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BOOK 01
神か害獣か、それとも……。クマという存在を改めて
『羆追人たち ヒグマの虜になった10人』
黒田未来雄著
山と溪谷社
¥2,200

日常会話に「クマ」というワードが出てくるほど、ここ最近の状況は一変してしまった。ヒトが決して敵わない圧倒的な力を持ち、できれば遭遇したくはない。だが同時に、ひと目見てみたいという欲求もある。恐れというよりは畏れに近い感情なのかもしれない。山間部に住む人や農家にとっては直接的な被害が及ぶこともあり、悠長にはしていられないだろう。本書は、北海道在住の著者がヒグマと真剣に向き合う10人を取材。研究者やハンター、自治体職員などが登場する。
立場や関わり方はそれぞれではあるが、誰もがヒグマを「知りたい」と思っていることがわかる。痕跡を追う、飼育する、発信機で行動を調べる……。なかでも母グマに育児放棄された子グマの飼育に携わった話はなかなか知ることのないものだ。そうした人びとの経験や研究の積み重ねで大まかな生態について知られるようになってきたが、人に個性があるようにクマにも個性があって、おしなべて語ることはできない。それゆえに興味が尽きないのだろう。農作物の被害からひと昔前は「ヒグマ絶滅やむなし」といったムードすらあったとか。時代とともに状況や考え方も変化している。クマとどう向き合っていくのか? 考えるきっかけにしたい。
BOOK 02
ふたりだから助かった! 夫婦の漂流記
『極限の漂流118日間』
ソフィー・エルムハースト著
村井章子訳
ダイヤモンド社
¥2,178

1973年、ヨットで太平洋を航海中だったベイリー夫妻はクジラと衝突してしまう。救命ラフトと手漕ぎボートをつなぎ合わせた浮力体に乗り移り助かったものの、およそ4か月にも亘る漂流生活が始まる。本書は、著者が夫妻の手記をもとに周辺への取材を加えて書き上げた漂流記。漂うしかない絶望的な状態にも希望を失わない妻マラリンと少し気難しい夫モーリス。生還劇も驚くべきことだが、ふたりはその後、新たなヨットでパタゴニアへの航海に出発している。極限状態でも望みを持つことの大切さと、救助され「終わってしまった」という漂流者の複雑な心境は興味深かった。
※構成/須藤ナオミ(BOOK)
(BE-PAL 2026年10月号より)




