西から来れば「もう砂漠」、東から来れば「まだ砂漠」——カリフォルニア州バーストウ【100周年を迎えるルート66の点と線・その8】 | 海外の旅 【BE-PAL】キャンプ、アウトドア、自然派生活の情報源ビーパル

海外の旅

2026.02.21

西から来れば「もう砂漠」、東から来れば「まだ砂漠」——カリフォルニア州バーストウ【100周年を迎えるルート66の点と線・その8】

西から来れば「もう砂漠」、東から来れば「まだ砂漠」——カリフォルニア州バーストウ【100周年を迎えるルート66の点と線・その8】
モハーヴェ砂漠(Mojave Desert)は、カリフォルニア、ユタ、ネバダ、アリゾナの4州にまたがる砂漠です。面積は約65,000km²。北海道(約 83,422km²)の約8割の広さです。

バーストウはその広大なモハーヴェ砂漠のかなり西側に寄った中小都市です。ロサンゼルスからは約200kmですので、東京から静岡に向かうくらいの距離はありますが、この辺りの地元感覚で言えばすぐ近くです。ロサンゼルスからラスベガスへと車で向かうとちょうど中間あたり。休憩のために高速道路をここで降りる人も多いでしょう。

一方で、東からはるばるとルート66の旅をしてきた人にとっては、バーストウに着いても「これがカリフォルニア?」と期待を裏切られたように感じるかもしれません。ビーチもパームツリーも果樹園もない乾ききった大地に、やたら交通量と道路看板が多く、年中ホコリが舞い上がっているような街並みだからです。
Text

●前回はこちら

アリゾナ・カリフォルニア州境にある「何もない」町【100周年を迎えるルート66の点と線・その7】 | 海外の旅 【BE-PAL】キャンプ、アウトドア、自然派生活の情報源ビーパル

交通の要衝としての長い歴史

バーストウにはこれといった産業がありません。それでいて人口約25,000人を数えるのは、ここが過去も現在も交通の動脈が交差する場所であるからです。

アメリカの西部地方一帯がスペインやメキシコの領土だった頃、オールド・スパニッシュ・トレイル(Old Spanish Trail)と呼ばれた道が現在のニューメキシコ州サンタフェとカリフォルニア州ロサンゼルスを繋いでいました。バーストウはこのトレイルにあって、貴重な水や食料を旅人に補給する中継地のひとつでした。

やがてこのトレイルが舗装され、ルート66の一部にもなっていくのですが、その前に鉄道の時代があります。19世紀末、サンタフェ鉄道が全米を網羅する巨大な鉄道網を作り上げると、バーストウにも駅が置かれました。

車両基地や操車場が整備され、蒸気機関車に水を補給し、乗客が一息つき、食料や郵便が積み替えられる。そんな機能が自然と町を形づくっていきました。

バーストウ駅舎はハーベイ・ハウス(Barstow Harvey House)とも呼ばれています。1911年に建設された由緒ある建物です。現役の駅でもあり、駅舎の隣には巨大な操車場が広がり、長い貨物列車がゆっくりと砂煙を上げながら走っていく姿を見ることができます。

アムトラックの長距離列車「サウスウェスト・チーフ」もここで停車します。ひっきりなしに聞こえてくる線路のきしむ音と列車のエンジン音は、この町が昔も今も「鉄道の町」であることを思い出させてくれます。

1926年にルート66が設立されると、バーストウはさらに鉄道とハイウェイが交錯する地点になりました。そのことはルート66が廃道となった現在でも変わりません。アメリカを縦断する州間高速道路15号線と横断する州間高速道路40号線が市内で交差しているのです。

バーストウ駅舎、別称「Barstow Harvey House」。
バーストウ駅敷地内に展示されているサンタフェ鉄道時代の貨車。

ルート66マザーロード博物館

駅舎に隣接して、ルート66マザーロード博物館があります。

2025年3月に、この博物館がリニューアルを経て再オープンしました。むろん、翌年に控えたルート66の100周年を見据えてのタイミングだと思います。

重厚なレンガ造りの建物の中に入ると、そこには古い車、ガソリンポンプ、ネオン看板、色あせた観光パンフレット、旅人たちの写真などなど、ルート66の記憶がぎっしりと詰め込まれています。

実のところ、ルート66の名を冠した博物館は他にもたくさんあります。数え方にもよりますが、全米で10は下らないでしょう。私はその半数くらいを訪れたことがありますが、そのなかでもバーストウにあるこの博物館は規模も充実度もかなりの高レベルだと思います。

Tシャツやコーヒーカップのようなギフトもたくさん売っていますので、お土産や記念品を探すにもよいでしょう。

ルート66マザーロード博物館外観。
ルート66マザーロード博物館内部。

バーストウ市内のルート66探索

鉄道にせよ、ドライブにせよ、旅の途中で立ち寄る中継地としては、バーストウはとても便利な町です。全米チェーンのレストラン、ガソリンスタンド、ホテルなどが一通り揃っていますし、大規模なアウトレットモールまであります。

そうした近代的な都市機能に加えて、ルート66やアメリカ西部の歴史に触れることができるのもバーストウの魅力です。メインストリートを歩けば、ルート66のロゴが描かれたモーテルや商店が軒を並べています。

さらに、ルート66が描かれた壁画が多いことにも気がつくでしょう。その数は30を超えるそうです。

バーストウに限らず、アメリカの西部地方には壁画が多いのです。元々メキシコ領だったこともあり、かの地の「ムラリスモ」と呼ばれる壁画の伝統が受け継がれているからです。いわば、町全体が屋外美術館のようでもあります。

メインストリート沿いのモーテル。
壁画のひとつ。

バーストウ周辺

バーストウの周辺にもいくつか見どころがあります。どれも車でないと行けない場所ですが、簡単に紹介しておきます。

Elmer’s Bottle Tree Ranch
https://californiathroughmylens.com/elmers-bottletree-ranch/

バーストウ市内から約40㎞離れた砂漠に突然現れるスポットです。約2エーカーの敷地内に古いガラスの瓶で作った木が200本以上並んでいます。ルート66全盛時代の車や家具なども陳列されています。入場は無料ですが、開園日と時間は上の公式サイトで確認したほうがよいでしょう。

Elmer’s Bottle Tree Ranch。

Liberty Sculpture Park
https://en.libertysculpturepark.com/

バーストウ市内から州間高速道路15号線を東に向かって10㎞くらい走ると、右側に大きな「64」と書かれた看板が目に入ります。64とは6月4日のこと。1989年に起きた天安門事件の記憶を後世に伝えることを目的に作られた屋外博物館です。数多くの彫刻を見て回ることができます。入場は無料。ただし、「共産主義者はお断り」と入口の看板に書かれています。

Liberty Sculpture Park。

Calico Ghost Town
http://www.visitcalicoghosttown.com/

19世紀の銀鉱山ブームで栄え、やがて衰退したゴーストタウンを観光地化したテーマパークです。Calicoとは三毛猫のこと。周辺の岩石がそんな色のグラデーションを見せています。

園内には西部劇時代の郵便局、タウンホール、ホテル、レストランなど30を越える建物が当時の姿に復元されています。鉱山列車に乗って園内を一周することもできます。西部劇好きの人や、子ども連れには、とくにおススメです。

Calico Ghost Town。

角谷剛さん

米国在住ライター(海外書き人クラブ)

日本生まれ米国在住。米国で高校、日本で大学を卒業し、日米両国でIT系会社員生活を25年過ごしたのちに、趣味のスポーツがこうじてコーチ業に転身。日本のメディア多数で執筆。世界100ヵ国以上の現地在住日本人ライターの組織「海外書き人クラブ」(https://www.kaigaikakibito.com/)会員

NEW ARTICLES

『 海外の旅 』新着編集部記事

アメリカのモアブに残る遠い昔の痕跡。荒野の岩絵「ペトログリフ」が語りかけるものとは?

2026.02.18

アリゾナ・カリフォルニア州境にある「何もない」町【100周年を迎えるルート66の点と線・その7】

2026.02.18

冬のドイツ北部、バルト海沿岸でビーチ・ウォーキング!夏の人気リゾート地のオフシーズンの味わいとは!?

2026.02.13

高地トレーニングと大自然のゲートシティ——アリゾナ州フラッグスタッフ【100周年を迎えるルート66の点と線・その6】

2026.01.24

シマ模様はみんな同じ!? 絶滅危惧種もいるシマウマの見分け方とは?

2026.01.22

風景と文化の交差点——ニューメキシコ州アルバカーキ【100周年を迎えるルート66の点と線・その5】

2026.01.20

歴史と文化が交錯する街——オクラホマ州タルサ【100周年を迎えるルート66の点と線・その4】

2026.01.19

アラビア砂漠の「遊牧民キャンプ」のあと○○に行ってみた!

2026.01.12

垂直落差1,131m!サウジアラビア・リヤドで「世界の縁」まで行ってきた

2026.01.09