フォルクスワーゲンの新型「T-Cross」を徹底リポート!ロングツーリングに最適なコンパクトSUVだ | 試乗記 【BE-PAL】キャンプ、アウトドア、自然派生活の情報源ビーパル

試乗記

2024.10.12

フォルクスワーゲンの新型「T-Cross」を徹底リポート!ロングツーリングに最適なコンパクトSUVだ

フォルクスワーゲンの新型「T-Cross」を徹底リポート!ロングツーリングに最適なコンパクトSUVだ
フォルクスワーゲンのSUV「T-Cross」に日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員(BE-PAL選出)の金子浩久が乗ってきました。キャンプやアウトドアにも使いやすいコンパクトサイズの「T-Cross」の魅力と気になった点を徹底リポートします。

マイナーチェンジで進化した点

 フォルクスワーゲンのコンパクトSUVT-Cross」にマイナーチェンジが施されました。ボディカラーが増えたり、フロントとリアの造形が変わったりしています。

 他にも変更点はありますが、最も重要なのは同一車線内全車速運転支援システム“Travel Assist”が全3グレードに標準装備されたことと、LEDマトリックスヘッドライト“IQ.LIGHT”が上位2グレードに採用されたことだと考えます。

 1.0リッター3気筒エンジンで7DSG2ペダルトランスミッションを介して前輪を駆動するという基本構成は、どのグレードでも変わりません。

 その中から「TSI Style」という真ん中のグレードに試乗しました。車両価格3599000円(税込)です。

タイヤノイズの遮断とツインクラッチ式変速機の快適さ

 薄いブルーメタリックにところどころクロームと艶消しブラックが配された外装はさわやかで、フォルクスワーゲンらしい堅実さが表現されています。

 走りにも、その堅実性が備わっています。コンパクトなボディなのに高速道路でも安定していて、タイヤが路面と擦れるノイズをうまく遮断していて気になることがありません。

 また、トランスミッションがツインクラッチ型の7速「DSG」のメリットが活かされています。強めの加速が必要な場合には、エンジンを高回転まで回す必要がありますが、DSGには7つのギアが備わっていて、それぞれのギアでキッチリと加速を繰り返して変速していきます。

 日本メーカーのコンパクトカーに多いCVT型トランスミッションは対照的で、段のない加速をしていくのでエンジン回転をコントロールしながら加速していくのには慣れが必要です。回転だけ上がってエンジン音は高まっても速度が伴っていないことがあります。

 そして、日本メーカーのコンパクトカーの多くは、タイヤノイズを遮断するのは不得意です。較べた場合のT-Crossの長所が断然と光ってきます。

 ですから、今回は100kmにも満たない短距離での試乗でしたが、T-Crossでの長距離走行は快適なものになるであろうと予想できるのです。

同一車線内全車速運転支援システム“Travel Assist”をアクアラインで試した

 長距離走行となれば、運転支援機能の出番です。アクアラインで千葉を往復しました。

 前述の通り、全グレードで標準装備されるようになったTravel Assistとは、他のフォルクスワーゲン各車と共通するものです。 

 含まれている機能は、ACC(アダプティブクルーズコントロール)とLKAS(レーンキープアシスト)。

 ACCは設定したスピードと車間距離を保ちながら前のクルマにずっと付いて走れます。LKASはよそ見などの不注意で車線からハミ出ないようにクルマがそれを監視していて、ハンドルを回してアシストしてくれる機能。どちらも他の「運転支援機能」と呼ばれることがあります。

 どちらの機能もインターフェイスがわかりやすく、ステアリングホイール上に配されたボタンやレバーなども操作しやすく、使いやすい。メーターパネルに映し出される表示が大きいだけでなく、隣の車線を走るクルマまでも映し出し、他車の存在と、その距離感や速度差などをイメージすることが可能となっています。

 LKASのセンシングは過敏でなく、効きも穏やか。最新のBMWやレクサス、BYDなどよりも穏やかです。

 長距離の場合は、これら運転支援機能を有効にして走れば、確実に脳と眼と右足の負担が減って、疲労が軽減されます。距離が長ければ長いほど効果は大きいですから、大いにお勧めします。

改善してほしい点

フォルクスワーゲン T-Cross

 ここまで読むと、T-Crossがロングツーリングに向いたコンパクトSUVだと思われるでしょう。大筋では間違いありません。でも、改善が望まれるところもありました。

トランクルームの床の高さ

フォルクスワーゲン T-Cross

 まずは、トランクの床。テールゲートの敷居と床を同じ高さにして荷物を出し入れしやすくしたと説明されましたが、この場合はカバーの位置を変更して、床は下げて敷居を活かしたほうがロングツーリング用に積載量を稼げた上に落下防止にもなり、使いやすくなるはずです。

内装デザイン

 次は、内装のデザインとそれがもたらす雰囲気についてです。T-Crossの運転席に座ると、内装が黒を主体にまとめられているために雰囲気が暗いです。コンパクトカーなのだから、もっと明るいグレーやベージュなどでまとめられなかったのでしょうか?

 ヨーロッパ仕様では、そうしたカラーのフォルクスワーゲンを何台も見たことがあります。

 色だけではなく、意匠のセンスにも古臭いところがあります。

 そのひとつが、インパネやドアパネルでデザインのアクセントに用いられている「カーボン調パネル」。レーシングカーにしか使われなかった本物のカーボンパネルの意匠を引用したカーボン調パネルをありがたがって、普通のクルマに盛んに使われるようになったのは20年ぐらい前からのことです。

 その間に、本物のカーボンパネルを使うクルマも現れましたが、現在では下火となった流行です。どちらにせよ、あくまでもカーボン“調”なのですから、刹那的な流行に過ぎませんでした。とっくに止め時です。

一段と力を増したコンパクトSUVのトップランナー

 内装については好みにも左右されるので、気にならない人もいるでしょう。走りっぷりは素晴らしく、安全に大きく寄与する運転支援やヘッドライトなどが大きくブラッシュアップされたT-Crossは電動化には無縁ですが、コンパクトSUVセグメント内で3年連続で登録台数トップを記録しているベストセラーです。今回のマイナーチェンジでさらに商品力が向上していました。

金子 浩久さん

自動車ライター

日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員(BE-PAL選出)。1961年東京都生まれ。趣味は、シーカヤックとバックカントリースキー。1台のクルマを長く乗り続けている人を訪ねるインタビュールポ「10年10万kmストーリー」がライフワーク。webと雑誌連載のほか、『レクサスのジレンマ』『ユーラシア横断1万5000キロ』ほか著書多数。構成を担当した涌井清春『クラシックカー屋一代記』(集英社新書)が好評発売中。

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