自転車で行くキャンプ旅は楽しいぞ~!グラベルバイクでバイクパッキングしてみない?
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    2024.09.07

    自転車で行くキャンプ旅は楽しいぞ~!グラベルバイクでバイクパッキングしてみない?

    自転車で行くキャンプ旅は楽しいぞ~!グラベルバイクでバイクパッキングしてみない?
    必要最小限の道具だけを厳選し、それを工夫して自転車に積み込み、自力で走ってキャンプ場へ。いろいろなスキルが必要とされるが、その分、達成感も大きい"自転車キャンプ"。自転車も積載方法も、多様なスタイルがあるが、今回は最新のグラベルバイクとバッグを使ってバイクパッキングしてみた。

    オートキャンプでは味わえないクセになる冒険感

    自転車用のキャリアやラックを使わず、バッグを直接フレームやハンドルなどに装着。そこにキャンプ道具を積み込み、キャンプツーリングに出かけることを「バイクパッキング(Bikepacking)」という。最小限の道具を厳選し、できるだけ装備を軽くすることで、移動途中の走りも楽しめるアドベンチャー感のある遊び方だ。最近では定義も緩くなっていて、ラックを使ったパッキングスタイルでも、バイクパッキングと呼ぶ人もいる。

    いずれにせよ、機動力の高い自転車で移動するため、自動車より自由に、歩くより速く、しかも人力だけで旅を楽しむワクワク感を味わえる。要は自転車で自走キャンプすること自体が日常とかけ離れた冒険であり、それが楽しいわけだから、自転車や道具の積み方、ましてや呼び方に執着する必要はない。

    バイクパッキングスタイルの自転車

    キャリアやラックを使わず、自転車に直接バッグ類を搭載するバイクパッキングスタイルでキャンプに行ってみた。

    とはいいつつ最新ギアは気になるもの。そこで使ってみたかった憧れの最新ギアを輸入代理店からお借りした。バイクは、コナのグラベルバイク「ローブLTD」。そこに、ドイツの防水バッグブランド=オルトリーブがリリースする「バイクパッキングシリーズ」のバッグを装着。総額41万6900円(自転車+バッグ)となかなかゴージャスな仕様だ。

    普段は、20年近く乗り続けている古めかしいバイクを使い、大型のフロントラック&バッグをメインに、サドルバッグとフレームバッグにも荷物を振り分けて自転車キャンプを楽しんでいる。レトロなキャンプツーリングスタイルと、最新のバイクパッキングスタイルでは、なにが違うかをレポートしたい。

    普段キャンプに行くときに自転車

    こちらはマイバイク。普段は、こんな感じの装備で自転車キャンプを楽しんでいる。前加重かつ高い位置に荷物が集中するため、ハンドルのふらつきが大きい。<撮影:花岡 凌>

    バイクパッキングに相応しいバイクと、使いやすいバッグ

    目的地は、自宅から約35km離れたキャンプ場。途中、道路がかなり荒れた広域緑道、河川敷など、ダートやそれに近い路面を走る区間も多い。目的地のキャンプ場は都市型で、自転車で15分も走れば大型スーパーがある。キャンプは1泊2日。キャンプ道具は、必要最小限のものを厳選。

    食材やアルコール類(ビール、ワイン)は、キャンプ場に到着後、設営してから買いに行けるので、積載したのはキャンプギアだけ。少ない着替えと撮影用の機材は、バックパックに収納した。

    グラベルバイクは、キャンプツーリングのためにある

    コナ/ローブLTD

    グラベルを走ったときの安定感や振動吸収性がいい感じ。普段の街乗りでも快適なコナ/ローブLTD。

    コナ/ローブLTDについては、以下の記事で詳しく紹介しているので簡単に。

    乗りやすくて用途が広い、旅系グラベルバイク=コナ/ローブを選ぶべき理由とは?

    このバイクは、アルミよりも格段に乗り心地がいいクロモリスチール製のフレームに、振動吸収性に優れたカーボン製のフロントフォークを組み合わせている。フレームとフォークには、市販のバッグなどを装着するためのネジ穴がたくさん用意されている。変速機はフロント2×リア11段。ブレーキは、制動力に優れる油圧ディスクだ。そして、タイヤは650B×47というMTBに近い太さのものだから未舗装路でも安心だ。

    しかも、フレームの設計は、スピードや着順を競う極端なレース仕様ではない。キャンプツーリングや普段乗りに照準を絞った、ゆっくり乗っても楽しく体がラクな、いわば「ユル系」のスポーツバイクなのだ。低速安定性が高いから、キャンプ道具を積んでも安心して走れた。もちろん、その気になってペダルを踏めば、ハイスピードでグラベルを駆け抜けることもできる。

    コナ/ローブLTD

    防水バッグだから、雨が降っても安心

    グラベルを走る筆者

    基本設計のいい自転車とバッグの配置により重量バランスが取れているため、舗装路からグラベルまで気持ちよく走れた。

    バッグは、すべてオルトリーブの防水仕様。今回使ったバッグは、そこに収納していった道具とあわせて紹介する。すべてのバッグに共通して感じたことは、装着のしやすさと軽さだ。面ファスナーやストラップなど、装着する場所によって最適な装着方法が選択されていて、走行中に緩むことも、フラフラと揺れることもなかった。

    どのバッグもバイクと一体になり、しかも前後の車輪の内側にすべてが収まるために、走行バランスが保たれ、ハンドリングが極端に悪くなることもない。2日間とも晴天だったため、防水性は試せなかったが、積載性のみならず走行性まで、バッグとしての完成度の高さに驚かされた。

    ハンドルバーパック 9L

    フロントバーパック

    フロントバーパックのストラップを使って、バッグの外側にチェアとカップを積んだ。

    このバッグは、両サイドが開閉できるタイプなので、テント(ポール)などの長い物でも出し入れがしやすい。ハンドルへの装着は、まず面ファスナーのストラップで固定した上に、オレンジ色のストラップを使って固定する。この二重構造のストラップのおかげで、しっかりと取り付けられる。さらに背面には、パッドを介してヘッドチューブに回すストラップもある。走行中に不快なバッグの揺れを一切感じなかった。

    固定用のストラップ

    面ファスナーとストラップでバッグとハンドルを固定する。しっかり固定できるうえ、着脱もしやすかった。

    バッグをヘッドチューブに固定

    もう1本のストラップは、衝撃吸収用のパッドを介してヘッドチューブに留める。

    このバッグのなかには、ソロテント(スノーピーク/ラゴ1)だけを積んだ。開閉口はロール式で荷物のサイズに合わせて大きさを変えられる。エア抜きのバルブも付いているので、簡単に空気を抜いてコンパクトにできる。さらに外側のストラップを利用して、バッグの外にヘリノックスのチェアゼロと、スノーピークのチタンマグカップを取り付けた。

    ハンドルバーパックに積載した道具

    ハンドルバーパックに積載した道具。バッグの両サイドが大きく開くので道具の出し入れがしやすい。

    ハンドルバーパック 9L

    • 価格:22,000円
    • サイズ:幅40×高さ16×奥行き16cm
    • 容量:9L
    • 重量:375g
    • 耐荷重:5kg
    • 発売元:ピーアールインターナショナル
    • ホームページ:http://g-style.ne.jp/brand_detail.php?id=21

    シートパック 16.5L

    シートパックを装着したところ

    シートパックを装着したところ。シートポストがある程度出ていないと装着できないので注意。

    ロール式で荷物の量とサイズに合わせて容量を調整できるシートパック。今回は、出発前に晴天と気温上昇が予想できたので、熱中症対策のために急遽タープ(スノーピーク/ペンタシールド)を積載。あわせて長めのポール(収納サイズ=長さ38cm)も2本用意。ほかにSOTOのミニマルホットサンドメーカー、BE-PAL付録の小型焚き火台を入れた。長い物、かさばるものの収納で威力を発揮する便利なバッグだ。こちらにもエア抜きバルブと、外付け用のバンジーコードが付属する。とにかく容量が大きく、まだまだ余裕があった。

    シートパックに積んだもの

    シートパックには、タープ、ポール、ホットサンドメーカー、焚き火台とスパッタシートを入れた。

    シートパック 16.5L

    • 価格:29,700円
    • サイズ:幅64×高さ30×奥行き22cm
    • 容量:16.5L
    • 重量:456g
    • 耐荷重:5kg

    フォークパック 4.1L×2個 

    フォークパックをフロントフォークに装着したところ

    フォークパックをフロントフォークの左右に装着。

    フォークパックを装着した自転車。左側

    こちらは左側。今回使ったオルトリーブのバッグはすべて防水なので雨でも安心。

    フロントフォークの左右にフォークパックを装着。このバッグは、アダプタープレートを装着しておけば、レバー操作でワンタッチで着脱できる便利品。左側には、寝袋、マット、バーナー、モバイルバッテリーを。右側には、調理器具(カップ類)、カトラリー、ナイフ、プラティパス、ライト、ランタン、洗面用品、タープ用ペグなどの小物を収納。今回は、4.1Lで丁度よいサイズ感だったが、もう少し長期になって荷物が増えた場合を想定すると、ひとまわり大きな5.8Lサイズという選択肢が用意されているのもうれしい。

    自転車に装着したときに、バッグが前輪の中心より内側(体寄り)にセットできた。このため重心バランスを崩すことなく、ハンドルの操作性が鈍くならない点がかなり快適だった。いつか長距離やグラベルだけを走って移動する旅にも使ってみたい。

    バッグをアダプターから外したところ

    専用のアダプターをネジ留めしておけば、バッグ本体はワンタッチで着脱できる。

    左側のバッグに入れたもの

    左側のバッグに入れたもの。

    右側のバッグに入れたもの

    右側のバッグには、小物を入れた。ソロで1泊なのでコッヘルは省いた。その代わりにロッキーカップ、フライパンを用意。

    フォークパック 4.1L

    • 価格:11,000円(1個)
    • サイズ:幅17.5×高さ28×奥行き11cm
    • 容量:4.1L
    • 重量:290g
    • 耐荷重:3kg
    • 付属品:QLSsystemアダプター

    フレームパックトップチューブ

    フレームパック

    フレームの間の空間を無駄なく使えるフレームパック。着脱も簡単。

    4本の面ファスナーでフレームに装着するフレームパック。バッグ上部のフレームと接する部分の素材が滑りにくいもので、一度、面ファスナーのストラップを締めると緩みなく走れるところはさすが。大きなジッパーは引きやすく開閉が楽。

    ここには、折りたたみテーブル、ガスカートリッジ、折りたたみ式の火バサミ、空気入れ、パンク修理セット、工具、ワイヤーロックを収納。まだ余裕があったので、荷物が増えた場合に備えてラバーストラップ2本も入れた。走行中に自転車のトラブルがあったときに対処するための道具は、すべてここに。

    フレームパックに積んだ道具

    フレームパックに積んだ道具。自転車用の工具類は、すぐに取り出せるようこのバッグにまとめた。

    フレームパックトップチューブ

    • 価格:22,000円
    • サイズ:幅40×高さ15×奥行き6cm
    • 容量:3L
    • 重量:170g
    • 耐荷重:3kg

    バッグ以外に装着した小物

    ハンドルにバッグを装着したため、へッドライトを取り付ける場所がなくなった。そこでフロントフォークの先端にあるネジ穴に、市販のライトマウントを装着して対応した。メインフレームには、ボトルケージ1個とボトルをセット。

    今回は、途中、コンビニやスーパーが多いルートだったので、ボトルは1個で十分と判断したため。そのほか、万が一、帰りに荷物が入らなくなった場合に備えて、積載性を確保するケージ(小さなキャリア)をボトル台座に装着。幸い今回は出番がなかった。

    ヘッドライトの装着例

    ヘッドライトは、フォークの先にあるネジ穴に、マウントを付けてセット。

    ライトマウント

    ポール/ジノライトマウントという製品を使用。同じようなマウントは各社から発売されている。

    ボトルケージと小型ラックを装着

    ボトルケージのほかに、シルバンワークス/カーゴケージを装着。小さいけれど、いろいろな積載方法ができる便利品。

    冒険感を楽しめる自由なバイクパッキング

    今回積載した道具の重さは約9kg。それなりに重量感はあるが、普段自分が使っている自転車と比べて、重量配分が良く、ハンドリングに変なクセも出ることなく、安定して走れた。基本設計がツーリング向きのグラベルバイクと、たっぷり積めてバランスよく走ることを両立したバッグのおかげで、重い荷物を装備して走ることが、まったく苦にならないキャンプツーリングを楽しめた。今の時代、せっかくこんな素晴らしいバイクとギアがあるのだから、それを選択しない手はないと実感した。

    いくつになっても子供のころのように心躍るバイクパッキング。自転車で街を抜け出し、自力で移動するからこそ体験できる、アドベンチャー感満載のキャンプスタイルをぜひ試していただきたい。

    私が書きました!
    フリーランスライター
    山本修二
    東京生まれ、名古屋在住。自転車好きライターとして本誌を中心に東京で活動し、2015年に名古屋へ移住。東海エリアの食とアウトドア環境を満喫中。肩の力を抜いてユルく自転車に乗りたい人のためにまとめた著書『スポーツ自転車でいまこそ走ろう!』(技術評論社)、好評発売中。http://yamabon.jp

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