見たこともない自転車や用品が並び英語が飛び交う。ここはどこ?そう、2026年10月23日から25日に日本で初開催された「BESPOKED Osaka」の会場だ。日本のバイシクルカルチャーに新たな刺激を与えた、クリエイティブなイベントの様子を紹介する。
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イギリスで生まれたハンドメイドバイクの祭典が大阪で初開催された

BESPOKEDは、2011年にイギリスで初めて開催されたハンドメイドバイク、コンポーネントを中心にした自転車展。ロンドン近郊のブリストルで始まり、現在はドレスデン(ドイツ)でも開催されている。そして今回、アジア圏で初めて開催された。
BESPOKEDの特徴は、小規模な工房のクラフトマンシップや個性を大切にしている点にある。レースの世界を牽引する大手メーカーが主役の自転車ショーとは趣が異なり、会場にはものづくりへのこだわりを持つ個性派ブランドが集結した。しかも各国から作り手がやってきて自らの手で展示し、本人の言葉で説明する。独創的なプロダクトも興味深いが、ある意味、作り手とサイクリストを繋げる人が主役のイベントともいえる。今回は、自転車産業の拠点である大阪開催ということもあり、日本のブランドも多数出展した。

日本が誇るクラフトマンのブースをチェック


埼玉県の自社工場で高精度のペダルを生産し、その技術力が世界で評価されるMKS(三ヶ島製作所)。驚くほどよく回転する人気モデルをベースに踏み面を大きくしたペダルや、バイクパッキングで便利そうな小型ラックなどの試作品を展示。そんな製品を魅力的に見せるカーゴバイクを使った什器もいい感じ。

運ぶことを楽しむアイデア

東京でサイクリングバッグをハンドメイドするオーストリッチ(アズマ産業)のブースの中心には、フレームとバッグが上手にコーディネートされた旅を連想させるショーバイクがあった。そのバッグには、創業当時のレトロなロゴがあしらわれ、会場の雰囲気にも馴染んでいた。ほかにも、ぬいぐるみを持ってサイクリングして旅先で写真を撮る「ぬい活」用のバッグなど、新しい動きに対応したユニークな製品も目を引いた。


東京、名古屋の人気ショップが仕掛ける注目のブース

東京のブルーラグのほか、名古屋のサークルズが展開するシムワークスなど、個性的な自転車を好む層から熱烈に支持される人気ショップが母体となりサプライヤーに成長したブランドのブースも発見。ブルーラグのブースでは、ハンドメイドのリフレクターをその場で縫って仕上げてくれるサービスを実施。オリジナルフレームなども展示されていた。

シムワークスのブースでは、デザイン性に優れた自転車のほか、小物やウェアまでトータルに展開。色づかいなどグラフィックデザインのセンスの良さはまさにワールドクラス。

日本の有名ビルダーも参加
京都で1929年に開業し、現在はオーダーメイドフレーム工房として知られるビゴーレカタオカも出展。ビルダーの片岡さんもブースに立ち、気軽に話をしてくれた。「京都の道を走ったときに、よく進み、疲れにくい自転車を作っているんです」という言葉が印象的だった。地域のお客様と向き合い、1台1台丁寧に自転車を仕立てる。そんな地域に根ざしたものづくりの姿勢こそ、このショーの本質ではないか。

会場を歩いて気になったバイクとグッズ

各国から集まったフレームビルダーのブースには、今までに見たこともないような奇抜なデザインのバイクも少なくなかった。

会場では、フットワークのいいビルダーが早々に投入した、32インチという新しいホイールサイズに対応したバイクが目立った。欧米のグラベルシーンでも注目され始めている規格で、ホイール径を大きくすることで、荒れた路面での走破性や巡航速度の向上を狙っている。1,000kmを超えるような長距離グラベルレースを中心に真価を発揮しているという。会場にはグラベルバイクだけではなく、MTBに装着したモデルもあり、今後の動向が気になるトレンドのひとつといえる。

グッズ系でおもしろかったのが、ドイツのハンドメイドバッグブランド「FAHRER」の製品。タイベックを使った結束用ストラップで、バナナやキュウリをそのままフレームに装着したディスプレイが目を引いた。「軽くて、丈夫で、伸びない」そうなので、キャンプや旅行でも使い勝手がいいという。20年以上の歴史があり、本国では人気だが、まだ日本の正規代理店がないので募集中とか。


「Chamelion」は、アメリカ・シアトルで生まれたカーゴシステム。プラスチック製のラックに、様々なアタッチメントをワンタッチで装着できるアイデア品。ライトとバックミラーがセットになった製品と、キュートなカラーのカゴなどを付け替えて見せてくれた。メタル感の強いものやタフさを主張するアクセサリーが多い中、ファンシーなデザインが目を引いた。



サイクリスト同士が自由に語り合えるサロンのような会場

展示会場は2つの倉庫からなり、その間のスペースにはキッチンカーが登場。初日は淹れたてのコーヒーやタコスが販売された。そこには長いベンチがいくつも配置され、コーヒー片手に気ままに話すサイクリストの姿があった。そしてレンガ倉庫の壁を背景に熱心に商品撮影するフォトグラファーの姿も。有名メーカーが並ぶスケールの大きな既存の自転車ショーとは異なるスローで自由な雰囲気が心地よかった。
その中心には、まぎれもなく人の想いがあった。製品を作る人も、ショーを運営する人も、来場する人もみんなサイクリスト。その共通言語を尊重することで、ユルさと革新を両立。イギリスで生まれたバイクショーが、日本を代表する職人たちを交えながら、オリジナルに近いスタイルで展開してくれたことには、サイクリストとして感謝しかない。BESPOKED Osakaは、早くも2027年の開催が決定した。次回はどんなクラフトマンがやってくるのか今から楽しみでならない。
■BESPOKED
https://bespoked.cc/




