- Text
- Source
BOOK 01
川旅の本質が生む展開、流域民の暮らしに触れる旅
『メソポタミアのボート三人男』
高野秀行著
集英社
¥2,420

川下りの旅の面白さを改めて思い知ることができた。川は生活に近い場所にある。「川旅は土地のいちばん低いところを行く」とは、本書に登場する“隊長”の言葉だが、まさにそのとおりで道ゆく人からは見下ろされる存在だ。物理的な位置関係からも交流を生みやすいのかもしれない。ティグリス川とユーフラテス川をパックラフトで下る本書の旅は、上流域のトルコ東部を巡る。辺境作家の著者と世界の多くの川を下ってきた博識の隊長、ふたりのやりとりはテンポ良く痛快。流域に住むクルド人との微笑ましくも時に緊張漂う交流の数々。上善水の如し、旅も生き方もそうありたい。
BOOK 02
なぜ、そんなところに? たくましい生き様に感服!
『鳥たちはなぜ都会を選んだのか 都市鳥ウォッチング図鑑』
柴田佳秀著
安斉 俊 イラスト
山と溪谷社
¥1,980

バードウォッチングは森の中だけとは限らない。本書は都市部に棲み始めた鳥たちの暮らしぶりと生態を紹介する。崖ではなくビルに巣を作るチョウゲンボウ、工事現場の裸地に目を付けたコチドリ、「夢の国」に越してきたホシハジロの一団。我々人間も引っ越しの際はあれこれと条件を挙げるが、餌がある、天敵がいないなど、何かの利点があって彼らもいる。そこしかなかったのかもしれないが。
そして、都市構造が鳥にどのように影響しているのか、また人間の営みとの関係性もよくわかる。変化する状況に合わせて巧みに強かに生きる姿には感服するばかり。大いに見習いたい。
※構成/須藤ナオミ
(BE-PAL 2026年9月号より)




