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昆虫はなぜ海にいないのか
朝野維起著
ちくま新書
¥1,056

昔からの疑問は昆虫が海にいないことです。知る限りでは潮だまりにいるユスリカぐらい。以前、養老孟司さん、奥本大三郎さんと会ったときに聞いてみたのですが、はっきり答えてくれませんでした。ところが最近『昆虫はなぜ海にいないのか』という書籍が出ました。著者は分子生物学者の朝野維起氏で、出版元は筑摩書房。そもそもフライフィッシャーなので水生昆虫に興味があり、陸の淡水にはカゲロウ、トンボ、ゲンゴロウ、タガメなどなどの昆虫がいるのになぜ海にはいないのかが疑問でした。
昆虫と海にいるエビ、カニ、シャコなどは同じ甲殻類ですが、骨を持たない外骨格を、海の甲殻類は豊富なカルシウム、昆虫は陸の豊富な酸素とマルチ銅オキシデース2なる酵素で作成する違いがあるそうです。昆虫は軽い外骨格なので"飛ぶ"という能力を身につけ、海の甲殻類は頑丈で重く水中で暮らしやすいタイプになったとか。
詳しくは"本書を読んで"なんですが、一部、学者らしい難解な専門用語でわかりにくいのは仕方ないとしても、やはり疑問は残ります。個人的な感想としては、体を軽くして飛ぶ選択をし、大発展した昆虫(全動物種のなんと約7割)は、海に戻る必要がなかったのでは……であります。
中村 滋

1944年生まれ。『BE-PAL』『DIME』『サライ』の創刊編集長。現在は「Cool Senior Magazine」を編集。www.csmagazine.jp/
(BE-PAL 2026年11月号より)




