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福岡県の山登りスポット
『日本新三大夜景』の一つとして認定された皿倉山や、樹齢600年以上の希少種エドヒガン「虎尾桜」など思わず撮影したくなるような絶景スポットばかりだ。
(BE-PAL 2023年11月号~2025年4月号、BE-PAL.NETより)
福岡県の山
宝満山(ほうまんざん)

九州きっての修験の山「宝満山」。実際に登ってみた様子をレポート!
コースタイム:4時間00分
総距離:6km
標高差:679m
コース
GOAL 宝満山←→中宮跡←→徳弘の井←→一合目鳥居←→竈門神社←→START 内山バス停
太宰府駅から内山バス停までバスで10分。中宮跡から山頂までは男道という巨岩の多い急坂を登り下りしたが、下山は東側のなだらかな女道を歩いてもよい。
私たちが挑戦しました!

先生 大塚 真さん(画像左)
ライター、編集者。石仏・石碑を見つけると裏に回って銘文を読む習性がある。編集した本に『伊能忠敬の古地図を歩く』など。
生徒 黒田りささん(画像右)
福岡県久留米市出身。「度胸と愛嬌」をモットーに、地元テレビ局のリポーターや、ラジオ番組のパーソナリティーとして活躍する。
登山スタート

古代の役所・大宰府政庁跡から見た宝満山。雲をまとった姿が煙を出す竈に似ていることから、古くは竈門山と呼ばれた。
07:25 種子をチェック

『石仏探訪必携ハンドブック』には種子の一覧表があり、その石塔がなんの仏さまを敬ったものかが明らかになる。
歴史の山の必携品!

(左)仏像や石塔の見方を解説する冊子。
(右)国土地理院の旧版地形図。古道発見に必須だ。
07:30 竈門神社に参拝

山は、大宰府の東北(鬼門)に当たるため、災いを除けるために山頂に神を祀ったのが始まり。こちらは下宮。現社殿は昭和2年建造。
08:00 一の鳥居の碑文を確認

右柱に「松平光之」、左柱に「平石坊弘有」の銘。弘有は廃れていた宝満山を再興した修験者。ここで林道が終わり、石段の道となる。
08:30 水場で水分を補給

徳弘の井。井戸は失われているが、沢水を汲むことができる。この前後はきつい石段の登りなので、水分補給をしておきたい。
09:00 ジブリ風の廃墟に遭遇

石塔に「福岡市寄進」。福岡の松屋百貨店が建造を試みた「岩窟ホテル」の残骸だという。もとは亀石坊という修験の宿坊跡とされる。
09:15 倒れかけた芭蕉句碑

鳥居の笠木製。芭蕉がここに来たのではなく、句中の「栗」の字が西方浄土(西+木)を表わし、縁起がいいから建てられたという。

徳弘の井の先の「百段ガンギ」。歩きやすい石段だが、上りが続くので疲れる。「これは修行ですね」とゆっくり歩を進めていく。
09:20 中宮跡で役行者像を探索

ふたつの種子の彫られた磨崖梵字岩。銘の「文保二年」は1318年(鎌倉時代)だからとても古い!

下の岩穴に役行者の金像はなかった。
09:30 二の鳥居を探索

日記に出てくる二の鳥居は柱の下部だけ残して倒れていた。

地元の登山者によれば、芭蕉句碑はこの鳥居の笠木を利用したものだという。

大正時代までは立っていた。
10:10 頂上の眺望を堪能

山頂の稚児落としの岩。山頂は360度の展望が開け、福岡市街や博多湾のほか、英彦山、雲仙岳、脊振山など九州の名山を望める。

山頂の上宮。現社殿は昭和32年建造。神社にしては珍しく西北(博多湾方面)を向いている。海防の願いが込められているという。
山頂下は巨岩、奇岩が連続

竈門岩のひとつ仙竈岩。字は書画で有名な仙厓和尚。これらの岩が竈に似ているから、竈門山と名付けられたという説もある。


11:30 益影の井で若返る

帰りに立ち寄った。道からはずれて20mほど下ったところにある。雨乞いの祈祷水に使われ、今も清水が湧く。「顔つやつやでしょ」
宝満山の岩が天満宮に

太宰府天満宮の手水鉢は宝満山から切り出した巨大な一枚岩。天満宮は竈門神社から歩いて40分。隣の九州国立博物館と合わせてぜひ。
撮影/江藤大作
▼参考記事
皿倉山(さらくらやま)

標高:622m
夜景がきれいな山として知られている「皿倉山」。山頂から見下ろす夜景は「100億ドルの夜景」と呼ばれ、令和4年『日本新三大夜景』の一つとして認定されているほど(他は長崎市、札幌市)。登山だけでなく観光スポットとしても人気があり、ケーブルカーとスロープカーを乗り継げば山頂へ簡単に辿り着ける。
日本山岳協会認定登山ガイドの河野 綾子さんが登山の様子をレポート。
煌彩の森コースを歩き山頂を目指そう
山麓駅から622mの山頂へ登山道を歩いて日帰り登山を楽しもう。山頂からは、海や市街地、周囲の山々が見渡せ、素晴らしい展望が待ち受けている。

今回のコース
コースの距離:約5km
コース:山麓駅山口→〈煌彩の森コース〉(80分)→皿倉平(20分)―皿倉山(10分)→国見岩(70分)→山麓駅山口(3時間休憩なし)
山麓駅の舗装路からすぐ登山道へ入ると、自然林の中に入り、今回の核心である見返坂が現れる。この坂はなかなかの急登なので、急すぎると思った方は、迂回路があるのでそちらを利用するのも良いだろう。さらに進むと、皿倉の泉と名前のついた水場があり、足場が悪い箇所もたまにあるので注意して歩こう。

皿倉平に出たら山頂はもうすぐ
登山道から8合目の皿倉平に到着すると、その先は舗装路になっている。4月上旬頃から山頂一帯の桜が満開になり、見事な景色が広がる。余裕があれば、30分足らずで到着する権現山へ立ち寄るのもいいだろう。皿倉山ビジターセンターの横には、春になるとミツマタも美しく咲き始めるのでぜひ立ち寄って欲しい。

山頂からは北九州市の展望抜群!夜景も見てみたくなるはず
この先は、ケーブルカーで来た人も歩くので、道が整備されており歩きやすい。山頂に到着するとたくさんの人で賑わっていることが多く、案内板があるのでどの景色が見えているのか確認したりとゆっくりと楽しんでほしい。レストランがあリ、ご褒美にランチをいただくのもいい。

ロッククライミングの場所でもある国見岩へも立ち寄りたい
山頂の景色を楽しんだら、国見岩へ。昔、神功皇后がこの岩場に立って遠賀、下関方面を望遠したという言い伝えから「皇后国見岩」と言われている。今は街並みの景色が見えるが、昔も岩の上からの展望は抜群だったことだろう。岩の先は絶壁となっているのでくれぐれも注意。ロッククライミングをしている人に会えるかもしれない。この先は、急な斜面が時々あるルートを下り、帆柱稲荷神社に立ち寄りゴール。
アクセス情報
公共交通機関
JR八幡駅から車(タクシー)で約5分、徒歩約30分。
JR八幡駅―皿倉山ケーブルカー山麓駅にシャトルバスが運行。
マイカー
北九州市都市高速「大谷ランプ」より約5分。
帆柱公園「立体駐車場」へ(有料)。
登山ウェアや持ち物について
春先や秋の登山は肌寒いこともあるため、レインウェア上下や、フリースなどを持参するといいだろう。トイレは登山口、山頂付近にいくつかあるので安心だ。
▼参考記事
福智山(ふくちやま)

一本サクラの虎尾桜は圧巻の景色
標高:900.5m
コースタイム:2時間30分
難易度:★★★
3月下旬〜 サクラなど
いくつか登山コースが整備され、初心者だけでなく上級者からも人気を集める。中腹には樹齢600年以上の希少種エドヒガン「虎尾桜」が。濃い緋色の見事な花を咲かせ、その迫力の大きさは唯一無二。

井原山(いわらやま)

標高:982m
コースタイム:2時間
難易度:★★
4月下旬〜 コバノミツバツツジ、オオキツネノカミソリなど
四季を通して植生豊かな花の名峰
“花の名峰”と呼ばれ、その植生の豊かさは随一。4月下旬から5月初旬あたりに見頃を迎えるコバノミツバツツジが、山頂付近一帯をピンク色に染め上げる。彩られた花のトンネルを楽しむために訪れたい。

▼参考記事
立石山(たていしやま)

標高:210m
コースタイム:1時間20分
山頂から糸島の全貌を一望
観光地として急速に人気を集める糸島にある低山。立石山は海に面する独立峰で、山頂は島の全貌が一望できる絶景スポットだ。芥屋第2駐車場から歩くコースは片道約40分だが、中腹まで車で上り、そこからなら山頂まで、わずか15分。レベルに合わせて調整したい。どちらも海を眺めながら爽快に歩ける。登山道にはいくつか大きな岩場があり、とくに頂上手前にある撮影スポットは“インスタ映えスポット”として話題だ。
写真提供/糸島観光協会(立石山)
▼参考記事
佐賀県の山登りスポット
奇岩・巨岩が圧巻の黒髪山や、初心者もチャレンジしやすい天山など、登りごたえのある低山を紹介。
(BE-PAL 2023年11月号、2024年6月号より)
佐賀県の山
黒髪山(くろかみやま)

標高:516m
難易度:★★★
ダイナミックな山歩きが楽しめる
鎮西八郎為朝が大蛇を退治した伝説などが残る山。いたるところに奇岩・巨岩があり、低山ながらも登りごたえ抜群!

▼参考記事
天山(てんざん)

標高:1,046m
コースタイム:1時間30分
3つのルートのうち天山上宮と天川ルートは、初心者向け。どちらも山頂まで30〜40分で登れる。広々とした山頂は、開放感も抜群。南北朝時代に亡くなった肥後の武将・阿蘇惟直の墓がある。
▼参考記事
長崎県の山登りスポット
天然記念物の「オオヤマレンゲ」がひっそりと咲く雲仙普賢岳や、360度見渡せる大パノラマの絶景が楽しめる白嶽など、中級者向けの山を紹介。
(BE-PAL 2023年11月号、2024年4月号より)
長崎県の山
雲仙普賢岳(うんぜんふげんだけ)

コースタイム:2時間
難易度:★★★★
ベストな時期:6月中旬
オオヤマレンゲが森の中にひっそりと咲く
ミヤマキリシマが有名だが、森の貴婦人といわれるオオヤマレンゲも透き通るような花弁が美しい。ロープウェイの利用も可。
オオヤマレンゲ

▼参考記事
白嶽(しらたけ)

標高:519m
難易度:★★★
巨大な花崗岩の岩を巡れる
巨大な花崗岩の岩が数多くあり、飽きない。雄岳と雌岳の2つからなるが、山頂は雄岳。360度の眺望は圧巻!

▼参考記事
熊本県の山登りスポット
火山と花の両方が楽しめる烏帽子岳をはじめ、雄大な地形を眼下に見下ろせる山を紹介。
(BE-PAL 2023年11月号~2025年10月号より)
熊本県の山
烏帽子岳(えぼしだけ)

コースタイム:2時間
難易度:★★
ベストな時期:5月中旬
山の斜面がピンク色に染まる美しい世界
烏帽子岳は、草千里ヶ浜から山を眺めるだけで、ミヤマキリシマでピンク色に斜面が染まっているのがわかる。実際に登ると、さらに感動!そこから草千里ヶ浜方面を見下ろすのも美しい。



阿蘇山の中岳火口を近くで見られ、火山と花の両方が楽しめる。ハイシーズンは混雑するので早めに行動を。
▼参考記事
根子岳(ねこだけ)

標高:1,433m
コースタイム:約3時間20分
難易度:★★★
阿蘇五岳の中で最も古い時代の火山
頂の形がネコに似ていることから根子岳と名がついた。そのギザギザの山容は「阿蘇の涅槃像」とも呼ばれる。一般的なコースは「大戸尾根コース」。尾根道を歩いて山頂を目指す。10月下旬から11月上旬にかけて、尾根の西側にある「地獄谷」の紅葉が美しい。山頂は広くはないが、休憩は可能。

阿蘇五岳のひとつである中岳から根子岳を見た景色。

田んぼに写る根子岳の山容。
▼参考記事
次郎丸嶽(じろうまるだけ)

標高:397m
難易度:★★
スパッと切れ落ちた崖が特徴の山
天草上島の東部にあり、東側はスパッと切れ落ちた崖が特徴。登山口にある『太郎丸・次郎丸物語』を読むとさらに楽しい!
▼参考記事
大分県の山登りスポット
日本百名山の一つ、九重連山や、低山とは思えない眺めと岩のスリルの中山仙境を紹介。
(BE-PAL 2023年11月号、BE-PAL.NETより)
大分県の山
九重(くじゅう)連山

標高:中岳/1,796m、天狗ヶ城/1,780m
日本百名山の一つ、九重(くじゅう)連山は大分県に位置し、北は玖珠郡九重町(ここのえまち)、南は竹田市久住町(くじゅうまち)にかけて広がる、九州の代表的な山。九州本土最高峰中岳(1,791m)をはじめ、久住山、大船山、星生山など1,700m級の山々が連なり、“九州の屋根”とも呼ばれている。
日本山岳協会認定登山ガイドの河野 綾子さんが登山の様子をレポート。
九州で登山といえば「九重連山」は外せない。登山口も複数あり、アプローチや縦走ルートによって、様々な楽しみ方ができる。今回は日帰り登山にピッタリな約10kmのコース距離プランをご紹介。
今回のコース
コースの距離:約10km
コース:
牧ノ戸峠登山口(40分)→沓掛山(50分)→扇ヶ鼻分岐(30分)→久住分かれ(30分)→天狗ヶ城(20分)→中岳(40分)→久住分かれ(30分)→扇ヶ鼻分岐(80分)→牧ノ戸峠登山口(合計6時間20分休憩なし)
1,700m級の2座、天狗ヶ城と中岳、そして青い水をたたえる御池を見に行ってみよう。夏の登山はやはり暑いため、早朝の出発がおすすめだ。

スタートは一番人気の「牧ノ戸峠」から
九重連山は、さまざまなルートがあるが、「牧ノ戸峠」から登り始めるコースでスタート。駐車場、トイレ、売店があることから人気の登山口だ。スタートするとしばらくは舗装路を上っていくが、ウォーミングアップも兼ねてゆっくり歩くのがポイント。
15分ほどで第一展望台に到着。三俣山、タデ原湿原、由布岳などが見えてくるだろう。暑くなってきたら衣類を脱いだり、荷物を調整するなどして、水分補給も忘れずに、美しい景色を眺めよう。舗装路はしばらく続くが、第二展望台に着けば、阿蘇山、星生山や久住山が見えてくる。
その先へ進むと、本日の登山の1座目の沓掛山(くつかけやま)へ到着。ここからの展望も抜群!山頂付近は岩場なので注意して歩こう。

変化に富んだ景色を楽しもう
沓掛山を通過し、展望や鳥の声などを楽しみながら進んでいく。扇ヶ鼻分岐(おうぎがはなぶんき)で一息ついたら、平坦で歩きやすい西千里ヶ浜へ。しばらく歩くと目の前に、尖っていて美しい久住山が姿を現す。
北側は星生山の稜線が続いており、歩く人の姿が小さく見えるかもしれない。岩場を越えたら久住分れに到着。トイレ(清掃協力金100円)、避難小屋があるので一息つく。阿蘇山の眺めも素晴らしい分岐点になる。

天狗ヶ城へ
久住分れで一息ついたら、いよいよ天狗ヶ城を目指す。山頂直下はゴロゴロの岩場歩きなので、浮石に注意しながら一歩一歩慎重に上って行こう。眼下に青い水をたたえた御池が見えてくる。
山頂では、360度の大パノラマがお出迎え!疲れも一気に吹き飛ぶ。天狗ヶ城から降りる際は、大きな岩を通過する箇所があるので、注意しながら歩こう。鞍部に降りたら、次に登る中岳が目の前に見えてくる。

九重連山最高峰 中岳へ
中岳直下も岩場になっている。なかなかハードな道が続くため、ゆっくり確実に歩こう。たどり着いた山頂からはまた絶景が広がり、ゆっくりとランチタイムを取るのにぴったり。
休憩後は鞍部におりて、御池方面へ。池の側を通ることもできるし、少し高巻きをして池を見下ろしながら歩く事も可能。夏は、青い空と池、緑がとても美しい。

来た道をのんびりと戻ろう
ふたたび久住分かれへ戻って、来た道を歩いて行く。下りは特にゴロゴロした岩に注意しつつ、もう一度沓掛山を通過し、舗装路を下れば牧ノ戸峠へゴール。

アクセス情報
公共交通機関
九重町コミュニティバス 「豊後中村駅」―「牧ノ戸峠」
九州産交バス「別府駅前本町」ー「牧ノ戸峠」(要予約)
車
九州大分自動車道九重I Cで下車。飯田高原中村線県道40号、621号、牧ノ戸峠へ。約40分。
登山ウェアや持ち物について
夏の暑い時期なので日が昇るとやはり暑い。昼からは積乱雲が発達し天候が崩れる可能性が高いため、早い時間の出発をおすすめする。水分は1.5L以上、塩分、冷たい飲み物なども持っていこう。暑い時期は無理をしない登山スタイルで。きついと思ったら引き返す勇気を。
▼参考記事
中山仙境(なかやませんきょう)

標高:317m
難易度:★★★★★
奇岩・絶景の山。切り立った岩峰がニョキニョキ立ち並ぶ不思議な景色が見られる。低山とは思えない眺めと岩のスリルに驚くだろう。
▼参考記事
宮崎県の山登りスポット
複数の登山ルートがあり何度も楽しめる高千穂峰や、羨望抜群の韓国岳を紹介。
(BE-PAL 2023年11月号、2024年6月号より)
宮崎県の山
高千穂峰(たかちほのみね)

標高:1,574m
コースタイム:4時間
龍馬も登った天の逆鉾が立つ
霧島連山の主峰、宮崎県と鹿児島県の境界にあり複数の登山ルートがある。樹林帯を抜けると火山礫が堆積した道になり、火山群らしい荒涼かつ雄大な景色が魅力。天孫降臨の伝説があり、山頂には「天の逆鉾」が立つ。かつて坂本龍馬も妻おりょうと登り、山登りの様子を絵入りの手紙を姉の乙女に送っている。

登山口近くの霧島神宮古宮址。かつての霧島神宮の跡地。噴火で焼失し現在の地へ。現在もここで祭事は行なわれる。
コース
有料駐車場(公共交通機関ではアクセス不可)がある高千穂ビジターセンターを起点にする。霧島神宮宮古宮址前を通り、登山口へ。背門丘を経て高千穂峰山頂を目指す。往路は同じ道をいく。
写真/須藤ナオミ
▼参考記事
韓国岳(からくにだけ)

標高:1,700m
コースタイム:2時間55分
韓国まで見渡せるほどの眺望
韓国岳は、えびの高原からのコースをチョイスすれば、山頂までは約90分。天気が良ければ桜島や開聞岳、眼下には火口湖の大浪池を見ることができる。
▼参考記事
鹿児島県の山登りスポット
日本百名山に選ばれた宮之浦岳をはじめ、登りごたえのある山を紹介。
(BE-PAL 2023年4月号~2024年6月号、BE-PAL.NETより)
鹿児島県の山
宮之浦岳(みやのうらだけ)・永田岳(ながただけ)

宮之浦岳は鹿児島県の屋久島の中で一番高い、標高1,936mを誇る山。九州最高峰であり、日本百名山にも選ばれている。世界遺産「屋久島」で自然を大満喫できる、宮之浦岳の山行をアウトドアライターのToshiさんが紹介。
宮之浦岳の登山スケジュール
1日目は、フェリーで鹿児島港から宮之浦港へ移動。その後バスで登山口に向かい、最寄りの山小屋に宿泊。
2日目には旅のハイライトである宮之浦岳へ。3日目は、縄文杉をはじめ屋久杉の景観を楽しむ、という2泊3日の山行だった。
食事や休憩の時間を除いた細かい活動内容を以下に記す。
1日目(合計1時間)
- 紀元杉~淀川小屋 1時間00分
2日目(合計8時間)
- 淀川小屋~黒味岳 1時間50分
- 黒味岳~宮之浦岳 2時間00分
- 宮之浦岳~永田岳 1時間00分
- 永田岳~平石 1時間10分
- 平石~新高塚小屋 1時間
- 新高塚小屋~高塚小屋 1時間
3日目(合計4時間)
- 高塚小屋~ウィルソン株 1時間00分
- ウィルソン株~辻峠 1時間40分
- 辻峠~白谷雲水峡 1時間20分
次の項では、1日目から山の様子を交えながら山行を紹介していこう。
1日目:山行に備えた準備
まずはバス停から淀川小屋へ

紀元杉は登山をしない方でも一見の価値がある、代表的な屋久杉。
宮之浦港からバスで揺られること1時間ほど。登山口最寄りの「紀元杉」というバス停で降車。
バス停の名前通り、紀元杉と呼ばれる推定樹齢3,000年の屋久杉がお出迎え。これを見るだけでも来る価値があると言えるほど、印象に残る屋久杉だ。

淀川小屋は20人ほどが寝ることのできるスペースがあった。
バス停から1時間ほど進むと、立派な山小屋が現れた。
一緒になった人たちとしばし談笑と夕食を楽しみ、明日からの山行に備えて早めに就寝。
2日目:宮之浦岳から永田岳へ
標高1,600mを超えて現れる湿原へ

木の根や段差に気を付けながら着実に進んでいく。
2日目は、まだ日が昇る前に小屋を出発。
長い距離を歩く予定になっていたため、「今日は歩くぞ!」と気合を入れて出発した。

小花之江河と花之江河は、標高1,600mを超える場所にある高層湿原。
ウォーミングアップも兼ねてゆっくりペースで体を慣らしているうちに、周囲が明るくなってきた。
しばらく歩いたところで、湿地帯に出ることができた。一気に視界が開ける気持ちのよい空間。
山行中は、ガイドツアーで訪れた登山客とも多くすれ違った。
ガイドツアーへの参加は初心者の方はもちろん、日頃から登山に親しんでいる方にとっても、屋久島に関する自然や文化について詳しく話を聞くことができる良い機会となる。
独特な岩の景観に感動しつつ、山頂へ

岩の上の岩。
湿地帯を過ぎて、さらに標高を上げていくと独特な花崗岩の景観を見ることができる。
どうしてこのようになったのだろうという好奇心と、他では目にすることができない景観に心が躍る。

無事に登頂!
その後、さらに進むと山頂へ到着。
山頂からは海が見え、改めて島の一番高い場所に来たことを実感する。
私が訪れた日は好天に恵まれ、口永良部島と種子島、開聞岳まで見ることができた。
道中一緒に歩いた方が、事前に気象神社でお祈りをしてきたとのことで、私も恩恵に与らせていただいた。
さらに永田岳にも登る

宮之浦岳から望む永田岳。
宮之浦岳の山頂から西側には、屋久島で2番目の標高1,886mを誇る永田岳を見ることができる。
荒々しい山容が格好いい山。いつまでも見ていたいところだが、今回はさらにこの永田岳にも登るため出発。

永田岳を登る道中の景色。
宮之浦岳を下山し、焼野三差路という分岐地点を経て永田岳を登る。
岩のゴロゴロ感が一層増してきたように感じる。

永田岳から望む宮之浦岳。
永田岳に到着。
永田岳がその荒々しい山容が印象的であったのに対し、改めて遠目から望む宮之浦岳は、なだらかな山容で優しい印象を受け、それぞれの魅力を感じた。
永田岳登頂以降は、下り基調の道を進んで行く。
この日の山行は、少し下った標高1,330mに位置する高塚小屋で終えた。
3日目:縄文杉からゴールへ
縄文杉に旅の安全祈願をして1日がスタート

縄文杉の推定樹齢は諸説あり、約2,000年~7,200年と言われている。
3日目、朝一番で訪れたのは、確認されている屋久杉の中で最も太いとされている縄文杉。実は、昨日泊った高塚小屋は、縄文杉まで徒歩約5分の場所にある。
そのため、高塚小屋に泊まったらこの縄文杉を訪れるのがおすすめだ。
縄文杉にこの先の旅の安全祈願をして出発。帰りのバスの時間が決まっていたため、やや早足で進んでいく。

切り株から新しい木が生えてきている。
この日は、昨日とは打って変わっての雨模様。
しかし、一緒に登山していた方の中に「雨の方が苔がイキイキして綺麗なんだよ」と教えてくれた方がいたため、苔に注目しながら楽しんで歩くことができた。

太い枝で繋がっている2本の杉は、夫婦杉と名付けられている。
縄文杉から白谷雲水峡までの区間には、多くの特徴的な屋久杉を見ることができる。霧がかった景色も趣がある。
トロッコ道からゴールへ

屋久島ならではの光景。
上り基調の道を歩き終えると、トロッコ道にたどり着いた。昔は、屋久杉を切り出して運搬するためのトロッコが走っていたそう。

苔むす森で、水と緑の景観に癒される。
映画の舞台にもなったと言われる苔むす森を経由し、最後は渓流沿いの道を進んでゴール。

白谷雲水峡登山口。
▼参考記事
開聞岳(かいもんだけ)

遠くには池田湖!
霧島錦江湾国立公園の一部にある開聞岳。登山&旅好きライターの櫻井 卓さんが登山の様子をレポート!
ライター 櫻井 卓さん

弊誌のほか、旅関連の雑誌、WEBなどでも執筆する登山&旅好きライター。趣味は国内外の国立公園巡りで、なかでもアメリカのヨセミテ国立公園は何度も通うお気に入りの場所。
360度オープンビューの開聞岳の頂を目指す
開聞岳登山スタート。公園の事務所にはコインロッカーがあるので、荷物を預けて身軽になって歩きだす。
出だしは、樹林帯。なるほど。「キツイ」という人がいるのもわかるっちゃわかる。でも、開聞岳の見せ場は七合目からだ。そのあたりから岩場が続いて、そこから頂上までは眼下に海を見下ろしながらの爽快な登り。辿り着いた頂上も360度見渡せるパノラマビューのご褒美付きだ。たしかに、ほぼ0mからのスタートだから標高差で考えればキツイといえばキツイ。けど、この景色は他ではなかなか出会えないスペシャル感がある。
登山口はキャンプ場直結!

宿泊地のキャンプ場は、開聞岳登山道のすぐ脇にあるから、多少の寝坊も問題なし!往復のコースタイムは約6時間。

登り始めから七合目あたりまでは樹林帯の中を歩く。地面が砕けた火山岩なので、ちょっと滑りやすい。足周りはしっかりと。
11:00 樹林帯を抜けると嘘のような風景が待っていた

頂上までもうちょい!
七合目を過ぎると、これまでの樹林帯が嘘のようなオーシャンビュー!登山中にこれだけ綺麗に海が見える場所ってなかなかない。山頂の景色も素晴らしいのひと言。登りはキツイがご褒美も豪華なのだ。
撮影/小倉雄一郎
▼参考記事
涌蓋山(わいたさん)

標高:1,500m
コースタイム:3時間40分
大分県九重町と熊本県小国町との境にある。広々とした草原から九重連山を一望できる、山頂からの眺めは爽快。
コース
はげの湯登山口←→林道登山口←→山頂
▼参考記事
八重山(やえやま)

標高:677m
コースタイム:2時間
お手軽ルートでファミリー登山も大満足
鹿児島市内から車で登山口まで約1時間で行ける人気の山。八重山公園側からは、登り始めの階段がキツイが急勾配も少なく、子供と一緒に登る人も多い。昔の炭焼き跡なども残り、歴史を感じながら山頂を目指せる。一等三角点のある最高点は展望がないが、5分ほど先に進むと広場があり、目の前には桜島がそびえ立つ。空気が澄んだ日には、開聞岳まで見えることも。登山口近くにはキャンプ場や温泉施設「源泉かけ流し ゆるり乃湯」もあるので、合わせて楽しめる。
コース
八重山登山道入り口駐車場→山頂→八重山登山道入り口駐車場

登山道には案内看板があるので、道に迷いにくい。「頂上まであと1km」など細かく表示され、歩く励みにもなる。甲突池から八重山公演の車道沿いには水汲み場が。柔らかく甘味のある水が飲める。

写真提供/FMさつませんだい
▼参考記事





















