奥三河の豊かな自然と文化に触れられる!愛知県新城市にある「鳳来寺山」を日帰りで登山 - 【BE-PAL】キャンプ、アウトドア、自然派生活の情報源ビーパル
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    2025.06.14

    奥三河の豊かな自然と文化に触れられる!愛知県新城市にある「鳳来寺山」を日帰りで登山

    奥三河の豊かな自然と文化に触れられる!愛知県新城市にある「鳳来寺山」を日帰りで登山
    名古屋から日帰りで楽しめる人気山歩きスポットのひとつ、愛知県新城市にある鳳来寺山に行ってみた。そこは、眺望、文化・自然遺産など見どころが次々に現われる、変化に富んだルートだった。

    1,300年以上の歴史ある鳳来寺山を日帰りで楽しむ

    鳳来寺山参道入り口の風景
    風情のある鳳来寺山参道の入り口。左手にあるのが、五平餅が有名なおかめ茶屋。

    新東名高速道路の新城ICから、クルマで約15分。鳳来寺山参道入り口にある無料の笠川駐車場から歩くことにした。

    参道入り口の無料駐車場
    参道入り口横にある笠川駐車場。平日ということもあり空いていた。奥にはトイレもある。

    鳳来寺山には、今回利用した参道付近の駐車場(数か所あり)からスタートする道のほかにも、いくつかの登山ルートがある。中腹にある山頂有料駐車場を利用すれば、鳳来寺本堂までの長い石段を回避して、山頂周遊ルートだけを歩くこともできる。

    どちらにも、豊鉄バスのバス停があるので、クルマがなくても公共交通機関を利用してアクセスできるのもうれしい。

    参道を入ってすぐのところにあった、見どころなどが描かれたルートマップ。

    スタート地点とした参道入り口の駐車場には朝9時ごろに到着したが、五平餅などを食べられる、おかめ茶屋はすでに営業していた。

    参道を進むと風情のある古い商家の建物がぽつぽつと出現する。なかには書道に使う硯(すずり)を作り販売する130年以上もの歴史を持つ趣のある店もあった。

    参道に残る古い建造物
    雰囲気のある参道を歩くと、鳳来寺山の山頂が見えてきた。

    かと思えばベーカリーカフェがあったり。この日は休館日だったが、鳳来寺山の動植物など、豊かな自然についての展示を行なう鳳来寺山自然科学博物館もある。参道横には清流も流れていて、なんとも心地がいい。石段のスタート地点までは傾斜も緩く、周囲を眺めながら観光気分で歩いて20分ほどだった。

    鳳来寺山自然科学博物館
    参道沿いにある鳳来寺山自然科学博物館。

    木漏れ日が美しい1,425段の石段をゆっくりと上る

    鳳来寺山の入り口
    石段が始まる地点には鳳来寺山の石碑があった。

    「名勝 及 天然記念物 鳳来寺山」と刻まれた石碑を過ぎると、緑も濃くなり、いよいよ1,425段の石段がスタートする。

    石段
    雰囲気のある石段が続く。

    進むほどに歴史遺産が次々登場する

    苔むした石段を歩いて行くと、芭蕉の句碑や、西暦703年に鳳来寺山を開山し、その後、仙人となり309歳まで生きたといわれる利修仙人の石像などがテンポよく現われる。

    利修仙人像
    参道を見おろすように建てられた石造利修仙人像。

    続いて、赤い建造物が目に入る。これは国の重要文化財にも指定されている仁王門で、1650年に徳川家光の命で着工され、翌年、家綱の時代に完成した。門のなかには、江戸時代に作られた迫力ある仁王像が祀られている。

    仁王門
    仁王門が見えてきた。

    仁王門から3分ほど歩くと、傘杉という大木がある。樹齢800年以上、樹高は約60m。杉の木としては日本屈指の高さを誇るそうだ。参道を包むような深い緑は、直射日光をさえぎり、心地よい空気を生み出す。時折聞こえるウグイスなどの野鳥の声も涼しげだ。

    傘杉
    枝葉が傘のような形をしていることから、傘杉と名付けられた。

    その先、石段の左右には、松高院、医王院跡など、かつて僧侶たちが修験のために身を寄せていたであろう院の跡地が点在する。修験の場らしい清浄な雰囲気に、気持ちが引き締まるようだ。

    石段を上る筆者
    徐々に傾斜がきつくなる。

    石段から脇道へ入り、胎内くぐりという岩穴を目指した。すると、途中には、龍の爪あととも、鬼の爪あとともいわれる、巨大な爪でひっかいた傷のように見える岩場がある。これは1,500万年前の噴火でできた鳳来寺山の歴史を象徴する奇観のひとつだ。

    龍の爪あと
    縦じま模様が龍の爪あとのように見えると伝えられている。

    石段の先に迎えてくれる本堂と絶景

    石造
    参道では、穏やかな表情の石造が見守ってくれていた。

    スタートから約1時間で鳳来寺本堂に到着。本堂前には、田楽堂があり、屋根の下でゆっくりと休むことができる。そこからの眺望も素晴らしく、遠くの山並みや、モミジの新緑が美しかった。

    鳳来寺本堂
    緑に映える鳳来寺本堂。

    本堂の近くには、トイレと飲料の自動販売機がある。山頂周遊ルートの途中には、トイレや水場がないので、ここで済ませておこう。

    最初の眺望
    田楽堂からの眺望。

    鳳来寺本堂から山頂周遊ルートへ

    弘法堂
    本堂近くにある弘法堂。

    山頂周遊ルートには、鳳来寺本堂に向かって左手の道へ行く。この先、山道となり、斜度が急なところもある。さらに岩や根が重なる滑りやすい路面も多い。この日は、晴れて乾燥していたからよかったが、雨のあとにはかなり滑りやすくなると思うので、滑りにくい登山靴で行くことを強く薦める。

    山道を歩く筆者
    途中、歩きやすい道もある。

    遠くを見渡すナイスビューを楽しもう

    眺望
    不動堂近くからの眺め。

    不動堂近くでは、この山の象徴でもある鏡岩や、坊ケ峰、船着山などを見渡すビューポイントがある。さらに進むと、六本杉、奥の院へ至る。奥の院横からの眺望も、また素晴らしい。岩の上から下界を覗くと、先ほど歩いてきた参道も見える。達成感がじわり。

    岩盤
    途中、荒々しい岩盤も見える。
    奥の院からの眺望
    奥の院近くの岩の上から覗くと、歩いてきた参道を確認できた。

    奥の院から15分ほどで、「鳳来寺山々頂684m」と書かれた看板前に到達。ベンチやテーブルなどもあり、先行者がランチ休憩していたが、ここからの眺望はなし。ここには、もうひとつのピーク、標高695mの瑠璃山山頂と、山頂周遊ルートの分岐がある。今回は、瑠璃山には行かずに、周遊ルートを進んだ。

    鳳来寺山山頂
    山頂に到着。参道入り口からは、途中休憩をしながら歩いて約2時間15分だった。
    分岐の道標
    分岐には親切な道標がある。

    連続する滑りやすく急な下りは細心の注意で

    ようやく下りとなるが、時々、斜度がきついところや、岩盤がむき出しになったところ、さらには根が複雑に張り巡らしたテクニカルなエリアが出現する。かと思えば、歩きやすい尾根道になったり。

    岩の上に根が張った危険ポイント
    時折出現するテクニカルなエリア。

    天狗岩からは、だいぶ見慣れてきた豊橋方面の眺望を楽しめる。その先には、このルート初の南アルプス方面が開けたビューポイントもある。さらに進むと、巫女石と高座石と名付けられた奇岩が現われる。周遊ルートも見どころがたくさんだ。

    天狗岩周辺
    天狗岩付近からの景色。
    南アルプス方面を望む
    この日、初登場の南アルプス方面の眺望。

    その先、鷹打展望台への分岐があるが、今回はそこもパス。途中、森の中では、懐かしい黒電話の呼び出し音のような連続した大きな音が響いていた。こんな山中に工事現場でもあるのか?と不思議に思いながら歩いていた。

    たまたま前から来たガイドツアーのガイドさんに、その音について尋ねたら「それはきっとアカゲラですね」と教えてくれた。途中、何度となくコゲラが木をつつく軽快な音は聞こえたが、それとはまるで違うアカゲラのその音の大きさと重厚さ。姿は見られなかったけれど、アカゲラが木をつつく音が聞けるとはなんてラッキーなんだ。

    山中に息づく荘厳な美しさを誇る鳳来山東照宮へ

    さらに下ると、鳳来山東照宮が見えてきた。山を背負うようにたたずむ、その拝殿の勇壮さにしばし見入ってしまった。1651年に創建され、本殿、拝殿などが国の重要文化財に指定されている。栃木県の日光東照宮、静岡県の久能山東照宮と並ぶ、三大東照宮のひとつ。この日、期せずして、人生で3社目となる東照宮に参拝できてしまった。ラッキー!

    東照宮拝殿
    神々しい鳳来山東照宮の拝殿。

    鳳来山東照宮から少し歩くと、山頂周遊ルートをスタートした鳳来寺本堂に至る。参考まで、鳳来寺本堂前から山頂周遊ルートをぐるり1周した所要時間は約2時間40分だった。その後、参道の長い階段を下って参道入り口へ。

    全ルートの参考時間は、約5時間。見どころが次々と現われ、景観的にも変化に富み、達成感もある素晴らしいルートだった。今回は、わりと早足で歩いてしまったが、また来るときは、季節を変え、お弁当や双眼鏡などを持参して、ゆっくりと景色を楽しみながら歩いてみたい。

    下山後の楽しみもいろいろ

    周辺には、日帰り入浴ができる施設がある湯谷温泉や、ランチタイムを過ぎても食事ができる道の駅もっくる新城など、下山後に楽しめる施設がある。また、名古屋と新城を結ぶ高速バスや、ローカルバスと組み合わせたお得な切符もあるので、マイペースで鳳来寺山を楽しもう。

    ◎インフォメーション

    鳳来寺山がある愛知県奥三河エリアと新城市の観光情報は下記を参考に。

    山本修二

    ライター

    東京生まれ、名古屋在住。自転車好きライターとして本誌を中心に東京で活動し、2015年に名古屋へ移住。東海エリアの食とアウトドア環境を満喫中。肩の力を抜いてユルく自転車に乗りたい人のためにまとめた著書『スポーツ自転車でいまこそ走ろう!』(技術評論社)、好評発売中。

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