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2025.12.02

アメリカ・オレゴン州クレーターレイク国立公園だから楽しめるウソみたいな透明度の湖とご機嫌トレイル

アメリカ・オレゴン州クレーターレイク国立公園だから楽しめるウソみたいな透明度の湖とご機嫌トレイル
以前から美しい場所があると気にかかっていた、アメリカ・オレゴン州の南部にあるクレーターレイク国立公園に行ってきました。同じアメリカ西海岸に30年以上も在住しながら、これまで訪問する機会がありませんでした。

クレーターレイク国立公園はポートランドやサンフランシスコといった大都市から遠く離れています。近くには大きな町も、他にこれといった観光地もありません。地図で見ても、なんとなくポツンと佇んでいるような雰囲気すら漂います。どこかのついでに立ち寄るような場所ではなく、日本からの大手ツアーにも含まれることは少ないようです。

カリフォルニア州とオレゴン州を隔てる州境のオレゴン側にMedford(メドフォード)という小さな都市があります。クレーターレイクを訪れるためにはここのメドフォード空港が最寄りの空港ということになります。それでも100㎞くらいは離れていますので、自動車で約2時間のドライブは覚悟しなくてはなりません。公共交通機関はほとんどなく、遠方からの訪問客にとってはレンタカーが事実上の唯一のアクセス手段です。

けれども、その不便さの先にあるのは、圧倒的なまでに美しい自然です。この湖の青さ、透明度、周囲の景観は、私が世界のさまざまな場所で訪れたことがあるたくさんの美しい湖のなかでも最高だと感じました。
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湖を1周するドライブと散策トレイル

リム・ドライブ。

国立公園入口近くのインフォメーション・センターで上映していた記録映画によると、クレーターレイクは約7,700年前にマザマ山が大規模な噴火を起こしたことによってできたカルデラ湖です。外へ流れ出る川も、湖へ流れ込む川もありません。巨大なすり鉢のような噴火口に雨や雪の水が溜まり、蒸発とのバランスで水位が保たれているとのことです。

その湖をぐるりと囲むように「リム・ドライブ(Rim Drive)」という車道が走っています。標高2,000m前後のリム(稜線)をなぞるように続きます。全長約53kmですので、ドライブするだけなら2時間もかからないはずです。

しかし、車窓から見える神秘的なほどの青い湖を、もっと近くから覗きこんでみたいと思うはずです。車道脇には数㎞間隔くらいで展望ポイントが現れ、その多くから散策のためのトレイルが整備されています。

トレイルから眺める崖下の湖水。

展望台やトレイルからは、崖の下に湖を見下ろすことができます。とても幸運なことに、私が訪れた日は快晴でした。太陽の光を反射させた湖水の青さはまるでインクを垂らしたように深く、吸い込まれそうなほど澄んでいました。クレーターレイクの透明度は最大でおよそ40メートル。これは世界でもトップクラスの数値なのだそうです。

なぜただの雨水を貯めただけの湖がこれほどまでに青く透き通って見えるのか、科学的な理屈は私にはよく分かりません。前述の記録映画で説明してくれていた気もするのですが、申し訳ないことに全然覚えていません。子どもの頃から理科とか科学とかは苦手なのです。ただ言えることは、思わず息を止めて見入ってしまうほどの美しさだということです。

世界でも屈指の透明度の湖水に身を浸す

公園内にトレイルはたくさんあるのですが、そのほとんどは湖を取り囲む稜線の上にあります。湖岸に近づき、水に直接触れられる場所へ続くトレイルはひとつしかありません。北西部にある「クリートウッド・コーブ・トレイル(Cleetwood Cove Trail)」がそれです。容易に想像がつくでしょうが、公園内でもっとも人気の高いトレイルです。

ここだけは広く取ってある駐車場に車を停めて、車道を横切ると、そこがトレイルの入口です。湖岸へ出るには、険しく傾斜した斜面を約1.7㎞降りなければなりません。標高差は約210m。行きは下りなので楽ですが、帰りはけっこう大変です。私の場合、行きは約15分、帰りは約25分かかりました。

それでも、あの美しい湖の畔に立ってみたい。水に触れてみたい。そんな思いのハイカーが続々とこのトレイルへやってきます。とても人口密度が低い国立公園なのですが、ここだけは例外のようです。

クリートウッド・コーブ・トレイル。

湖岸に辿り着いても、とくに施設と呼べるほどのものはありません。建物といえば簡易トイレくらいでしょうか。岩石の他には腰を下ろす場所もありません。人々はここでただ目線の高さに広がる湖水を眺めます。湖に浮かぶウィザード島(Wizard Island)へ渡るボートツアーも出ているとのことですが、私が訪れた9月はもうシーズンオフなのか、一隻のボートが水に浮かんでいただけでした。

用意のよい人は、持参した水着に着替えて、湖で泳ぐこともできます。水着はないけど、それでも湖に入る誘惑を断ち切れない人もいます。私がそのどちらであったかはご想像にお任せしますが、湖水は身を切るように冷たく、そして水中で目を開けるとはるか遠くまで見通すことができるほどに透明であったことは報告しておきます。

湖水を泳ぐ人。筆者ではない。

不便だからこそ残る、ありのままの自然

前述した通り、クレーターレイクはアクセスが容易な観光地とはとても言えません。宿泊先の選択肢も限られています。便利か不便かという尺度で評価するならば、かなり不便です。さらに冬には多くの道路が閉鎖されるため、訪問時期を選ぶ必要があります。

しかし、この不便さこそがクレーターレイクの魅力を守っているのだと私は思います。

国立公園の外部にあるキャンプ場(Farewell Bend Campground)近くを流れるRogue River。

国立公園はただ自然をそのままに残しているわけではありません。誰もが自然を楽しめるように、アクセシビリティの整備もきちんとされています。展望ポイントには車椅子でも通行できる遊歩道やスロープが用意されています。必要なことはするが、過剰なことはしない。私にはその節度ある姿勢は好ましく思えます。

交通アクセスの悪さや季節の制約を考慮しても、クレーターレイクには苦労して訪れるだけの価値がきっとあるはず。あの深い青をひとりでも多くの人に見てもらいたいと思います。もしアメリカ西部地方を旅する機会があれば、ぜひクレーターレイクへも足を延ばしてみてください。

ひとつだけ気がかりなニュースがあります。来年2026年の夏から3年かけて、クリートウッド・コーブ・トレイルが修復工事のために閉鎖される予定だそうです。正確な閉鎖期間は未発表ですが、これからクレーターレイクを訪れる人は下の公式ウェブサイトで最新情報をチェックすることをお勧めします。

米国国立公園公式ウェブサイト内クレーターレイク案内ページ:
https://www.nps.gov/crla/index.htm 

角谷剛さん

米国在住ライター(海外書き人クラブ)

日本生まれ米国在住。米国で高校、日本で大学を卒業し、日米両国でIT系会社員生活を25年過ごしたのちに、趣味のスポーツがこうじてコーチ業に転身。日本のメディア多数で執筆。世界100ヵ国以上の現地在住日本人ライターの組織「海外書き人クラブ」(https://www.kaigaikakibito.com/)会員

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