赤坂〜虎ノ門一帯を歩いて見つけた都心の緑道と庭園【プロハイカー斉藤正史の東京GREEN WAY FILE.29】 | アウトドア・外遊び 【BE-PAL】キャンプ、アウトドア、自然派生活の情報源ビーパル

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2026.02.05

赤坂〜虎ノ門一帯を歩いて見つけた都心の緑道と庭園【プロハイカー斉藤正史の東京GREEN WAY  FILE.29】

赤坂〜虎ノ門一帯を歩いて見つけた都心の緑道と庭園【プロハイカー斉藤正史の東京GREEN WAY  FILE.29】
プロハイカーの斉藤正史さんが、独自の視点で東京23区内の緑道を「GREEN WAY」として捉え直し、実際に歩いた足跡を紹介します。身近なGREEN WAYでも四季折々の見どころがあり、街の意外な歴史にふれることができる、かもしれません。

今回は東京都港区の溜池山王駅〜虎ノ門近辺をめぐる「虎ノ門・赤坂GREEN WAY」です。
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29th ルート:虎ノ門・赤坂GREEN WAY

この連載で紹介している「GREEN WAY」については、いくつかストックもありますが、常に探しています。僕は日ごろ山形に暮らしているので、東京にくる機会があると移動の合間などに「緑に覆われた道」がないか、目を光らせているのです。

そんなふうに緑道ないかなと思って探していたところ、東京のど真ん中にありました。見つけたら攻略しない手はありません。ということで、FILE.29は「虎ノ門・赤坂GREEN WAY」です。

今回のターミナス(=トレイルの起点や終点となるアクセスポイント)は東京メトロ国会議事堂前駅。

国会議事堂前駅。

地下の駅から地上に出ると、多くの警官がいました。それもそのはず、国会議事堂前駅のすぐ隣が首相官邸です。さすがに物々しい感じで、注意されるかもしれないと思いつつ、動画撮影用の360度カメラの棒を伸ばします。警官からの冷たい視線を感じるものの、何も言われないので、そのまま歩いていきます。

街路樹のある道を進んでいくと、思いのほか木々の生い茂るエリアに出ました。大きな鳥居の後ろに延びる階段を登っていくと、拝殿や社務所などがありました。何だかもったいぶった書き方をしてしまいましたが、ここは日枝神社です。

外堀通り沿いにある日枝神社の山王鳥居。階段の横にエスカレーターもあります。

日枝神社

日枝神社は、鎌倉時代に江戸氏が山王宮をまつり、太田道灌が江戸城内に川越から山王社を勧請したのが始まり。1590年(天正18年)には徳川家康が江戸城を居城とするにあたり、「徳川家の守り神」「江戸の産神」として敬われたそうです。

その後、江戸城の拡張に伴い麹町に移った後、明暦の大火(1657年)で社殿が焼失したため現在地の永田町へ。令和10年は太田道灌公が江戸城内に日枝神社をお祀りしてから550年という大きな節目になるそうで、現在は参集殿改修が行われていました(本殿は参拝できます)。

日枝神社の境内へ。

GREEN WAY散策の無事を祈願した後、また日枝神社の参道をエスカレーターで下り、そのまま赤坂方面へと歩いていきます。

ところで、現在の赤坂一丁目・二丁目の一部は、かつて「溜池町」という地名だったそうです。都心で「溜池(山王)」なんて駅名があるのが不思議だったので、由来を調べてみました。

溜池

慢性的に不足していた飲み水を確保する為、江戸城の防備を兼ねた外堀兼用の上水源としてつくられたのが、ここの溜池でした。水道の発祥地ともなり、また徳川秀忠の時代には鯉、鮒を放したり蓮を植えたりして、上野の不忍池に匹敵する江戸の名所となっていたそうです。

溜池は明治維新後も利用されますが、東京の人口急増による周辺環境の変化などで水質が悪化。その後、埋め立てられ現在に至るそうです。

ちなみに、「溜池山王駅」の「山王」は日枝神社のことです。

さて、赤坂方面に向けて歩いていると、個人的にグッと来る建物が目に留まりました。いわゆるY字路の狭小建物です。調べると、意外にも(といっては失礼ですが)1899年(明治32年)創業の老舗和菓子屋「赤坂青野」でした。

さらに意外にも、看板商品の「豆大福」はスティーブ・ジョブズがお気に入りで、カリフォルニアの自宅に取り寄せるほどだったとか。なお、この狭小建物は「赤坂青野」の支店で、ここから15分ほど歩いた場所に立派な本店があります。

めっちゃ薄い「赤坂青野」溜池山王店。

「赤坂青野」から超高層ビルの「赤坂インターシティーAIRビル」方面に歩いていきます。ビルの周りには多くの緑が生い茂っています。なぜ、ここに来たかというと、もちろんGREEN WAY(緑道)があるからです。

赤坂・虎ノ門緑道。

赤坂・虎ノ門緑道

赤坂・虎ノ門緑道は、この赤坂インターシティAIRから新虎通りにつながる約 850mにわたる緑道構想です。赤坂インターシティAIRも緑道の協議会のメンバーとして、緑道の西側の起点となる約 200m の街路樹空間を整備したとか。東京都内のGREEN WAYをめぐり歩いている僕としては、とても喜ばしい構想です。素晴らしい!

赤坂・虎ノ門緑道のすぐ近くの溜池山王駅周辺も緑豊か!

いい道だなと思いながら赤坂・虎ノ門緑道を抜けると、制服警官が見回りをしています。その先のビル沿いの緑道を越えると、警官の数が倍増。何もやましいことはないけれど「引き返そうかな」と思いつつ周囲を見渡すと、そこにアメリカ大使館がありました。

ターミナス近くの首相官邸もそうですが、そんな場所でのんびり散歩をしている人なんていません。公道なので散歩を楽しんでも問題ないのですが、何となく早足になって榎坂を登ると、今度はオークラ庭園がありました。

あの「ホテルオークラ東京」の庭ですが、宿泊客でなくても無料で利用できます。庭園に足を踏み入れると、警官が物々しく警備をしていたアメリカ大使館前の通りとは別世界。手入れの行き届いた緑の空間が広がっています。

緑あふれるオークラ庭園。

落ち着いた場所で人心地ついたので、オークラ庭園を出て虎ノ門方向へと街路樹に導かれるように進んでいきます。

オークラ庭園の周辺は坂道が多く、「歩き応え」があります。

虎ノ門ヒルズの横を通り、虎ノ門レジデンシャルタワーの緑地帯に入っていきます。人工の水辺にたくさんの緑と木々が心地よく続いています。奥まで進んで階段を登ると、真新しい赤い鳥居が見えてきました。この鳥居をくぐると愛宕新坂につながり、その坂上に愛宕神社があります。

愛宕神社

1603年(慶長8年)、江戸に幕府を設けた徳川家康の命によって、防火の神様としてまつられたそうです。1610年(慶長15年)の庚戊本社(愛宕神社本体)をはじめ、末社仁王門、坂下総門、別当所など、将軍家の寄付により建立されました。祭礼などでは、江戸幕府より寄付金があるほど当時の幕府の厚い尊崇があったそうです。

愛宕神社。

ちなみに、愛宕神社は標高25.7mの愛宕山の山頂にあります。実は23区内で、自然の地形としては一番高い山なのです。都内の山々をめぐる僕の連載でも愛宕山を紹介しているので、よろしければご覧ください。

山手線沿線の最高峰「愛宕山」とは?【プロハイカー斉藤正史のTOKYO山頂ガイド File.1】 | 山・ハイキング・クライミング 【BE-PAL】キャンプ、アウトドア、自然派生活の情報源ビーパル

愛宕神社のすぐ隣には、NHK放送博物館があります。ここは、1956年に世界最初の放送専門のミュージアムとして、“放送のふるさと”愛宕山に開館しました。

1925年3月22日に東京放送局(現日本放送協会NHK)のラジオ放送が愛宕山のスタジオから始まったそうです。放送博物館では、その100年におよぶ放送の歴史に関する多様な展示を無料で見ることができます。

NHK放送博物館(写真右奥)。

NHK放送博物館も、うれしいことに緑に囲まれていました。敷地内のベンチに座ると、木漏れ日が心地よく、心からほっとできます。

今回のGREEN WAYでめぐった場所を列記すると、千代田区永田町に始まり、港区赤坂、港区虎ノ門、そして港区愛宕です。何とも敷居の高い地名ばかりですが、意外にも緑豊かで、僕はずっと「落ち着く」だの「心地良い」だのと言いながら歩いたのでした。一部、物々しい場所も通りましたが…。

たとえ東京都心でも、やはり歩いてみると気持ちいいGREEN WAYが見つかるものだと再認識した1日でした。ということで、満足感とともに東京メトロ神谷町駅から帰途につくのでした。

■今回歩いたルートのデータ
|距離約3.0km
|累積標高差約30m

今回のコースを歩いた様子は動画でもご覧いただけます。

●虎ノ門・赤坂GREEN-WAY

斉藤正史さん

プロハイカー

2012年より日本で唯一のプロハイカーとして活動。トレイルカルチャー普及のため、海外のトレイルを歩き、アウトドア媒体を中心に寄稿する傍ら、地元山形にトレイルのコースを作る活動「山形ロングトレイル(YLT)」を行なう。スルーハイク(単年で一気にルートを歩く方法)にこだわり、スルーハイクしたトレイルだけで22.000km(地球半周以上)を超える。また、BE-PAL.netにて「TOKYO山頂ガイド」を連載。

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