ホンダ「ZR-V」のサイズは、名車CR-Vとほぼ同じ。実燃費は? | 試乗記 【BE-PAL】キャンプ、アウトドア、自然派生活の情報源ビーパル

試乗記

2024.11.07

ホンダ「ZR-V」のサイズは、名車CR-Vとほぼ同じ。実燃費は?

ホンダ「ZR-V」のサイズは、名車CR-Vとほぼ同じ。実燃費は?
2リッターエンジンにモーターを組み合わせたホンダのハイブリッドSUV「ZR-V」。試乗してわかったホンダ ZR-Vの魅力と気になった点を、日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員(BE-PAL選出)の金子浩久がご紹介します。

一般道ではモーター主体で静かにEV走行

ホンダ ZR-V

 ホンダ ZR-Vで東京都内から長野を往復しました。都内の一般道では良い印象から始まっていきました。

 シビックなど他のホンダ車にも搭載されているe:HEVというハイブリッドシステムは、ZR-Vでは2.0リッター4気筒エンジンにモーターが組み合わせられています。

ホンダ ZR-V

 このシステムの特徴でもありますが、ほとんどが50km/hぐらい以下の、スピードを出さない都内の一般道では、極力、エンジンを始動させないようにしてモーターのみで走ろうとする傾向が強いです。エンジンが始動せずにモーターだけで静かで滑らかに走っていくので、街乗りにはとても向いています。

タイヤノイズが気になる

ホンダ ZR-V

 ただ、パワートレインは静かであっても、路面によっては舗装の違いなどから40km/h以下の速度域でもゴーゴー、ザーザーとタイヤノイズがとても目立って耳障りなことが少なくありませんでした。

 その傾向は、困ったことに高速道路に乗ってそのまま100km/hぐらいまでノイズも速度に伴って大きくなっていくこともありました。

 路面からのノイズだけではなく高速道路では、一般道ではほとんど回ろうとしなかったエンジンもフル回転します。その音質も煩わしく、音量も小さくないので、長野往復の高速走行は決して心地良いものではありませんでした。

サイズは「CR-V」に近い中型SUV

ホンダ ZR-V

 ZR-Vは、ホンダの中型SUVです。エンジン車とハイブリッド車の両方がラインナップされていて、それぞれに前輪駆動版と4WD版があります。試乗したのは、ハイブリッドの前輪駆動版です。

 ZR-Vのボディ寸法は、全長4570×全幅1840×全高1620(mm)と、同じホンダのSUV「ヴェゼル」の4330×1790×1590(mm)よりも大きい。

 サイズ感としては、むしろすでに国内販売されていない「CR-V」に近いので、その入れ替わりかもしれません。

ソツのないデザインだがインパクトに欠けるか

ホンダ ZR-V

 見た目の印象としては、ソツなくまとまっていますが、特に強い特徴もないので何度も見ないと憶えられません。名前とカタチを憶えると、今度はそのソツの無さが気になってきます。ホンダのクルマとしては無難過ぎてモノ足りなくなってくるのです。

ホンダ ZR-V

 もはや無いものねだりなのかもしれませんが、かつてのHR-VやCR-Vのような、他メーカーとは一味違ったホンダらしいSUVを期待したくなってきます。

乗り心地はマイルドで総じて心地良い

ホンダ ZR-V

 走らせていて心地よかったのは、柔らかくマイルドな乗り心地です。段差や舗装の切り返しなどを通過する時も、そのショックを上手く抑えながら優しく吸収し、穏やかに通り過ぎていきます。

 ただ、反面、速度や路面によっては締まりがなく、上下動の収まりが良くない局面もありました。総じて乗りやすく、心地良かったことは間違いありません。

シフトスイッチが使いやすい

ホンダ ZR-V

 ドライバーインターフェイスに於いても、使いやすさが美点のひとつとなっています。ZR-Vが初めてのことではなく、近年のホンダの共通する美点のひとつが、シフトスイッチです。

 画像の通りのボタン式。PやNやDなどは単に上から押すだけなのに対して、R(リバース、バック)は後ろ方向に指を引っ掛けて引っ張るカタチと仕組みになっています。

 クルマを後ろ向きに動かすということを、そのつど必ずドライバーに明確に認識させる操作を行うようになっています。ドライバーの使いやすさとともに、誤動作問題に対する開発陣からの真摯で実効ある回答なのだと感心させられました。

実燃費はどうか?

ホンダ ZR-V

 e:HEVシステムは燃費にも優れていて、都内ー長野の高速道路主体の行程では23km/l、その後の都内を含む一般道では19km/lを記録しました。このサイズのクルマでは優秀な値でしょう。

 エンジンは充電に徹して駆動はモーターによるだけのクルマでは日産のe-Powerがあります。ホンダのe:HEVと比較すると、e-Powerは加速中などのタイミングを選んでエンジンを始動し、なるべくエンジンを回転させることによるノイズや振動などを乗員に感じさせないようなアルゴリズムを採用している点で優れています。

 実用的に使われるクルマのハイブリッドシステムではエンジンは黒子に徹すべきものと僕は考えているので、そう決断できるかどうかで明暗が別れてくるのだと思います。

スマホ接続のインターフェイスは?

ホンダ ZR-V

 ZR-Vの日常的な使い勝手に関してもうひとつ指摘しておきたいのは、スマートフォンとの接続機能です。

ホンダ ZR-V

 AppleCarPlayでスマートフォンをBluetoothでワイヤレス接続して使うことができるのは、フィット登場時などからの機能ですけれども、そこにいたるまでのインターフェイスがわかりにくく、すぐにCarPlay画面に到達できないのがもどかしかったです。

ホンダ ZR-V

金子浩久の結論:実用車の鑑だが、ちょっともったいない!

ホンダ ZR-V

 ZR-Vは、騒々しいけれども穏やかな乗り心地で燃費が良く、使いやすいところは実用車の鑑なのかもしれません。

 しかし、それだけでは積極的に選ぶ理由にはなりません。どこかに他メーカーとは違ったピリッとした“ホンダらしさ”があれば、ZR-Vとしての存在感がより一層と引き締まったのだと思われます。ちょっともったいないですね。

 

金子 浩久さん

自動車ライター

日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員(BE-PAL選出)。1961年東京都生まれ。趣味は、シーカヤックとバックカントリースキー。1台のクルマを長く乗り続けている人を訪ねるインタビュールポ「10年10万kmストーリー」がライフワーク。webと雑誌連載のほか、『レクサスのジレンマ』『ユーラシア横断1万5000キロ』ほか著書多数。構成を担当した涌井清春『クラシックカー屋一代記』(集英社新書)が好評発売中。

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