アウトドアにも使い勝手がいいSUV、新型プジョー 3008 HYBRIDを長距離レビュー | 試乗記 【BE-PAL】キャンプ、アウトドア、自然派生活の情報源ビーパル
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    2025.11.03

    アウトドアにも使い勝手がいいSUV、新型プジョー 3008 HYBRIDを長距離レビュー

    アウトドアにも使い勝手がいいSUV、新型プジョー 3008 HYBRIDを長距離レビュー
    新しいプジョー3008 GT HYBRIDで一般道と首都高速道路を走って、横浜を往復してきました。
    日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員(BE-PAL選出)の金子浩久が長距離走行で気づいた点を報告します。

    アルカンターラ生地を使用したシートの座り心地は良好

     正確な車名は、シートなどにアルカンターラ生地を用いていることから「3008 GT HYBRID アルカンターラ」。アルカンターラはヌバックやバックスキンなどのテイストを再現した人工皮革です。

     そのアルカンターラのグレーの生地をシートの座面と背面に用いています。身体へのフィット感に優れて、座った心地は良好です。

     価格(税込)は558万円から。サイズと重量が、全長4,565x全幅1,895x全高1,665(mm)。重量1,620kg。

     全幅が1,895mmもあることに驚かされますが、それは試乗しているうちにも感じられてきました。

    モーターの力でデュアルクラッチトランスミッションの弱点を克服

     パワートレインは、1.2リッター3気筒ガソリンターボエンジンにモーターを組み合わせたハイブリッドシステムです。エンジンとモーターをあわせたユニット合計での最高出力が145馬力。

     そのパワーを変速して前輪に伝えるのは、6速デュアルクラッチトランスミッションです。モーターと一体化することによって、変速時にモーターが駆動力をアシストして、デュアルクラッチトランスミッションの弱点である変速時の駆動力の途切れをなくし、スムーズな加減速を実現しようとしています。

     僕がプライベートで乗っているクルマは、デュアルクラッチトランスミッションを用いているので、この狙いは良くわかります。

     デュアルクラッチとかツインクラッチとか呼ばれるトランスミッションは、言ってみればマニュアルトランスミッションの変速を超小型ロボットが行うようなものなので、変速時に駆動力の微細な途切れが発生して、いつもではありませんがギクシャクしてしまうこともあるのです。

     そこにモーターを組み合わせてギクシャクを解消し、エネルギーの回生も行なってしまおうというのは優れたアイデアですね。

     その発想の通り、3008 GT HYBRIDはとても滑らかに加減速を繰り返していきます。狙いは達成されていると言って良いでしょう。

     モーターだけで走行することもあれば、モーターとエンジンからのパワーが組み合わさって加速されることもあります。

     3008 GT HYBRIDに限らず、現在、モーターとエンジンを組み合わせたハイブリッド方式のクルマはたくさんあり、そのメカニズムもさまざまです。モーターをどのタイミングでどのように用いるかに違いが現われてきています。

     3008 GT HYBRIDで印象的だったのは、低速域でモーターだけで走行している時にアクセルペダルを戻した時です。明確に回生ブレーキを感じられました。

     停止するまで回生を効かせられる一部のEVの強力な「ワンペダル回生ブレーキ」ほどではありませんが、フットブレーキを踏むことなく微細な減速を効かせられるので運転しやすかった。

    運転席からは使いづらいセンターコンソールの収納

     都内を出発して、首都高速を走り、大黒パーキングエリアに停めて、3008 GT HYBRIDを各部分を確かめながら、改めて感じたのは全幅の広さでした。1895ミリあります。運転していても、停まっていても大きく感じます。

     それでいて、車内はそこから想像できるほど広いわけではないのが不満でした。関連して、運転中に見つけた不満点もありました。

     3008 GT HYBRIDはセンターコンソールに大きなモノ入れが設けられているのですが、運転席側から出し入れできるよう開いておらず“壁”になっていて、モノ入れに出し入れするためには運転席側から腕を伸ばさなければなりません。

     もしかして、左ハンドル用をそのまま使っているのでしょうか!?

     この時代にそんなことはないと思います。もしそうだったとしたら、迂闊ですね。せっかくの使いやすそうで大きなスペースが使いにくくなっています。

     また、そうでなかったとしても、運転席側から出し入れしにくくなっていることに変わりはないのです。運転席からも助手席からも同じように出し入れしやすくなっているクルマは少なくありません。

    スペースが気になるダッシュボードのせり出し

     また、メーターパネルやセンターディスプレイなどを湾曲させ、その下にシフトスイッチやスタートスイッチまで設けるなどして、せっかく工夫してスペースを有効活用しているのに、エアコンの操作スイッチをセンターコンソール上に斜めに並べてしまっているので、その分が張り出してしまっています。

     さらに観察すれば、ダッシュボードも水平気味にせり出してきています。ドア内張りとアームレストと同じグレーの布地のような素材が張られているところが助手席側には大きくせり出してきていることで、助手席側も窮屈になっています。斜めにせり出してきているのでモノが置けるわけでもなく、張り出しの理由が最後まで伺えませんでした。

     ちなみに、このグレーの素材はMINIクーパーに使われているものとタッチや見た目が似ています。MINIクーパーのものはリサイクル素材を用いています。ヨーロッパの自動車メーカーは、以前は乗員の眼に触れないボディやシートなどの裏側などに限ってリサイクル素材を使用していました。それが、改良が進んでタッチや見た目が良くなり、インテリアの中心部分にも使われるようになりました。良いことだと思います。

     ただ、確認したらこの3008 GT HYBRIDに使われているものは違っていました。リサイクル素材ではありませんでした。造形といい素材といい凝ってはいるのですが、使いやすさや快適性などに結び付いているかどうか最後までわかりませんでした。

    かつてのプジョーが持っていた乗り心地や走りの個性は?

     ずいぶん前に、僕はプジョーの504と505というクルマに乗っていたことがあるので、かつてのプジョーのたおやかな乗り心地の快適さを知っています。3008 GT HYBRIDにも、それらを連想するようなしなやかで優しい乗り心地の片鱗だけでもと期待していましたが、時代の移り変わりは想像以上に速かったようです。

     その頃のプジョーはサスペンションのダンパーやアルミホイールなどまでも自製していて、見た目だけでなく乗り心地や走りっぷりにも明確な個性を発揮していたメーカーでした。しかし、今では、ステランティスという欧米多国籍ブランドグループの一員です。時代ですね。

     最新かつ独自性の高いハイブリッドシステムがもたらす滑らかで力強い走行性能に満足させられつつ、大き過ぎて装飾過多なボディに時代の移り変わりを感じさせられました。 

    金子浩久の結論:ハイブリッドの走行性能に満足しつつ、乗り心地には時代の移り変わりを実感

    金子 浩久さん

    自動車ライター

    日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員(BE-PAL選出)。1961年東京都生まれ。趣味は、シーカヤックとバックカントリースキー。1台のクルマを長く乗り続けている人を訪ねるインタビュールポ「10年10万kmストーリー」がライフワーク。webと雑誌連載のほか、『レクサスのジレンマ』『ユーラシア横断1万5000キロ』ほか著書多数。構成を担当した涌井清春『クラシックカー屋一代記』(集英社新書)が好評発売中。

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