軽EVも日本上陸予定のBYD。新型車「シーライオン7」の価格やサイズ、乗り味は? - 【BE-PAL】キャンプ、アウトドア、自然派生活の情報源ビーパル
  • OUTDOOR
  • NEWS
  • SUSTAINABLE
  • CAR
  • CAMP
  • GEAR
  • COOKING
  • OUTDOOR
  • NEWS
  • SUSTAINABLE
  • CAR
  • CAMP
  • GEAR
  • COOKING
  • 試乗記

    2025.05.28

    軽EVも日本上陸予定のBYD。新型車「シーライオン7」の価格やサイズ、乗り味は?

    軽EVも日本上陸予定のBYD。新型車「シーライオン7」の価格やサイズ、乗り味は?
    テスラを抜いて売り上げ台数世界一位のEVメーカーBYDの新型車を、日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員(BE-PAL選出)の金子浩久が試乗してきました。走りの良さはもちろんのこと、とりわけ驚かされたのはその静かさでした。

    テスラを抜いて世界トップのEVメーカー「BYD」

    BYDシーライオン

     中国の自動車メーカー、BYDが存在感を増やし続けています。

     2025年5月現在の日本で販売しているのは、4種類のEV(電気自動車)だけですが、後半にはPHEV(プラグインハイブリッド車)の導入が発表済みです。

     さらに、4月に突如発表されて驚かされたのが2026年の軽自動車EVの導入でした。軽自動車は日本独自の規格なので、それに合わせたクルマを造らなければなりません。

     BYDは現在「シーガル」というコンパクトEVを製造販売していますが、「シーガルをモディファイして日本向け軽自動車を造るわけではない。来年に導入する軽自動車は、現在、新たに設計開発を進めているものを投入する」と、BYDオートジャパンの東福寺厚樹社長は4月の上海モーターショーの際に教えてくれました。

     BYDオートジャパンは日本国内での事業拡大に合わせて各部門の人材募集を始め、専用サイトをオープンしたほどです。勢いがありますね。

     ちなみに、BYDの2024年の自動車部門の売上高は7771億元(約15.2兆円、約1060億ドル)で、テスラの977億ドルを抜きました。テスラが製造しているのはEVだけですが、BYDはEVに加えてPHEVも製造しているので、両方を併せた2024年の世界販売台数は427万台にも上りました。

     GMやフォードを抜いて世界5位に相当します。上位4メーカーはエンジン車も製造しているので、EVとPHEVしか造っていないBYDは、「エンジン車を製造していないメーカー」としては世界トップなのです。

     製造台数の割合はEVが41.5%に対してPHEVは58.5%と、PHEVの方が多いです。

    「シーライオン7」の走行可能距離はAWDで575km

    BYDシーライオン

     日本で販売する最新のクロスオーバータイプのEV「シーライオン7」に試乗しました。

     シーライオン7は、すでに販売されている4ドアセダンの「シール」とプラットフォームなどを共用しますが、モーターの最大トルクを20Nm増大している他にもいくつか改良が施されています。

     リアにモーターを搭載した「RWD」モデル(価格495万円)と前後に1基ずつモーターを搭載した「AWD」(価格572万円)の2モデル展開しています。走行可能距離は、「RWD」が640km、「AWD」が575km。

     ボディサイズは全長4830x全幅1925x全高1620(mm)。余裕がありますが、扱いに困るほど大き過ぎることもありません。

    キャンプも楽々の広い荷室!

    BYDシーライオン

     独立したトランクを持つ、セダンの「シール」と違って、シーライオン7はテールゲイトを備えているので、積載量400リットルのトランクと車室はつながっています。フロントのボンネット内にも50リットルのトランクがあるので便利に使えるでしょう。

    BYDシーライオン

     リアシートを倒せばトランクをより広く使うことができるので、アウトドアアクティビティでは頼りになりそうです。

    試乗してみたら中高速域での遮音対策が凄かった!

    BYDシーライオン

     両方を、一般道と自動車専用道の西湘バイパスで走らせてみました。

     駐車場内や一般道などの40km/h以下ぐらいまでは、とても滑らかに走ります。力強く加速していくところもEVの特徴で、他車と変わるところがありません。

    BYDシーライオン

     西湘バイパスに入り、速度を上げていってもその印象は変わりませんでした。60km/h以上に上げていっても、車内の静かさは一緒です。

     60km/hぐらいを境にして走行中のタイヤと路面との擦過音や風切り音が目立ってしまうEVもありますが、シーライオン7は見事にシャットダウンしてみせていました。

    BYDシーライオン

     EVはエンジンがないので低中速域では間違いなく静かなのですが、速度を上げるとタイヤノイズと風切音がエンジン音がない分よけいに目立ってきてしまう矛盾が生じてしまいます。そこを上手く対処できているEVと、あまり上手くないEVがあるのです。シーライオン7は静粛性確保に成功しています。

    高級オーディオで音楽鑑賞ができる最良の静謐環境

    BYDシーライオン

     こういうことがありました。西湘バイパスの走行車線を60km/hで走っていたら、追越車線を走ってきた大型2輪に追い越されました。その時にシーライオン7の運転席側の窓ガラスを下げて始めて大きな排気音が聞こえたのです。そして、すぐに窓ガラスを締めた途端にブォ~というエンジン排気音はピタリと聞こえなくなり、チェーンとスプロケットの歯車が当たる“カチャカチャカチャ”という金属音しか聞こえなくなりました。

     見事な遮音ぶりでした。特定の周波数帯の音を車内で聞こえなくしているのに成功しています。BYDのスタッフに確かめると、「遮音対策は、シールよりも入念に施されている」とのこと。シーライオン7はシールより2年後に発売されたので、その分の進化具合が小さくないようです。

     ただ、その遮音対策も万能というわけではなく、サイドミラーが発する風切音や舗装の荒れた路面でのタイヤからのノイズなどは完全に消し去れているわけではありませんでした。

    BYDシーライオン

     しかし、運転している時間内で静かに感じる時間は短くないので、DYNAUDIO製カーオディオで音楽を良い音で楽しむことができました。今やEVの運転中こそが、最良の音楽鑑賞環境なのですね。

    インターフェイスも使いやすい

    BYDシーライオン

     シーライオン7にもSIMカードが備えられ、あらかじめSpotifyやAmazon Musicのアプリなどもインストールされているので、もはや自分のスマートフォンを繋げてAppleCarPlayやAndroidAutoなどを経由させる必要がありません。操作の手間とギガ数が省けます。

    BYDシーライオン

     また、センター位置のモニターパネルを回転させて縦位置でも横位置でも使えるようになっているのはギミックではなく、用途別に便利に使い分けることができます。

    BYDシーライオン

     操作系統のインターフェイスはシールとほぼ変わりませんが、造形や素材遣い、カラーリングなどのセンスがシールよりもアップデイトされているのにも好感を抱けました。

    気になった点

    BYDシーライオン

     ただ、メーターパネルもシールから変わっていないので、面積が狭く、映し出される情報の表示が小さいのは改良が望まれます。

     4月の上海モーターショーに出展されていた最新の中国EVのように一見すると端から端までの大きな黒いパネル全面が表示のために使われているようなのですが、良く見るとつなぎ目があって、メーターとして機能する面積は狭いのです。

     日本車でも用いられる手法ですが気付くとちょっとガッカリさせられました。センターモニターパネルはクリアなのですが、正面のメーターパネルの画質は高いとは言えません。

    金子浩久の結論:静粛性が高く荷物もたっぷり積めるクロスオーバーEV

    BYDシーライオン

     そうした、早急なアップデイトが望ましいところもありますが、基本的な走行性能、特に静粛性の高さと荷物の積載量の多さ、使いやすさなどがシーライオン7の長所です。SUVのように背が高くなく、人と荷物をたくさん乗せて長距離を移動する人にはぴったりのEVとして候補に挙がる1台です。

    BYDシーライオン

    金子 浩久さん

    自動車ライター

    日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員(BE-PAL選出)。1961年東京都生まれ。趣味は、シーカヤックとバックカントリースキー。1台のクルマを長く乗り続けている人を訪ねるインタビュールポ「10年10万kmストーリー」がライフワーク。webと雑誌連載のほか、『レクサスのジレンマ』『ユーラシア横断1万5000キロ』ほか著書多数。構成を担当した涌井清春『クラシックカー屋一代記』(集英社新書)が好評発売中。

    あわせて読みたい

    トヨタ クラウンワゴンが復活!エステートRSの価格や乗り心地は?

    トヨタ クラウンワゴンが復活!エステートRSの価格や乗り心地は?

    「カングージャンボリー」はなぜ人気? ルノー・カングー新型ディーゼルにも乗ってきたぞ

    「カングージャンボリー」はなぜ人気? ルノー・カングー新型ディーゼルにも乗ってきたぞ

    0-100km/h加速3.8秒の世界最速クラスSUV「レンジローバースポーツSV」体験イベントに参加してきた

    0-100km/h加速3.8秒の世界最速クラスSUV「レンジローバースポーツSV」体験イベントに参加してきた

    BYDのSUVがヤバすぎ! 仰望(ヤンワン)の「U8」は1200馬力でドローンまで搭載

    BYDのSUVがヤバすぎ! 仰望(ヤンワン)の「U8」は1200馬力でドローンまで搭載

    アメリカによくある交差点「4-way stop」。その精神だけでも日本に導入できないだろうか?

    アメリカによくある交差点「4-way stop」。その精神だけでも日本に導入できないだろうか?

    エンジン車としては最後の「ゴルフ」か? VWの超名車、買うなら最後のチャンスかもよ

    エンジン車としては最後の「ゴルフ」か? VWの超名車、買うなら最後のチャンスかもよ

    キャンプ場と公道で「デリカミニ」に試乗。よかった点と気になった5点

    キャンプ場と公道で「デリカミニ」に試乗。よかった点と気になった5点

    クルマは標高何メートルまで走ることができるのか?

    クルマは標高何メートルまで走ることができるのか?

    ジープ アベンジャーに試乗! サイズ・価格や4WDの有無、兄弟車フィアット600eとの違いも解説

    ジープ アベンジャーに試乗! サイズ・価格や4WDの有無、兄弟車フィアット600eとの違いも解説

    NEW ARTICLES

    『 試乗記 』新着編集部記事

    トヨタ クラウンワゴンが復活!エステートRSの価格や乗り心地は?

    2025.05.20

    ヒョンデ「インスター」に試乗してみたら、シートアレンジが多彩で居住性が高し!

    2025.05.12

    いまどき超お得!200万円台で手に入るホンダ・WR-Vがアップデートしたので試乗レビュー

    2025.05.11

    価格は?内装は?どのくらい積める?ウワサのいすゞトラック「エルフミオ」に乗ってみた!

    2025.05.04

    ボルボ「XC90」のサイズ・価格・内装は?埼玉・小川町ドライブでチェックしてきた

    2025.04.26

    サイズはどうなった?収納量は?…大人気すぎる5ドアの「ジムニーノマド」は本気の四駆だった

    2025.04.22

    でかっ!これが新型日産「サファリ」!? ピストン西沢がランクルとの違いを詳細レポート

    2025.03.30

    MINIの最新モード「エースマン」はキャンプもこなせるEVなのだ

    2025.03.20

    get_header(); ?>