キャデラック初のEV「リリック LYRIQ」に試乗!気になる加速性能、静粛性、機能は? | 試乗記 【BE-PAL】キャンプ、アウトドア、自然派生活の情報源ビーパル
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    2025.09.08

    キャデラック初のEV「リリック LYRIQ」に試乗!気になる加速性能、静粛性、機能は?

    キャデラック初のEV「リリック LYRIQ」に試乗!気になる加速性能、静粛性、機能は?
    アメリカの高級車「キャデラック」初のEV(電気自動車)である「リリック(LYRIQ)」に試乗しました。
    本国での販売開始から3年、今年3月ようやく日本に導入されたEVを日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員(BE-PAL選出)の金子浩久がチェックしてきました。

    アメリカの高級車「キャデラック」初のEV

     アメリカの高級車「キャデラック」初のEV(電気自動車)である「リリック LYRIQ」に試乗しました。

     アメリカ市場ではすでに2022年から販売が開始されていますが、日本では2025年3月からです。

     発表会では「ミッドサイズのSUV」と呼んでいましたが、全長4995x全幅1985x全高1640(ミリ)というサイズは、日本では大型になってしまいますね。会場で初めて実物を見たリリックは、エンジン車の「XT4」、「XT5」、「XT6」、「エスカレード」などとは異なった趣きを持っていて、特にリアスタイルが個性的でした。。

     改めて、屋外で眺めてもその印象は変わりません。リアの造形で眼を惹かれるのは、L字型で高い位置にマウントされたウインカーやCピラーの先まで伸びたボディパネルなどです。他のどのクルマにも似ていません。

     フロント部分も、ヘッドライトは縦一文字の細いものと、その内側の縦に9個連なるライトの上から3個が光り、下の6個は反射しているように見えたりして、とても凝っています。

     ディテイルは凝っているのに、スッキリときれいにまとめられているところが新しい。かつてのアメリカのクルマにあったような装飾過多、過剰演出がない。ミニマルに見えて、街ではとても目立っていました。

     近付いてエンブレムを良く見ないとキャデラックだとわからず無国籍風でもありますが、そこがキャデラック初のEVという存在としての新しさを表現しているようで、とても好感を持てました。

     EVとしてのリリックは、前後に1基ずつのモーターを搭載した4輪駆動で、2列5人乗り。バッテリー容量が95.7kWh。前後2モーターのシステム最高出力は522馬力、同最大トルクは610Nm。航続距離は510km(WLTPモード)。価格は1100万円(税込)。

     内装の造形は大きく湾曲したメーターパネルを中心とした最近の傾向のもので、他のキャデラックのエンジン車と似ています。ただし、このリリックのシートやドア内張りなどに用いられている生地のタッチや色のセンスなどは従来のアメリカ車にはないもので、高級感を拡張しています。

     都内から出発し、アクアラインを通って房総半島を巡り、戻ってきました。

     一般道でも高速道路でも、522馬力のシステム最高出力と610Nmもの同最大トルクが駆動する前後2モーターによる加速の強力さが圧倒的です。滑らかさを備えつつ、余力の大きさと余裕をはっきりと感じます。

     他のEVでも同じような感覚は得られますが、リリックは違っていました。ニュアンス的に往年の大排気量V8エンジンのキャデラック各車を思い出します。

    高速走行時の静粛性でわかる高級EVの真価

     走行中の風切り音もあらゆる速度域で良く抑えられていました。リリックにはアクティブノイズキャンセレーション機能が備わっており、つねに乗員がノイズと感じる音と逆位相の人工音をカーオーディオのスピーカーから出し続けているので、その効能もあったのでしょう。

     ただし、タイヤが路面を擦り付けることによるノイズまでは消し切れずに伝わってきていました。

     EVはエンジンノイズが発生しないが故に、走行中のそれ以外の風切り音やタイヤノイズが目立ってきます。現状では、そこを相当に対処しているEVと、それほどでもないEVは50km/hぐらいから静粛性に大きな隔たりが出てきてしまっています。静粛性は高級EVの最大の価値ですから、勝負の分かれ目となります。

     キャデラックはエンジン車時代からノイズキャンセリングシステムを装備して、車内の静粛性向上に積極的に取り組んできていましたので、その最新版がリリックに組み込まれていて、一定以上の成果を達成しています。

    実際に運転をしていて気になった点

     首都高速からアクアラインに入り、運転支援機能を使って走りながらリリックにも慣れてくると、気になるところも現れてきます。

     まずは、ハンドル上に設けられた、その運転支援機能のスイッチでした。タッチ操作によるものではなく、押し込みが必要となるのですが、独立したボタンではないのでメリハリがない。その上、なぜかシートヒータースイッチと接近していて、使いにくく、押し間違えたりしていました。他にも、配置と割り振りに見直しが必要と思われたスイッチやレバーなどもありました。

     カーナビを使うにはCarPlay経由でナビアプリを用いなければならず、その接続もBluetoothではなくUSBコードを繋げなければならないのも不便でした。

     リリックにはSIMカードが備わっていますが、それが他の最新EVのように各種アプリをクルマにダウンロードして使うためのものではないところもアップデイトを望みたいところです。

    AKGスピーカーの音質の高さに思わず唸る

     USB接続したスマートフォンからCarPlay経由でSpotify内の音楽を再生すると、AKGブランドの19スピーカーカーオーディオの音質の高さに唸らされました。各楽器やボーカリストの声などが混じり合ってしまうのではなく、それぞれが独立して聴こえます。小さな音も大きな音に掻き消されることなく、シンバルやベースの弦を指が擦る最初のタッチなども明瞭に聴こえたのには驚かされました。EVのメリットを最大限に活用しています。

     山道でペースを上げて走る時に、回生ブレーキをパドルで強弱を切り替えて活用しました。さらに強い回生を得られるワンペダルドライブはセンターディスプレイパネルの表示をタップして切り替えます。ワンペダルドライブは赤信号で停止するところまでブレーキペダルを踏まずに済ませられますから、街中の運転でも便利に使えます。

     ただし、アウディQ6 e-tron quattroに組み込まれているような自動回生ブレーキが設定されなかったのが惜しかった。

    金子浩久の結論:往年のキャデラック車のような圧倒的加速と静粛性を両立するも最新EVには機能面で見劣り

     パワフルな加速と静粛性の高さがリリックならではの長所に感じられた試乗でした。

     EVの世界の進化は速いので、3年の経過は大きく感じました。最新のEVと較べると装備されていない機能が複数あり時間の経過を痛感させられてしまいます。

    金子 浩久さん

    自動車ライター

    日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員(BE-PAL選出)。1961年東京都生まれ。趣味は、シーカヤックとバックカントリースキー。1台のクルマを長く乗り続けている人を訪ねるインタビュールポ「10年10万kmストーリー」がライフワーク。webと雑誌連載のほか、『レクサスのジレンマ』『ユーラシア横断1万5000キロ』ほか著書多数。構成を担当した涌井清春『クラシックカー屋一代記』(集英社新書)が好評発売中。

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