トヨタとスバルの新4WD EV「bZ4X」「ソルテラ」を250km試乗 | 試乗記 【BE-PAL】キャンプ、アウトドア、自然派生活の情報源ビーパル

トヨタとスバルの新4WD EV「bZ4X」「ソルテラ」を250km試乗

2022.06.25

金子浩久とスバル「ソルテラ」

話題の電気自動車を250km徹底試乗

トヨタとスバルの本格EV(電気自動車)に、併せて公道で250km以上運転してきた。

トヨタの「bZ4X」(ビジーフォーエックス)とスバル「ソルテラ」。両方とも、冬にプロトタイプに短時間乗る機会があったが、公道で乗るのは初めてだ。

トヨタ「bZ4X」とスバル「ソルテラ」。金沢駅前にて

金沢駅前から試乗をスタート。250km先の軽井沢を目指した。

成り立ちを簡単に説明しておくと、EV用プラットフォーム「e-TNGA」を活用したSUV型のボディの床下にバッテリーを配置し、前後1基(出力109ps)ずつ2基のモーター(出力218ps)を搭載し4輪を駆動する4WD版と、1基のモーター(出力204ps)で前輪を駆動する2WD版の2車種が用意されている。試乗したのは、どちらも4WD版。

EVで気になる満充電あたりの航続距離は、4WD版が540km、2WD版が559km(WLTCモード)。

都市部在住で、自宅や職場で夜間に充電できるならば十分な距離だろう。電気がカラになる前に、必ず人間の方が先に根を上げますから。カタログ上の走行可能距離は、あくまでも目安と考えておいた方が良い。

トヨタの「bZ4X」(ビジーフォーエックス)

トヨタ「bZ4X」(ビジーフォーエックス)。

スバル「ソルテラ」。

スバル「ソルテラ」。

トヨタとSUBARUは4WDの仕組みが異なる 

2台は兄弟車だが、違いもある。走行モードの違い、パドルシフトの有無、4輪駆動版での駆動力制御も違う。「bZ4X」が駆動力を必要としない場合には前輪にのみ駆動力が伝えられるのに対して、「ソルテラ」では常時、4輪に伝えられる。悪路や雪道、凍結路などでは確実なグリップが期待できるが、燃費(電費)では「bZ4X」の方が有利になるはずだ。

トヨタ「bZ4X」のコックピット

トヨタ「bZ4X」。

スバル「ソルテラ」のコックピット

スバル「ソルテラ」。

装備でも違いがある。最も大きな違いは暖房だ。「bZ4X」が従来型のエアコンとシートヒーター、ステアリングヒーターなどに加え、運転席と助手席の足元に新開発の輻射ヒーターを使っている。それに対して、「ソルテラ」は従来型のシートヒートを大型化し、なおかつ後席にも標準装備している点が異なる。

輻射ヒーターはスイッチオンしてすぐに暖まると同時に、消費電力を従来型のエアコンの10分の1にまで抑えることができる。エアコンの熱風を吹き出すと車内が乾燥するので、「bZ4X」のこの輻射ヒーターは歓迎されるだろう。

ソーラーパネルで充電ができる!

両車にオプション設定されているものに、ルーフのソーラーパネル充電がある。屋外に駐停車していたり、走行中でも(!)太陽光で充電できる。

トヨタは先代「プリウスPHV」からこの装置をオプション装備化し、現行型ではそれをアップデイトし、さらにこの「bZ4X」と「ソルテラ」では性能を上げてきた。トヨタのシミュレーションによれば、名古屋の平均日照時間をもとにすると1年間で1750kmも走行可能な電力を蓄えることができる。太陽光線を浴びているだけで充電できるなんて、走行エネルギーを自給自足できるクルマだ。なんて夢のある技術なのだろう! 開発を進めて、さらに距離を伸ばしてもらいたい。

ただし、試乗後に開発者氏に聞いたら、ソルテラ用のソーラー充電オプションは今年度分はソールドアウトしてしまったとのことだった。もったいない。

メーターパネルが小さい理由とは

最初にハンドルを握ったのは「ソルテラ」。EVはエンジン車と違って、ペダルを少し踏んだだけで力強く滑らかに発進するのが心地良い。「ソルテラ」もその例外ではなく、3名乗車で軽やかに金沢の町に走り出た。

スバル「ソルテラ」

「ソルテラ」も「bZ4X」も、特徴的なメーターパネルを装備している。小さなメーターパネルを奥に配している。その狙いを開発者氏は「視線移動量を減らし、“先進イメージ”を作るため」と説明していたが、その効果のほどは明確には掴めなかった。

それよりも、高速道路でACC(アダプティブクルーズコントロール)やLKA(レーンキーピングアシスト)などを働かさせても、それを大きく表示することができないところが弱点となっていた。

トヨタ「「bZ4X」のメーターパネル。

トヨタ「「bZ4X」のメーターパネル。

スバル「ソルテラ」のメーターパネル。

スバル「ソルテラ」のメーターパネル。

気になった点

一般道でも高速道路でも、もう一つ気になったのは路面からのショックやノイズ。それらをサスペンションが吸収し切れておらず、運転席よりも後席のカメラマンが音を上げていた。

スバル「ソルテラ」

音を上げたことはもう一つあって、「ソルテラ」を走らせていた約3時間の間、エアコンが効かずに好天が災いして車内が暑くなり、汗まで掻いてしまって大いに困った。3名総出で、効かないエアコンをアアでもないコウでもないと操作し尽くし、温度表示を「18℃」や「LO]などに下げ切っても、冷気は一度も出てこなかった。

スバル「ソルテラ」のエアコン操作パネル。

スバル「ソルテラ」のエアコン操作パネル。

いまどき、新車でエアコンが効かないなどとは考えられないので、何かの不具合や検査漏れなどが不幸にしてこの試乗車だけに織り込まれてしまったとしか思えない。

さいわいなことに、「PCやスマホみたいにリスタートや再起動させれば正常になるかもしれませんね」と諦め半分で昼食後に走り出したら、冷蔵庫の扉を開けたようなキンキンの冷気が出てきた。車内サウナ化は避けられたが、ソルテラのエアコンのスイッチ類の表示や配置がわかりにくかったことも付け加えておきたい。

乗り味も異なる「bZ4X」と「ソルテラ」

高速道路のパーキングエリアに設置された充電器での高速充電のペースが遅かったので、しばらく走った松本市内の日産の販売店で充電した。90kWの充電能力を持つ充電器だったこともあり、ペース良く充電し、「bZ4X」に乗り換えた。

トヨタ「bZ4X」。

トヨタ「bZ4X」。

「ソルテラ」と較べると、「bZ4X」の乗り心地の方がややマイルドに感じた。ただ、ショックとノイズを遮断し切れていない点は変わらなかった。

また、「bZ4X」の方がホンの少しだけ乗りやすさと素直さを感じたのは、モーターからのチカラの出方がナチュラルだったことだ。

モーターは停止から走り出す時にから最大トルクを発揮する特性を有しているので、それを活用して強烈な加速をことさら訴求するEVも少なくない。エンジン車との違いがわかりやすいからだ。

しかし、トヨタとスバルの開発陣は、「bZ4X」と「ソルテラ」の特性をそのように仕立て上げることはしなかった。

「ガソリン車から乗り換えても違和感のないよう、ドライバーの感覚に沿うような自然な加速特性に仕上げました」というトヨタの開発者氏の言葉が、2台を的確に表していると思った。

EVに何を求めるか?

EVというクルマは、エンジン車と単にパワートレインが異なるだけでなく、ユーザーのカーライフや使い方、乗り方まで変える可能性を秘めている。

EVによって新しい世界が始まると期待するのか、あるいは一気にそこまで踏み込ず、徐々に行きたいのか?

EVに何をどれだけ求めるかによって、「bZ4X」と「ソルテラ」兄弟への評価も変わってくるだろう。

トヨタ「bZ4X」のエンジンルーム。

トヨタ「bZ4X」。

スバル「ソルテラ」のエンジンルーム。

スバル「ソルテラ」。

※撮影/田丸瑞穂 写真提供/トヨタ自動車、SUBARU 

金子浩久
私が書きました!
自動車ライター
金子浩久
日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員(BE-PAL選出)。1961年東京都生まれ。趣味は、シーカヤックとバックカントリースキー。1台のクルマを長く乗り続けている人を訪ねるインタビュールポ「10年10万kmストーリー」がライフワーク。webと雑誌連載のほか、「レクサスのジレンマ」「ユーラシア横断1万5000キロ」ほか著書多数。https://www.kaneko-hirohisa.com/

 

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