スーパーカブ110 Liteを「カブ主」シェルパ斉藤が最速テスト! エンジン音は? 加速は? 新基準原付の特徴を解説 | 試乗記 【BE-PAL】キャンプ、アウトドア、自然派生活の情報源ビーパル
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    2025.12.13

    スーパーカブ110 Liteを「カブ主」シェルパ斉藤が最速テスト! エンジン音は? 加速は? 新基準原付の特徴を解説

    スーパーカブ110 Liteを「カブ主」シェルパ斉藤が最速テスト! エンジン音は? 加速は? 新基準原付の特徴を解説
    強化された排ガス規制の影響で、排気量50cc以下のいわゆる原チャリが生産中止に。それには不滅のベストセラー、ホンダ・スーパーカブ50も含まれる。でも心配無用! 新たに原付免許で運転できる排気量110ccの新型二輪「新基準原付」が追加され、適合モデル「スーパーカブ110 Lite」が登場したのだ。市街地でもフィールドでも、誰が乗っても似合うスーパーカブ。万人に愛されるオートバイであることを証明してきたのが、スーパーカブ50で日本全国を旅してきたシェルパ斉藤だ。そこで今回は真っ先に110 Liteを試乗。注目モデルの特徴をレポートする!
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    どこよりも早いスーパーカブ110 Liteのインプレッション

    カブ主とも呼ばれるスーパーカブ愛好家にとって、2025年はエポックメイキングな年になった。

    1958年に誕生して以来、1億台以上販売された世界に誇るベストセラーバイク、スーパーカブ50が生産終了したのである。

    スーパーカブ50が生産を終えた理由は、排気量が50ccの小さなエンジンでは新たな排ガス規制をクリアするのが技術的に困難になったからだ。排ガス規制をクリアするためには排気量を大きくする必要があり、そうなると普通自動車免許や原付免許で運転できる第一種原動機付自転車、つまり原チャリではなくなってしまう。

    気軽に乗れる原チャリでありながら排ガス規制をクリアできる二輪車を、という要望に応えて新たな区分基準の「新基準原付」が追加され、ホンダはスーパーカブ50の後釜となる新たなスーパーカブを開発した。排気量110ccのスーパーカブ110 Liteだ。

    110ccのスーパーカブはすでにカブシリーズのラインナップにあるが、それは125cc以下の第二種原動機付自転車に区分される小型二輪車であり、運転するには普通自動二輪小型限定免許以上の運転免許証が必要となる。でもスーパーカブ110 Liteのエンジンは50ccエンジンと同程度の出力に抑えており、従来の原チャリと同じカテゴリーに入る。

    公道の制限時速は時速30km以下で、片側3車線以上の交差点では2段階右折するなどの制約は変わらないものの、エンジンが倍以上大きくなった新時代の原チャリなのである。

    その走行性能はどんなものか、スーパーカブ50で日本全国を旅してきたカブ主の僕は気になってしかたない。

    ホンダに要望したところ、発売前のスーパーカブ110 Liteの広報車両を特別に貸してもらえることになった。

    スーパーカブが大好きな人々のために、どこよりも早い新基準原付のスーパーカブ110 Liteのインプレッションを紹介しよう。

    スーパーカブ110 Liteはバージンベージュとタスマニアグリーンメタリックの2色があり、今回はタスマニアグリーンメタリックを借りた。60年以上愛されてきたカブらしい色合いだと思う。価格は消費税込みで341,000円。
    こちらはわが愛車、スーパーカブ50。誕生50周年を記念して2008年に販売されたアニバーサリーモデルだ。当時の販売価格は消費税込みで204,750円。  
    シンプルなメーター。走行距離は29,134kmに達したが、トラブルは何も発生せずタフに走り続けている。50TH ANNIVERSARYの文字を誇らしく思う。
     

    エンジンの「鼓動」を味わえる悦び

    ホンダに貸してもらった広報車は第1号車で、まだ公道を走っていない車両だった。見た目は現行のスーパーカブ110と変わらない。キャストホイールやフロント・ディスクブレーキなど、わがスーパーカブよりも豪華な二輪車だ。

    キーを入れてセルボタンを押すと、スーパーカブ110 Liteのエンジンは軽やかに始動した。

    違う。音も振動も違う。

    わがスーパーカブのエンジンは、シュルルル‥‥という感じで回転するが、スーパーカブ110 Liteの場合は、ドルルル‥‥という感じの低音が響く。50ccに比べて倍以上大きいエンジンの余裕だろう。振動ではなく、鼓動に感じる。

    新基準原付は最高出力が4.0kw以下に定められており、スーパーカブ110 Liteは最高出力3.5kw/6,000rpm、最大トルク6.9N・m/3,750rpmのエンジンを搭載している。ちなみにわがスーパーカブ50の最高出力は2.5kw/7,000rpmで最大トルクは3.8N・m/5,000rpm。数値を見ても差を感じる。
    スーパーカブ110 Liteはセルボタンを押せばエンジンが始動するが、キックペダルでも始動できる。キックでエンジン始動を試みると110ccエンジンの重みを感じる。セルモーターを装備しないわがスーパーカブ50は軽いキックでかかるが、スーパーカブ110 Liteは体重をかけて強くキックしなくてはならない。
     
    メーターには時計/トリップ/走行距離/平均燃費を切り替えられる液晶表示と、燃料計、ギアポジションが表示される。4速まであるから、ギアポジションが有効に感じられる。
     
     

    公道に出ると、排気量110ccエンジンの余裕をより強く感じた。アクセルをひねるとスーパーカブ110 Liteは、ドドドド‥‥と鼓動を響かせて加速する。ブーンと唸るモーターのように回転するわがスーパーカブ50とは異なる。

    これはいい。これは楽しい。

    音楽もラジオも聴けず、会話もできないオートバイを駆る孤独なライダーは、エンジンの音と鼓動に快感を求めたがる人種だから、この進化は歓迎したい。

    排気量が大きい単気筒のオートバイで感じるエンジンの鼓動が、気軽な原チャリでも味わえることには大きな意味がある。高校生でも運転免許を取得できる原チャリが人生初のオートバイになる若者は多いはずだ。このフィーリングを最初に味わえば、若者はオートバイを好きになるはずだ。期待を込めて、そう信じたい。

    ただし、気をつけなくてはならない。スーパーカブ110 Liteのエンジンの鼓動と加速を楽しんで運転すると、原チャリの制限速度である時速30kmを軽々と超えてしまう。

    余裕があるエンジンのおかげで上り坂にさしかかってもギアを落とすことなく、トップギアの4速で走り切ることができるし、走りが安定している。わがスーパーカブ50の79kgに対して22kg重い101kgの車体はどっしりとした乗り心地だし、張りを感じるシートのクッション性も良好で、長時間乗り続けても疲れにくい。

    ABS付きのフロント・ディスクブレーキはタッチのフィーリングも効きも良く、市街地でも安心して走行していられる。

    わがスーパーカブは60年以上前から変わらないドラムブレーキだから、スーパーカブ110 LiteのABS付きディスクブレーキはオートバイの進化を実感した。急制動でもストレスを感じることなく、気持ちよく停止する。
     
     
    シートも厚みがあって、座り心地がいい。長時間乗車してもお尻が痛くならない。ツートンカラーもおしゃれだと思う。
     
    丸目のLEDヘッドライトは明るく、夜道の運転でも視界良好だ。ウインカーも丸くて、昔から変わらない親しみの持てるデザインになっている。

    1日1ℓツーリングで何km走れるのか?

    BE-PAL本誌の連載『シェルパ斉藤の旅の自由型』では、スーパーカブによる1日1ℓの旧街道ツーリングも定期的に掲載している。タンクに1ℓだけ燃料を入れ、ガス欠になったら1日の移動を切り上げてその場で宿泊場所を探す、行きあたりばったりのツーリングだ。

    1日1ℓのツーリングでは、リッター何km走るか、リアルな燃費を体感することになる。これまで僕は中山道や日光街道、奥州街道などをわがスーパーカブ50で旅してきた。

    そこで、発売前のスーパーカブ110 Liteの広報車を借りた僕は、全長約110kmの水戸街道を1日1ℓで走るツーリングに出かけた。

    これまでのスーパーカブ50の1日1ℓのツーリングは、アクセルをあまり吹かさない時速30kmのエコ走行に徹したため、1日平均80km以上走行することができた。

    はたして新基準の原チャリ、スーパーカブ110 Liteはどんな結末を迎えたのか? 1日何km走れたのか? 旅の詳細とリアルな燃費情報は1月9日に発売されるBE-PAL2月号の「シェルパ斉藤の旅の自由型」を読んでもらいたい。

    衝撃の結果に驚いた、とだけ伝えておこう。

    水戸街道は千住が起点となっているが、僕は浅草の雷門から言問橋を通って水戸街道のツーリングをスタートした。新基準の原チャリに魅了されたツーリングになった。
     

    シェルパ斉藤さん

    紀行作家・バックパッカー

    1961年生まれ。揚子江の川旅を掲載してもらおうと編集長へ送った手紙がきっかけで『BE-PAL』誌上でデビュー。その後、1990年に東海自然歩道を踏破する紀行文を連載して人気作家に。1995年に八ヶ岳の麓に移住 し、自らの手で家を作り、火を中心とした自己完結型の田舎暮らしを楽しむ。『BE-PAL』で「シェルパ斉藤の旅の自由型」を連載中。『シェルパ斉藤の行きあたりばっ旅』ほか著書多数。歩く旅を1冊にまとめた『シェルパ斉藤の遊歩見聞録』(小学館)には、山、島、村、東海自然歩道などの旅や、犬と歩いたロングトレイルの旅を収録。

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