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「未知が好きなんですよ、それを伝えたい」知らない風景に出会うために
ネイチャーフォトグラファー 上田優紀さん
1988年和歌山県生まれ。24歳のときに世界一周の旅に出かけ、1年半で45か国を巡る。帰国後、株式会社アマナに入社。2016年からフリーランスとして世界の極地や辺境を撮影。水中から高山まで広い活動範囲で撮影に臨む。著書に『七大陸を往く 心を震わす風景を探して』(光文社)、『空と大地の間、夢と現の境界線 ─EVEREST─』(玄光社)など。
―発行された写真集『ARCA』の反響はいかがですか。
こんな美しい風景があるんだねと、とてもシンプルですが僕としてはそんな声がうれしいです。この写真集を通じて、知らなかった風景に出会えた方々がいて。今は、凄くスピードが速い時代じゃないですか。SNSもそうだけど、なんでも速くて。僕もXやインスタで写真を上げてはいるけれど、あくまで知ってもらうきっかけとしてのツールですね。僕の写真を見て、この世界はどこなんだろうとか、そういうことを想像しながら一枚一枚丁寧に見てもらう……。そこで生まれる想像力とか、そういうものが心を豊かにするんだろうなと思うんですよね。一年の半分くらいは日本にいますが、写真集を作ったり個展をやったりしています。インプットを撮影とすると、写真集作りなどのアウトプットが大切だと思っています。僕は登山家や冒険家ではなく写真家なので、撮ったものを写真や文章で届けることが一番の目的なんです。
―どんな幼少期でしたか。旅への憧れはいつごろからですか。
和歌山の自然豊かなところで育ちました。両親が考古学者なので、地球図鑑をよく見ていたり、話す内容も自然にまつわるものなど、そんな文化が家庭にあったと思います。家族で外国に行く機会も多かったので、外国はわりと身近に感じていました。旅は、学生のころに沢木耕太郎の『深夜特急』にはまってから。でも、親の影響は大きかったんじゃないかなと思います。
―知らない風景は、どうやって見つけ出しているのですか。
例えばエベレストだったら、世界一高い場所から見た風景はどんなんだろうとか。世界で一番古い森(オーストラリアにある恐竜がいた時代から続く森)があると聞いたら、どんな動物がいるんだろうとか。それくらいの感じで行くんです。行き先が辺境だったりして、そもそも情報がないことも多いですが、ここでこんな構図で撮ろうというのはなくて。僕は旅をしていて、淡々と記録しているぐらいのイメージなんです。なんだろう……未知が好きなんですよ。それを人に伝えたいと思ってもいるけれど、まずは自分が見てみたい。なにより自分の好奇心が根っこにあります。
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上田さんは今七大陸最高峰に挑戦中。残すは3座(デナリ、アコンカグア、ビンソンマシフ)。どんな風景があるのか楽しみだ。
『ARCA この星の物語』
上田優紀著
小学館集英社プロダクション
¥4,400

ARCA(アルカ)=方舟と題された本書には、世界各地のあらゆる風景が収められている。海を泳ぐクジラ、噴き出す火山、砂漠に咲く花々、緑の森の中に佇む白いクマ……日常では到底出会うことのない、見たことがない風景ばかりだ。これらの風景がすべて地球に詰まっているかと思うとまさに方舟である。

※構成/須藤ナオミ 撮影/黒石あみ
(BE-PAL 2026年9月号より)




