入手困難な人気車、ランドクルーザー250のZXを試乗してわかったクルマを最大限に活かす乗り方 | クルマ 【BE-PAL】キャンプ、アウトドア、自然派生活の情報源ビーパル

クルマ

2026.07.17

入手困難な人気車、ランドクルーザー250のZXを試乗してわかったクルマを最大限に活かす乗り方

入手困難な人気車、ランドクルーザー250のZXを試乗してわかったクルマを最大限に活かす乗り方
トヨタのランドクルーザー250に試乗してきました。
日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員(BE-PAL選出)の金子浩久が、ランドクルーザー300との比較や気づいた点を報告します。

2024年に登場したランドクルーザーシリーズの一員

 トヨタ ランドクルーザー250は、2024年4月に登場したランドクルーザーシリーズの一員です。ラグジュアリーな“300”に対して、250はかつての「ランドクルーザープラド」のカジュアルでスポーティなキャラクターを想起させられます。それでも、250のボディサイズは300に近付きました。全長4925x全幅1980x全高1925(ミリ)という大型です。

 シリーズには、往年のスタイルのままに内容を一新した「ランドクルーザー70」やコンパクトな「ランドクルーザー FJ」なども先ごろ加わり、充実が図られています。

 しかし、トヨタ自動車のホームページを見ると、「2025年6月時点の見通し」として、「ご納車をお待ちいただいているお客様の車両を優先的に生産させていただくため、ランドクルーザー300(ガソリン車)は、ご注文を一時停止させていただいております」と記載されています。したがって、現在、300はディーゼル車だけしか注文できません。

 さらに、250はガソリン車のVXグレードしかラインナップに記載されていません。2026年3月には3グレードあったディーゼル車は記載されなくなっています。ディーラーで訊ねると、国の燃費規制値を現状のままではクリアできないために、2026年3月末で販売を中止してしまったと聞きました。

 以前から、250も300も国内マーケットへの供給台数は少なかったようです。実際に埼玉県の中古車販売業者から、「ランクルは新車がなかなか買えないから、転売ヤーの格好の餌食になっています。一時期のゲレンデ(メルセデスGクラス)やロレックスのスポーツモデルと変わりません」と聞いたことがあります。

 でも、その250のディーゼル車の最上位グレードに試乗することができました。2026年末頃には生産が再開されるかもしれないという噂が現実となることに期待しながら走り出しました。

装飾が少なくスポーティでフレッシュな印象のエクステリア

 最近では街を走る姿を良く見かけますが、触れてみると装飾の少ないスタイルであることが良くわかります。クロムメッキも皆無で、ボディパネルへのプレスなども少ないからスッキリと見えます。プラドを引き継ぐのにふさわしいスポーティでフレッシュな印象を受けます。好感が持てるかたちです。

 テールゲイト開口部を大きく取り、ウインドガラスだけで開閉するためにテールライトユニットも必要最小限の大きさにとどめてあるのも実用的。

 操作系統もメーターなどはデジタル化され、センター部には大きなモニターパネルが設けられていますが、物理スイッチも多数健在で、バランスが取られています。オフロードや道なき道を走るような場合の使い勝手が考慮されています。

300とのエンジンとの違いや気になる運転支援機能は?

 エンジンは、マイルドハイブリッド化されていない2.8リッター4気筒のディーゼル。最高出力204ps/3000~3400rpm、最大トルク500Nm/1600~2800rpmを発生。

 ラグジュアリー指向の300はガソリンもディーゼルもV6であるのに対して、250はどちらも4気筒です。組み合わされるトランスミッションも10速と8速のATで違っています。共通しているのは、どちらも副変速機付きの4輪駆動で、ローレンジモードを使える本格派のクロスカントリーSUVであることです。ラダーフレーム付きシャシーによる「GA-F」プラットフォームも300と変わりません。

 今回は使用しませんでしたが、運転支援機能もアダプティブクルーズコントロールとレーンキピングアシストが備わり、試乗したZXグレードには渋滞時ハンズオフも標準装備されています。クロスカントリーSUVであっても、運転支援機能には乗用車並みの最新のものが装備されています。時代の要請に応えています。

 エンジンを掛けて走り出すとカラカラというディーゼル特有のエンジン音が明瞭に聞こえてきます。ひと昔前のディーゼルエンジンを思い出します。最新のディーゼルは、もっと静かで、走り始めると気にならなくなるレベルのものさえあります。

 フレッシュなエクステリアデザインで、操作系統も現代的で使いやすいのですが、それらと釣り合っていません。エンジン音だけが取り残されて古臭く感じてしまいます。許容できる範囲内に収まってはいますが、落差が大きい。

 また、フレーム付きシャシーに典型的な、ボディの上屋部分の前後左右への大きな動きも明確に感じます。クロスカントリーSUVの機敏な挙動よりもモノコックシャシーを持つ現代流のSUVに慣れてしまった身体にはむしろ新鮮に感じたほどです。

乗用車とは異なるハンドル操作や加減速に対しての反応

 ハンドル操作や加減速などの運転操作に対して乗用車のように敏感に反応するのではなく、ゆったりと大きな動きで反応してきます。それを制御する機能も備わっていますが、挙動のリズムは変わりません。しかし、クロスカントリーSUVしか存在していなかった頃を思い出しながら慣れてしまうと気にならなくなります。

 むしろ、舗装路から未舗装路までの様々な状況の道路を連続して走り続ける場合などには、ドライバーの負担も大きくならずに走りやすいことが予想されます。オーナーとなって乗っていくうちに身体に馴染んでいくのでしょう。

 寸法は大きいのですが、直線的なボディなので見切りも良く、街中でも運転しやすい。スペックだけからは加速の鈍さが懸念されてしまいますが、2,300kgを超える重量を加速させるためには必要十分なパワーです。

 都内と近郊での短距離での加速やハンドリングなどを確かめているうちに、“このクルマが求められているのはここではないな”と考えるようになっていきました。他のクルマでは脚を踏み入れることすらできない道なき道や、未舗装の悪路を走り、地の果てまで走っていくことがランドクルーザー各車の本来の務めなのではないでしょうか?

 街で走る姿を見ていた時にはスポーティで若々しいスタイルに見惚れていましたが、運転してみるとフィールドで過酷な使い方をされてこそ輝きを増すクルマであることを再確認させられました。SUVを名乗るクルマが溢れていますが、この250や300、あるいは70のようなラダーフレーム付きの本格派とそれ以外、というくらい全く違った存在なのです。

 さまざまな制御技術などが進化して、街でも快適に乗ることはできますが、それでは真の実力のごく一部しか発揮したことにはならないのです。いつか、僕も遥か遠くの地までランドクルーザー250で走っていってみたい。その想いが募った試乗でした。そのためにも、現在の入手困難の状況が改善されることを願うばかりです。

金子浩久の結論:フィールドで過酷な使い方をされてこそ輝きを増すクルマであることを再確認

著者画像

金子 浩久さん

自動車ライター

日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員(BE-PAL選出)。1961年東京都生まれ。趣味は、シーカヤックとバックカントリースキー。1台のクルマを長く乗り続けている人を訪ねるインタビュールポ「10年10万kmストーリー」がライフワーク。webと雑誌連載のほか、『レクサスのジレンマ』『ユーラシア横断1万5000キロ』ほか著書多数。構成を担当した涌井清春『クラシックカー屋一代記』(集英社新書)が好評発売中。

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