
それほどまでに、モンゴル人にとって馬とは特別な存在なのでしょう。故・開高健氏はその若い晩年にモンゴルでのイトウ釣りやチンギス・ハーンの陵墓探しに情熱を燃やしましたが、TVドキュメンタリー『モンゴル大紀行』のなかで、「モンゴル人は馬の上で生まれ、馬の上で死ぬ」という言葉を紹介しています。
現在でも、私たちはモンゴルを訪れると、草原に生きる馬と人の姿を見ることができます。日本の約4倍の国土面積を持つこの国の人口は約350万人。馬はそれよりやや多く、約470万頭いると言われています。
ということで、モンゴル馬にまつわるクイズ4問です!
【第1問】モンゴル馬の平均体高(肩までの高さ)は?
a)100cm以下
b)120-140cm
c)150-170cm
d)180cm以上
13世紀、チンギス・ハーンが遊牧民の諸民族を統一してモンゴル帝国を築き上げました。ハーン死後も帝国は膨張を続け、さらに中国、ロシア、イラン、東ヨーロッパまで次々と征服していき、最盛時の版図は当時の世界地図の5分の3以上に及んだと言われています。
モンゴル帝国の強さの核心はその騎馬軍団にありました。2度に渡る日本侵攻(元寇)が失敗したのは、カミカゼのおかげかもしれませんが、彼らが得意の騎馬戦ではなく不慣れな船に乗っていたことも大きな要因だったと思われます。
さて、その人類史上最強の騎馬軍団を支えたモンゴル馬はどれくらいのサイズなのでしょうか?

正解は「b)120-140cm」です。 モンゴル馬は拍子抜けするほど小さいのです。競馬でお馴染みのサラブレッドと比較すると、体高も体重も3分の2ほどでしかありません。
見た目のしなやかさには欠けますが、小型でがっしりした体型はいかに丈夫そうですし、実際に丈夫なのでしょう。乗る側の人間からすると、どっしりとした安定感が特徴です。
【第2問】モンゴル馬の性格は?
a)臆病
b)攻撃的
c)活発
d)忍耐強い
人に連れられているときも、自由に草原を駆けているときも、モンゴル馬はいつも群れで暮らしているように見えます。馬同士の距離は近く、頭や体を寄せ合っている姿もよく目にします。そんな彼らはどのような性格なのでしょうか。

正解は「d)忍耐強い」です。何らかの理由で馬を待たせるとき、遊牧民は馬を紐のようなロープで繋ぎます。それだけで馬たちは足掻くことなく、エサも水も貰わずにじっと待っています。あるいは文句はあるのかもしれませんが、それを態度に出しません。驚嘆するべき忍耐力と従順さです。
【第3問】モンゴル馬の平均寿命は?
a)約5年未満
b)約10年
c)約20年
d)約30年以上
司馬遼太郎氏の名作『草原の記』に以下の文章があります。
「モンゴル人は山羊、羊、牛を殺して食べるが、馬についてはどんなことがあっても殺さない。弱い馬がいても、自然死にまかせ、死ねば友をうしなったように歎く」
必ずしもそうとは限らず、冬の間食料が無くなったようなときには馬を食べることもあるよ、と私は複数の遊牧民から聞きました。どちらが本当なのかは分かりませんが、モンゴル人が馬に深い愛情を持っていることは間違いありません。
モンゴル馬は自然死するまでに、どれくらいの年月を生きるのでしょうか?

正解は「c)約20年」です。モンゴル高原の冬は零下40度に達することもあります。モンゴル馬はそんな厳しい自然環境でも生き抜く強靭さを持っています。
【第4問】モンゴル馬は主に何を食べる?
a)草
b)穀物
c)人工飼料
d)ニンジン
モンゴル馬は放牧されていても、ペットのようには飼われていません。自分でエサを探します。乗馬ツアーに駆り出されるときでも、ご褒美のニンジンはありません。彼らの主食は何でしょうか?

正解は「a)草」です。 モンゴル高原は乾燥していて、丈の低い草が生えた大地が見渡す限りに広がっています。あまり美味しそうにも、栄養価が高そうにも見えないのですが、馬たちはそんな質素な草からでもしっかり栄養を吸収し、長時間の移動にも耐える動物です。