今が紅葉の見ごろ!心地良き森のトレイルを歩いて世界文化遺産・比叡山延暦寺をめぐる | 日本の旅 【BE-PAL】キャンプ、アウトドア、自然派生活の情報源ビーパル
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    2023.11.03

    今が紅葉の見ごろ!心地良き森のトレイルを歩いて世界文化遺産・比叡山延暦寺をめぐる

    紅葉の比叡山を歩く

    紅葉の名所、滋賀県大津市にある比叡山延暦寺(ひえいざん えんりゃくじ)と、比良比叡トレイルを歩いた。今年は11月後半まで紅葉を楽しめそう。

     全長約50km。比良比叡トレイルを少しだけ歩いてみた

     近所のトウカエデが日に日に赤く色づいている。そろそろ山の紅葉もいい感じでは?そう考えトレッキングに行くことにした。目的地は、滋賀県にある比叡山延暦寺。紅葉の名所として知られ、例年10月下旬から紅葉が始まるという。10月後半のある日、比叡山を目指した。

     その土地の歴史や文化を感じながら歩くロングトレイル。日本ロングトレイル協会に加盟するトレイルのひとつで、滋賀県にある全長約50kmにおよぶ「比良比叡(ひらひえい)トレイル」は、自宅がある名古屋からも比較的近く、いつか歩いてみたい場所だった。

    僕は山のスペシャリストでもなく、今回はビギナーの妻も同行する。日帰りで無理なく歩ける難易度の低いルート。それでいて心に残る体験ができる場所として、比良比叡トレイルの一部を通りながら、比叡山延暦寺の3地域を歩いて巡ることにした。しかも、そこは紅葉の名所。今年は夏の暑さも続いたので見ごろにはまだ早いかなと思いつつも、とにかく行ってみた。

    トレイルをしめすテープ

    トレイルの途中には、いくつもの道標があり迷いにくいが、マップ持参は必須。

     まずはレトロモダンなケーブルカーを満喫

    ケーブル坂本駅の駅舎

    国の重要文化財に指定されているケーブル坂本駅の駅舎。内観も素晴らしい。

    比良比叡トレイルのマップには、麓の町=坂本から無動寺坂を経由して、ケーブル延暦寺駅方面に至るルートが推奨されている。3地域に分けられた比叡山延暦寺の中心でもある総本堂の根本中堂がある東塔(とうどう)地域までは約2時間とある。今回は、歩くことだけが目的ではないので、迷わず日本一の長さを誇るケーブルカー「坂本ケーブル」を利用することにした。

    坂本ケーブルの車両

    急斜面を力強く行き来する坂本ケーブルの車両。こちらもレトロな雰囲気満載。

    坂本ケーブルは、ケーブル坂本駅とケーブル延暦寺(全長2,025m)を約11分で結ぶ。しかも、坂本駅前には、ケーブル利用者用の無料駐車場(7台)があり、今回はそこを利用させていただいた。3~11月までの始発は8時(それ以外の時期は8時30分)。少し早く到着したので、駅舎のなかに入ると、趣のある天井の照明が迎えてくれた。この駅舎は、大正14年(1925年)に建設されたもので、レトロモダンな洋風木造二階建の駅舎は、国の登録有形文化財にも指定されている。

    ケーブル延暦寺の駅舎

    こちらはケーブル延暦寺駅の駅舎。この建物の屋上に琵琶湖を望む展望台がある。

    ケーブルカーの車両もレトロな雰囲気で、まるでアミューズメントパークにでも訪れたような気分に浸れる。途中、琵琶湖を眺めながらあっという間にケーブル延暦寺駅へ。こちらの駅舎は、洋風鉄筋二階建で、坂本駅と同年に建造された。こちらもまたいい雰囲気だ。しかも、屋上に無料で上がることができ、そこから琵琶湖を見おろす眺望の素晴らしいこと。当日は、少々雲が出ていたが、それでも沖島、琵琶湖大橋、大津港などを一望にできた。実は、今回歩いたルートで、もっとも眺望が開けた場所がこの屋上だった。もし、このルートに出かけるなら、必ず駅舎の屋上をチェックしよう。

    屋上からの絶景

    ちょっと曇っていたが、それでも琵琶湖大橋方面を見ることができた。紅葉もちらほら。

     坂本ケーブル

    • 区間:ケーブル坂本駅~ケーブル延暦寺駅(約2km)
    • 所要時間:約11分
    • 普通運賃:【大人】片道870円、往復1,660円、【子供】片道440円、往復830円
    • 運転ダイヤ:【3~11月】8時~17時30分、【12~2月】8時30分~17時 ※坂本駅、延暦寺駅ともに毎時00分と30分発
    • ホームページ:https://www.sakamoto-cable.jp/

     広大な比叡山延暦寺を東塔から西塔、横川へ歩いてみた

    根本中堂の石標

    東塔地域に入るや、色づき始めたもみじが迎えてくれた。

    比叡山延暦寺は、伝教大師 最澄(でんぎょうだいし さいちょう)が、788年に創建した。以後、多くの名僧がここで修行し、宗祖となったことで、「日本仏教の母山」とも呼ばれている。境内の面積は約1,700ヘクタール。延暦寺という建物があるわけではなく、広大な敷地内に約100の堂宇があり、その総称として延暦寺と呼ばれている。比叡山延暦寺は、大きく東塔(とうどう)、西塔(さいとう)、横川(よかわ)に分けられている。大人1名1,000円の巡拝料で、東塔、西塔、横川の3地域を拝観できる。クルマやバスを利用してもめぐれるが、今回は広大な敷地を歩いてみた。

    1994年には世界文化遺産にも登録

    大講堂

    1964年に麓の坂本から移築された大講堂も国の重要文化財。いたるところに貴重な文化財がある。

    東塔地域に入ると、紅葉もちらほら。どこからともなくお経が聞こえてくる。巡拝料を納め、順に堂塔をめぐった。建物自体が国宝に指定されている総本堂の根本中堂は現在改修中だが、内部の拝観はできる。東塔地域では、文珠楼(もんじゅうろう)、大講堂、阿弥陀堂、鐘楼(しょうろう)、東塔を眺めてみた。一部の堂は、内観を見学できるので、そこに祀られた仏像や絵画などをじっくりと拝観。仏像の表情の穏やかなこと。来訪者にとってはまさに癒しの空間だ。

    東塔と阿弥陀堂

    左が東塔、右が阿弥陀堂。ぜひ、お参りして内観を見てみよう。

    東塔地域の建造物は、鮮やかな朱色が際立つものが多く、始まったばかりの紅葉とのコントラストも素晴らしく、「映える」写真が撮れそうだ。

    東塔地域から西塔地域へは、見事な杉林のなかにあるトレイルを歩いて移動する。趣のある浄土院に入ると、そこには美しい枯山水(庭の砂利に波のような模様を描いたもの)が出現。見るものひとつずつに癒しのパワーがあり、心が洗われていくようだ。

    浄土院の枯山水

    浄土院の枯山水。背景には紅葉も。

    その先、西塔地域の中心エリアへ。常行堂、法華堂のふたつからなる、にない堂は、この日、修行が行なわれていることが記されていて、おごそかな雰囲気に包まれていた。長い階段を下ると正面に圧巻の釈迦堂が見えてくる。階段下には手水舎があり、「この水、飲めます」と書いてあったので、手を清めてからいただいた。それは、やわらかな名水だった。この先、山道が続くので、ありがたく給水させていただいた。東塔と比べて、訪れる人も格段に少なく、圧倒的な建物や樹木の雰囲気からも、ここが修行の山であることを強く感じられた。

    手水舎の水

    清らかな手水舎の水。

    西塔で中心的な釈迦堂

    西塔地域で中心的な釈迦堂。大きな杉に見守られている。

    心地良き尾根道をのんびりと歩く

    尾根道を歩く人

    静かで気持ちのいい尾根道をマイペースで行く。

    西塔地域から横川地域までは、比良比叡トレイル、京都一周トレイル、東海自然歩道が共用するトレイルを行く。なだらかな勾配を繰り返す歩きやすい尾根道だ。途中、木々の色づく場面もあり、紅葉を眺めての散策を楽しむことができた。

    トレイルの道標

    比良比叡トレイル、京都一周トレイル、東海自然歩道を一度に歩ける。

    深い樹林帯を過ぎて尾根に光が差してくるとすぐに大きな杉の木がある。玉体杉(ぎょくたいすぎ)と呼ばれ、かつて修行途中の僧が、ここから京都の御所方面を眺め、天皇の健康を祈ったと伝えられている。この辺りからは、京都方面の町並みがよく見える。

    尾根を歩く人

    日当たりのいいこの尾根の先に玉体杉がある。

    玉体杉周辺から見える京都方面の眺望

    玉体杉周辺から見える京都方面の眺望。

    小さなトンネルを抜け、杉並木の心地良きトレイルを歩くと横川地域に至る。西塔地域から玉体杉まで約1時間。玉体杉から横川地域までは約20分。途中、何人かのハイカーとはすれ違ったが、この区間では念のため、熊避けの鈴を鳴らしながら歩いた。

     紅葉の名所、横川中堂へ

    紅葉の名所として知られる横川中堂。もみじと堂宇とのコントラストを見たかったが、まだ少し早かった。しかし、2023年12月3日まで、横川中堂特別内陣拝観が行なわれていて、国の重要文化財にも指定されている横川中堂御本尊・聖観音菩薩立像を間近で拝観することができた。また、これから紅葉は本番を迎え、11月23日までは「比叡のもみじ祭り」が横川駐車場で開催されている。

    10月下旬の横川中堂の紅葉

    10月下旬の横川中堂の紅葉。この日は、まだ1分程度かな?

     おみくじ発祥の地である元三大師堂(四季講堂)では、ほんのりもみじが色づいていた。これで、延暦寺のおもな塔堂への参拝もできた。そこから先、坂本へ下山するため日吉大社に向かうハイキングコースを歩きだした。それまでのトレイルとは一変。道幅が広い林道が続いた。15分も歩くと、突然、雷が鳴り一瞬で大雨に。トレイルマップには、約1時間30分の行程とある。実は、この道に入ってから、急に人の気配がなくなり、動物の痕跡が色濃くなっていた。リスがいたり、数種類の真新しい糞が落ちていたり、サルの声が聞こえたり。いろいろなリスクを考え、無理せず横川駐車場へ引き返した。

    元三大師堂

    元三大師堂を参拝したら帰路へ。

    そして、奥比叡ドライブウェイを通り比叡山山頂駅まで行くシャトルバスで東塔バス停へ行き(運賃は横川バス停から700円)、そこから少し歩いて朝降りたケーブル延暦寺駅へ。すでに雨はやんでいたが坂本ケーブルで下山した。駅の目の前の駐車場にマイカー。なんて便利なんだ。ゆっくりと片付けをしたら、雨で冷えた体を温めるため、おごと温泉にある日帰り入浴施設を目指す。クルマで約10分。肌がすべすべになる天然温泉や電気風呂で、ゆっくりと疲れを癒してから帰宅した。

    ほんの一部ではあるが比良比叡トレイルを歩いてみて、すぐに再訪したくなった。今後、季節ごとに歩くエリアを分けて、少しずつ踏破してみたい。

     初めての比叡山延暦寺から、眼下に見る琵琶湖とその向こうの山々。そして、心地のいい森のトレイル。なにより、1200年以上の歴史を歩んだ世界文化遺産を目の当たりにし、紅葉まで楽しめる。見どころたくさんでありながら、無理せずマイペースで楽しめる魅力的なトレイル。紅葉の見ごろを迎える今、すぐにでも計画して出かけてみてくださいね!

    今回歩いたルートのマップ

    今回歩いたルートマップを描いてみた。

     比叡山延暦寺

    • 巡拝料(東塔・西塔・横川共通券):大人1,000円、中高生600円、小学生300円
    • 国宝殿(宝物館)拝観料:大人500円、中高生300円、小学生100円
    • 巡拝時間:【東塔】9時~16時(通年)、【西塔、横川】9時30分~16時(12月~2月)、9時~16時(3月~11月)
    • ホームページ:https://www.hieizan.or.jp/

     比良比叡トレイル

    • 比良比叡トレイルマップは、1,400円で下記HPから購入できます。
    • ホームページ:https://hirahiei.com/
    私が書きました!
    フリーランスライター
    山本修二
    東京生まれ、名古屋在住。自転車好きなライターとして、本誌を中心に長らく東京で活動し、2015年に名古屋へ移住。東海エリアの食とアウトドア環境に魅了されっぱなしの日々を過ごしている。肩の力を抜いてユルく自転車に乗りたい人のためにまとめた著書『スポーツ自転車でいまこそ走ろう!』(技術評論社)、好評発売中です。http://yamabon.jp

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