最終地点のカリフォルニア州サンタモニカに名を残す「ウィル・ロジャース」って誰?【100周年を迎えるルート66の点と線・その9】 | 海外の旅 【BE-PAL】キャンプ、アウトドア、自然派生活の情報源ビーパル

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2026.03.13

最終地点のカリフォルニア州サンタモニカに名を残す「ウィル・ロジャース」って誰?【100周年を迎えるルート66の点と線・その9】

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マクドナルド第1号店(サンバーナルディノ)の外壁に描かれた壁画の一部。フィル・イエ氏制作。

ルート66の全行程は、シカゴからサンタモニカまでの2,448マイル(約3,940km)とよく表現されます。しかし歴史的に見ると、この地名と距離は必ずしも固定されたものではありませんでした。

1926年にルート66が設置された当初、起点はシカゴ、終点はロサンゼルスのダウンタウンでした。

その後、1935年に終点はロサンゼルスから海沿いの街サンタモニカまで延伸されます。以後1964年頃までの約30年間、ルート66の「黄金時代」はこの最長ルートの時代と重なります。現在でも多くの人が思い描くルート66は、このシカゴ〜サンタモニカのコースです。

しかし、高速道路網の発達とともにルート66は次第に役割を失い、起点と終点は北米大陸の内側へと移動していきました。廃線となった1985年には、起点はミズーリ州スコットランド、終点はアリゾナ州サンダーズとなり、距離は950マイル(約1,500km)にまで短くなっていたのです。

そうした歴史的経緯はともかくとして、ルート66の終点といえばやはりサンタモニカという印象は揺るぎないものがあります。

高層ビルと高速道路が交差するロサンゼルスのダウンタウンから西へ20kmほど車を走らせると、都市の風景は次第に開け、やがて太平洋の青が視界いっぱいに広がります。そこがサンタモニカです。

海岸に山が迫るこの街の風景は、長い大陸横断の旅の終点として実に象徴的です。砂漠や平原を越え、「約束の地」カリフォルニアに辿り着いたと実感するには、この海の眺めこそふさわしいのかもしれません。

●前回はこちら

西から来れば「もう砂漠」、東から来れば「まだ砂漠」——カリフォルニア州バーストウ【100周年を迎えるルート66の点と線・その8】

ルート66の「象徴的な」最終地点

そんなサンタモニカには、ルート66関連でもっとも有名といっていい観光スポットがあります。

太平洋に突き出した桟橋、サンタモニカ・ピアに立てられた看板です。

ここはロサンゼルス観光のガイドブックには必ず登場するほどの賑やかな場所です。そのなかでも「End of the Trail」と書かれたルート66の看板は、人気の記念撮影スポット。常に順番待ちの列ができているほどです。周囲のギフトショップにはルート66関連の土産物も数多く並びます。

サンタモニカ・ピアにあるルート66最終地点の看板。

もっとも、ルート66の道路そのものがこの桟橋まで延びていたわけではありません。実際の終点はここから約2km内陸、Lincoln BoulevardとOlympic Boulevardの交差点付近でした。

つまりピアの看板は観光用のものに過ぎません。それでは身も蓋もありませんので、もう少し好意的に表現するなら、「ルート66の象徴的な最終地点」ということになるでしょう。

ルート66の「公式な」別名:Will Rogers Highway

サンタモニカ・ピアの近くには、もうひとつルート66に関連する遺産があります。

桟橋の根元からビーチ沿いの歩道を北へ10分ほど歩くと、小さな記念碑が現れます。そこに刻まれている名前は、ウィル・ロジャース(Will Rogers)。

1920〜30年代に映画やラジオ、新聞コラムで活躍した俳優であり、ユーモア作家であり、社会評論家でもあった人物です。……とはいえ、正直に言えば私は最初この名前を見ても誰のことだかまったく知りませんでした。どうもすみません。何しろ学がないもので。

Will Rogers Highway Marker。

それでもロジャース氏は当時のアメリカでは超がつくほどの有名人だったようです。オクラホマ出身で後にカリフォルニアへ移り住んだロジャースに敬意を表し、1952年、全米ハイウェイ66号線協会(U.S. Highway 66 Association)はルート66に「Will Rogers Highway」という別名を正式に与えました。

記念碑の銘文にはこう刻まれています。

「1952年、ユーモリストであり、世界の旅人であり、そして良き隣人であったウィル・ロジャースに捧げられた。アメリカのメインストリート、このハイウェイ66号線は、彼が生涯で初めて歩んだ道であり、彼を同胞の心へと導いた道でもあった」

ちなみに、ルート66にはもうひとつ有名な呼び名があります。「マザーロード」です。これはジョン・スタインベックが小説『怒りの葡萄』の中で使った言葉で、公式名称ではありません。

将来の国立公園になる海岸線?

私は見たことはありませんが、ウィル・ロジャースの記念碑や標識はルート66の各地にあるそうです。もしかすると、これまでの旅の途中で気づかず通り過ぎていたのかもしれません。

そしてロジャース氏の名前は、ルート66とは別の形でもサンタモニカ周辺に残っています。

記念碑から北へ約5km進むと、ウィル・ロジャース州立ビーチ(Will Rogers State Beach)に到着します。

Will Rogers State Beach入口。

丘陵地帯と太平洋が接するこの一帯は、南カリフォルニアでも屈指の景観に恵まれた場所です。そして単に美しいだけでありません。サーフィンやビーチ散策はもちろん、丘陵のトレイルではハイキングやトレイルランニング、マウンテンバイクなど、海と山の両方でアウトドア活動が楽しめるフィールドでもあります。

BE-PAL読者にとっても、なかなか魅力的な場所ではないでしょうか。

つい最近のニュースですが、米国国立公園局(National Park Service, “NPS”)がこのウィル・ロジャース州立ビーチから南のトーランスまでの海岸線一帯を国立公園とすることを検討していると発表したくらいです。

NPSの発表:https://parkplanning.nps.gov/projectHome.cfm?projectID=133718

この検討はまだ初期段階ですが、もし連邦政府による保護・管理が導入されれば、これまで以上に自然環境や生態系の保全が進むでしょう。

もっとも、現在のように気軽に訪れることができる場所でなくなるかもしれませんが。

Will Rogers State Beach近くの歩道。

復興の象徴としての大自然

海岸に迫る丘陵地帯にはウィル・ロジャース州立歴史公園(Will Rogers State Historic Park)があります。この公園も最近ニュースになりました。

ロジャース氏が所有していた牧場跡を保存したこの公園には、広い草地と丘をトレイルが縫うように走り、数々の貴重な歴史的建物があります。正確に述べるなら、かつてありました。

しかしながら、この辺り一帯は2025年1月に南カリフォルニア一帯を襲った大規模な山火事で大きな打撃を受けました。公園内の建物はほぼ全焼してしまいました。

それだけではありません。公園があるパシフィック・パリセイズ市は街全体が壊滅したと言っても過言ではありません。住宅地や商店街のほとんどが焼け野原と化し、1年を過ぎた現在も復興はまだ途上にあります。

パシフィック・パリセイズ市内(2025年12月29日撮影)。

そんななか、2025年11月にこの自然公園が部分的に再開をはたしました。多くのトレイルやエリアが修復を必要としているものの、再び訪れる人々を迎え入れています。

トレイルを歩くと、幹が黒く焦げた木々が目につきます。それでもそうした木の根元からも新しい草が生えていることに気がつきました。災害の恐ろしさと同時に、自然のたくましさを感じさせる光景です。その向こうには太平洋が広がっています。

Will Rogers State Historic Park内のトレイル(2025年12月29日撮影)。
Will Rogers State Historic Park内のトレイル#2(2025年12月29日撮影)。

シカゴから約4,000km。砂漠や平原、山や町を越えてきたルート66の旅人たちも、最後にこの海の景色を目にしたかもしれません。

ロジャース氏は1935年に亡くなりました。それから半世紀後の1985年にルート66も廃線となりました。時代は変わり、街も自然も姿を変えましたが、この海を見下ろす気持ちはさほど昔と変わらないのではと思います。

角谷剛さん

米国在住ライター(海外書き人クラブ)

日本生まれ米国在住。米国で高校、日本で大学を卒業し、日米両国でIT系会社員生活を25年過ごしたのちに、趣味のスポーツがこうじてコーチ業に転身。日本のメディア多数で執筆。世界100ヵ国以上の現地在住日本人ライターの組織「海外書き人クラブ」(https://www.kaigaikakibito.com/)会員

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