援機能の出番となります。
新型キャプチャーの運転支援機能は、ACC(アダプティブクルーズコントロール)とLKAS(レーンキープアシスト)が備わっています。作動させる時には、これらふたつを同時に働かせる「アクティブアシスト」、ACCだけ、スピードリミッターだけの3つをそれぞれ切り替えて働かせられます。

操作は、ハンドル上の左側のボタンで行います。3つを切り替えられるのは便利なのですが、切り替えるたびに機能全体が待機状態に入ってしまい、改めてアクティベイトさせなければならない手間が増えるのが使いにくかった。要改善点です。
気になった点

また、愛知県までの長距離と翌日の横浜までの復路を走ってわかったのがLKASの設定の特性でした。
LKASは車線から逸脱しようとするとハンドルをクルマが回してアシストしてくれる機能ですが、車線の中心部ではなく左寄りを走るように設定されていました。
左車線に他のクルマが走っている場合などに、近寄り過ぎないために手で回して微調整が必要になります。特に左カーブでは強く感じました。
アシストに抗って右にハンドルを切ろうとすると、アシストが抵抗となってハンドルがわずかに重くなってきます。ACCだけを働かせ、LKASは働かさせない方が運転しやすいことがわかりました。短い試乗時間では、とてもそこまで試し切れないので、今回は貴重な成果を得られました。

操作性に関して、もうひとつ気付いたのは音楽ソースのボリュームとモード切り替えスイッチがハンドル裏のレバーに集中していて使いにくいことです。実際に購入してオーナーとなって一度使えば忘れないでしょうが、最初の数時間はどこにあるのかわからなかったほどです。

最新の縦型パネルと、最近ではあまり見なくなりつつあるレバー式が混在していました。 横浜から愛知を往復して657km走り、総合燃費は16.2km/l。走行性能の高さと併せて、優秀な値です。
金子浩久の結論:未舗装路・高速道での走行快適性が高い本格派のコンパクトSUV

最大の長所は、長距離や路面の良くないところなどでの走行快適性が高いことです。コンパクトSUVだと、街乗り中心のクルマと思われがちですが、そうではなく高速道路でも未舗装路でも心地よい走りっぷりが発揮されていて守備範囲がとても広い。懐深いところは先代の最大の長所でしたが、それを引き継いで発展させています。長距離を一人で運転しても疲れが少ないことも大いに実感できました。
