カリフォルニアでは山火事対策の救世主的存在!? ビーバーの生態とは?【動物ドッキリクイズ・その32】 | 海外の旅 【BE-PAL】キャンプ、アウトドア、自然派生活の情報源ビーパル
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    2025.09.26

    カリフォルニアでは山火事対策の救世主的存在!? ビーバーの生態とは?【動物ドッキリクイズ・その32】 

    カリフォルニアでは山火事対策の救世主的存在!? ビーバーの生態とは?【動物ドッキリクイズ・その32】 
    夏から秋にかけて、カリフォルニアでは、まるで年中行事のように山火事が繰り返し発生します。

    近年はとくに被害の規模が拡大の一途を辿っているようです。やはり世界的な気候変動の影響なのでしょうか。乾燥した気候、気温の上昇、そして強風の発生など、大規模な火災を引き起こす様々な自然要因が絡み合い、人間のコントロールが効かなくなってきています。

    そのような深刻な状況の中で、意外な「自然界の救世主」として注目を集めているのがビーバーです。よく知られているように、ビーバーは木や枝、泥、石などを積み上げて、川の水をせき止め、小さなため池を作り上げます。ビーバーダムと呼ばれるものです。そうして出来上がった湿地は当然のことながら水分を多く含み、その結果として火が広がるのを防ぐ天然の「防火帯」となるのだそうです。

    2024年に発表された研究(*1)では、ビーバーダムがある地域は、他のそうでない地域と比べて、火災による被害が著しく小さくなった事例が紹介されています。

    ビーバーがもたらすこうした効果が山火事対策のひとつとして注目され、カリフォルニア州や他州でもビーバーの保護・再導入のための取り組みが進んでいるとのことです。

    ということで、ビーバーにまつわるクイズ4問です!

    第1問 ビーバーはなぜダムを作る?

    a) 外敵から逃げる
    b) エサを貯める
    c) 水位を安定させる
    d) 冬眠する

    ビーバーダムが山火事の被害拡大を防いでくれることは、人間にとってのメリットが大きいわけですが、ビーバー自身がそれを目的にしているとは思えません。自分の体より大きな枝や泥を水中に積み上げることはけっして容易ではないはず。ビーバーはなぜそのような苦労をしてまでダムを作るのでしょうか?

    “Beaver Dam” by GrandTetonNPS is marked with Public Domain Mark 1.0.

    正解は「c)水位を安定させる」です。 ビーバーは水位を調整して、自分たちの巣が常に水に囲まれるようにします。それが彼らにとって安全な環境が保つことにつながるのだそうです。

    第2問 ビーバーは主に何を食べる?

    a) 魚
    b) 昆虫
    c) 小動物
    d) 木の皮や水草

    ビーバーダムによって自ら作り上げた生息環境のなか、ビーバーは主に何を食べているでしょうか?

    “Beaver in McDonald Creek” by GlacierNPS is marked with Public Domain Mark 1.0.

    正解は「d)木の皮や水草」です。ビーバーは完全な草食動物で、ヤナギ・ポプラなどの樹皮やスイレンなどの水生植物を好んで食べるということです。つまり、ビーバーダムの材料はそのまま食料にもなるというわけです。だったらわざわざ苦労してダムを作らなくても、そのまま木や草を食べたらいいじゃん、と私などは思うのですが、きっと彼らには彼らの考えがあるのでしょう。

    第3問 ビーバーの前歯の特徴は?

    a) 虫歯にならない
    b) 折れない
    c) 取り外しできる
    d) 生涯伸び続ける

    ビーバーの前歯は非常に頑丈です。ダムの材料を求めて、かなり太い樹木の幹をかじって倒してしまうことさえあります。その前歯について、際立った特徴として正しいものは上のうちのどれでしょうか?

    “Beaver chew” by U. S. Fish and Wildlife Service – Northeast Region is marked with Public Domain Mark 1.0.

    正解は「d)生涯伸び続ける」です。ビーバーの前歯は一生伸び続けるため、常にかじって削る必要があるとのこと。私たち人間が伸びた髪の毛を短くすることや、爪を切ることにあたるのかもしれません。

    ビーバーの前歯は硬いエナメル質に覆われているうえに、しかもギザギザになっているわけで、まるでノコギリです。強力な武器にもなりそうですが、草食のビーバーは他の動物を襲ったりはしないようです。

    第4問 ビーバーの生活単位は?

    a) 単独
    b) 群れ
    c) 家族単位
    d) ケースバイケース

    ビーバーのいるところには必ずビーバーダムがあり、ビーバーダムがあるところには必ずビーバーがいます。断言はするべきではないかもしれませんが、きっとそうです。

    もしあなたが幸運にも自然の中であるビーバーダムを発見したとします。その付近には何頭くらいのビーバーがいると期待してよいでしょうか?

    “Beaver, Lamar Valley” by YellowstoneNPS is marked with Public Domain Mark 1.0.

    正解は「c)家族単位」です。 ビーバーは基本的に夫婦+子どもたち(3~6頭程度)という家族単位で暮らします。繁殖は年に1回。子どもは2年ほど親のもとで生活し、その後独立して、自分の家族とビーバーダムを作って生活するのだそうです。

    おわりに

    最近、『The American Southwest』というタイトルのドキュメンタリー映画がアメリカ各地で劇場公開されました(https://theamericansouthwest.film/)。

    北米大陸の南西部を貫くコロラド川を軸として、その雄大な自然が人間によって破壊されつつある経緯を描いた作品です。ロッキー山脈の源流から始まり、グランドキャニオンを経て、ついには干上がりつつあるメキシコの川デルタまで、その壮大な映像はまさに圧倒的です。

    映画のナレーターを務めたのは先住民族出身でモデル兼俳優のQuannah Chasinghorse さん。インタビューで、「この映画でもっともお気に入りのシーンは?」という質問を受けた彼女が最初に挙げたのはビーバーが登場するシーンでした。

    制作会社の公式Youtubeにそのインタビュー動画が公開されています。 開始38秒後から約1分間、私がここで述べてきたビーバーの生態を美しい映像で見ることができます。可愛いですよ~。

    この映画は、美しい自然や動物をただ賛美するだけでなく、自然の過剰利用による環境被害への警鐘も内包しています。ビーバーを含めた野生動物の姿は、自然との共生やレジリエンス(回復力)への希望を象徴しているように思えました。アウトドア愛好家には強く鑑賞をお勧めしたいと思います。日本でも公開されるとよいのですが。

    参考文献
    *1. Impacts of beaver dams on riverscape burn severity during megafires in the Rocky Mountain region, western United States
    https://repository.library.noaa.gov/view/noaa/56659

    角谷剛さん

    米国在住ライター(海外書き人クラブ)

    日本生まれ米国在住。米国で高校、日本で大学を卒業し、日米両国でIT系会社員生活を25年過ごしたのちに、趣味のスポーツがこうじてコーチ業に転身。日本のメディア多数で執筆。世界100ヵ国以上の現地在住日本人ライターの組織「海外書き人クラブ」(https://www.kaigaikakibito.com/)会員

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