幸いなことに、2件ともサメの目撃情報があっただけで、人への被害はありませんでした。目撃されたサメが同じ個体であったのかも不明です。それでもまだ夏とはいえない季節にサメがビーチに現れることは珍しく、地元ではちょっとしたニュースになっています。
背景として指摘されているのが、今年のエルニーニョ現象による海水温上昇です。南カリフォルニア沿岸では例年より早い時期から若いホホジロザメの出現が確認されており、専門家は「例年以上にサメが多い夏になる」と警告しています。暖かい海水が、幼体の生息域や回遊パターンを変えている可能性もあるといいます。
1975年公開の映画『ジョーズ』(原題:Jaws)の影響もあり、「人食いサメ」のイメージが強いホホジロザメですが、その一方で海洋生態系に欠かせない重要な存在でもあります。また、人間を積極的に襲う動物ではないことや、沿岸に現れる個体の多くが若いサメであることなどは、一般には意外と知られていないかもしれません。
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【動物ドッキリクイズ・その38】ホオジロザメのクイズです!
第1問 ホホジロザメは主に何を食べる?
a) 海藻
b) クラゲ
c) アザラシやアシカ
d) サンゴ
ホホジロザメの平均体長はオスが4〜5メートル前後、メスが4.5〜6メートル前後だということです。メスの方が大きいのですね。体重は1トンを超える個体もあるそうです。その巨体を支えるための主な栄養源は何でしょうか?

正解は「c)アザラシやアシカ」です。 ホホジロザメに食べられてしまう彼らにしても、ときに体長2メートルくらいの大きな海洋哺乳類。その獲物を下から高速で襲い、海面から飛び出すようなダイナミックな捕獲行動が恐怖の的になっています。映画『ジョーズ』の世界ですね。
人間は本来ならホホジロザメが好む食べ物ではないはずなのですが、しばしばサーファーやダイバーが襲われるのは、黒いウェットスーツを着用した姿がアザラシやアシカに似ているからだ、という説が有力です。きっとサメにインタビューしたわけではないでしょうけど。
第2問 ホホジロザメはどれだけの距離を移動する?
a) 川と海を行き来する
b) 大陸間を移動する長距離回遊
c) 一生同じ湾内で暮らす
d) 数100キロメートル程度
ハンティングトンビーチで目撃されたホホジロザメはその付近からはいなくなったようです。閉鎖されていたビーチも再開されました。ふつう、人がたくさん集まるビーチにはアシカやアザラシはいませんので、何かの事情で迷い込んだホホジロザメもしばらくすると姿を消すことが多いようです。
それでは、いなくなったホホジロザメはどこに行ったでしょうか?どれくらいの距離を移動すると考えられるのでしょうか?

正解は「b)大陸間を移動する長距離回遊」です。ホホジロザメはかなりの長距離を移動する魚類なのです。カリフォルニアにいた個体が太平洋を横断してハワイまで移動することもあるということです。
ただ、若いホホジロザメは、暖かく浅い沿岸域に比較的長く留まる傾向があるそうです。ハンティントンビーチで目撃されたサメも体長約3メートルということでしたので、たぶん成長しきっていない若さだったのでしょう。
ただでさえ近年の南カリフォルニアでは海水温が上昇しているうえに、エルニーニョ現象によってさらに温かくなることが予想されています。若いホホジロザメの出現が多くなるだろうという予想はそのためです。
一方で、成長した大型個体は外洋を含む非常に広い範囲を移動します。その理由は今ひとつはっきりしません。ひょっとしたらほんの気まぐれで、ハワイ沖にいたはずのホホジロザメが日本の海に現れるかもしれません。まるでゴジラか『沈黙の艦隊』みたいですね。
第3問 ホホジロザメが沿岸域の海面近くに浮かんでくる理由は?
a) 日光浴
b) 淡水を飲むため
c) 獲物を探すため
d) 水温が比較的暖かいため
ゴジラとの比較はしょうもない冗談ですけど、ホホジロザメも深い海の底にじっとしていてくれれば、人間界に危険は及びません。海は広いのですし、人間と食べ物は競合しませんし、お互いを食べることもあまりありません。なぜ、彼らはわざわざ私たち人間の生活圏に近づいてくるのでしょうか?

正解は「d)水温が比較的暖かいため」です。たぶん同じ理由で、カリフォルニアの海岸にはホホジロザメが好むアシカも群棲しています。
なお悪いことに(悪くはないかもしれませんが)、米国では1972年に制定された海洋哺乳類保護法(Marine Mammal Protection Act – “MMPA”)により、アシカを含む海洋哺乳類は保護動物に指定されていて、捕獲することも危害を与えることも禁じられています。つまりホホジロザメにとっては、エサが豊富な状態が人間の手によって作られているわけです。
第4問 ホホジロザメは海洋生態系でどんな役割を持つ?
a) 海水を浄化する
b) 海藻を増やす
c) 食物連鎖の頂点で生態系バランスを保つ
d) サンゴ礁を作る
ホホジロザメの怖い側面だけを強調し過ぎてきたかもしれません。みんなスティーヴン・スピルバーグ監督が悪いのです。
ところで、現在、世界には500種以上のサメが確認されています。そのうち、ホホジロザメのような「肉食系」、しかも近海に現れる種はむしろ少数派です。
サメの大部分は小型であったり深海性だったりして、人間と接触する機会自体がほとんどありません。プランクトンを食べる巨大なジンベエザメのように、非常におとなしい種類もいます。
ホホジロザメが好んで人間を襲うわけではないことは前述した通り。そのうえ彼らも海洋生態系の緻密かつ多様なシステム内で重要な役目を担っています。それは主にどのようなものでしょうか?

正解は「c)食物連鎖の頂点で生態系バランスを保つ」です。 ホホジロザメはアシカやアザラシを食べ、アシカやアザラシは魚を食べ、魚はプランクトンを食べます。そのサイクルのなかでどれかが欠けても、あるいはどれかが過剰に増えても、自然界のバランスは崩れてしまいます。
ホホジロザメは自然界にはあまり外敵はいません。まれにシャチやより大型のサメに襲われることはあるようです。むしろ最大の脅威は人間だとも言われています。
乱獲や混獲、海洋汚染、生息域の変化などによって、多くの地域でホホジロザメの個体数が減少しました。そのため世界自然保護基金(WWF)の保護対象となっており、近年は徐々に回復傾向が見られる地域もるということです(*1)。
*1. WWF公式ウェブサイト内ホホジロザメ紹介ページ:
https://www.worldwildlife.org/species/shark/great-white-shark/




