「ツーリズムとよた」の散策マップを参考にルートを構築
朝7時過ぎに名古屋市東部にある自宅を出発。少し回り道になるが有料道路を回避しても約50分で駐車場に到着した。しかし、その時間で猿投神社第2駐車場はほぼ満車。登山口に近い第1駐車場までは道も狭く、いつも混雑しているので、最初から第2、第3駐車場を目指すのが正解だろう。
靴を履き替え、ザックを背負い登山開始。駐車場近くにある猿投神社で登山の安全を祈願。ついでに登山者用第1駐車場横にあるきれいなトイレへ。その建物に置いてあった無料の「愛知高原国定公園 豊田市 猿投山 散策マップ」をいただいた。事前にこの地図を発行している「ツーリズムとよた」のHPに掲載されていたPDFマップはプリントしていたが、いただいた紙の散策マップには、山頂付近の地図や道中の見どころ情報も掲載されていた。スマホに入れたデジタルマップ、プリントしたPDF地図、そして、現地で入手した散策マップを見ながら山道を歩きだす。
出発前に組んだルートは、ネットで公開されているPDFマップを参考に構築した。いろいろ調べると、上りも下りも同じ道を使って頂上と駐車場を往復する人が多いようだった。しかし、どうせなら数々の見どころを少しでも多く見たいと思いPDFマップを参考にした。
緑豊かな木陰の道をゆっくりと歩きだす
序盤は自動車も通る道幅の狭い林道を行く。道の脇には龍川が流れ清涼感を楽しめる。最初の見どころは「トロミル水車」。このあたりでは、陶器の材料となる良質な土が採れることから、水車を使って土から石粉を採取していたそうだ。昭和初期ごろが最盛期で、木製の水車だけではなく、金属製の水車もあったそうだ。そのレプリカがこちら。
その先、「お倉岩」という奇岩を過ぎた分岐に「御門杉」がある。ここから東海自然歩道の山道がスタートする。低山といえども山は山。急な傾斜に整備された長い階段が続く。豊かな緑に囲まれたトレイルでは、ウグイスがご機嫌なさえずりを披露。束の間、上りのキツさを和らげてくれる。
いよいよ山頂へ続く山道へ
御門杉から25分ほどで大岩展望台に到着。グリーンのトンネルが途切れた場所に、その名の通り大岩があり、その上に乗ると遠くの山並みを眺められる。まさに絶好のフォトスポット。
その先、猿投山頂とは別方向に分岐した道の途中には「猿投山展望台」があり、そちらからは名古屋市内を望めるそうだが、今回は回り道になるので回避した。
トイレがある東の宮分岐から「猿投神社東の宮」へ。大岩展望台から約20分。境内には、いくつものベンチがあり、多くの人が休憩をしていた。そこで、おにぎりを食べながらゆっくりと休んだ。その先、「カエル石」と名付けられた奇岩を横目に山頂へ。山頂付近にも眺望ポイントがあり、そこにも丸太で作られたベンチが多数設置されていた。トレランの人、家族で山登りを楽しむ人など、大勢が休憩していた。穏やかな休日の風景だ。
山頂からは猿投七滝を目指して進む
山頂で折り返して少しだけ下るとカエル石がある。そこから数十m下ったところにある、かなりわかりにくい分岐を右手に。尾根沿いの狭いトレイルを行く。この日、見かけた多くの人は山頂から来た道を戻る様子で、そのトレイルへ進む人はほとんどいなかった。そのため「ほんとにここであってる?」と心細くなる。
その先、アップダウンを繰り返す山道には、木の根も多く注意が必要。観光マップに紹介されている、ふたつの大きな奇岩が並ぶ「御船石」に到着して一安心。さらに進むと猿投神社西の宮に至る。神社の手前には「大碓命御墓所」がある。ここには、日本武尊(ヤマトタケル)の兄、大碓命(オオウスノミコト)が祀られている。大碓命は、猿投山で蛇に噛まれ死去。その後、猿投神社の主祭神となったという。
猿投神社西の宮は、東の宮と比べると人も少なく静かな印象だ。ここにも休憩用のベンチが多数あり、ゆっくりと過ごせる。西の宮から少し下ったところにある鳥居をくぐると、そこから先は、舗装された道幅の狭い林道となる。オートバイや自動車も通るので注意が必要。
広沢川が視界に入れば、いよいよ猿投七滝ゾーンだ。最初の「血洗いの滝」は、林道の分岐を右に進むが、この日は落石のため通行止め。そこをパスして「二ツ釜滝」から、広瀬川に沿った滝を見るために整備された趣のある遊歩道を歩いた。苔むした遊歩道のすぐ横には渓流があり、滝のしぶき、水の流れる音と豊かなグリーンが疲れを癒してくれる。「白霧滝」「千鳥滝」「白菊滝」「乙女滝」と次々と滝が現われる。この日は、ほとんど歩いている人を見かけなかったが、ここは愛知県内でも有数の癒し系ネイチャースポットであると確信した。猿投山に行って七滝を見ないなんてもったいなさすぎる。
「菊石」あたりで遊歩道は終わり再び林道へ。少し離れた場所にある広沢大滝で七滝は最後。その先、少名彦命(すくなひこなのみこと)が祀られている広沢天神がある。
山道から景色が一変
広沢天神を過ぎると、視界がパッと開け集落が点在する里山ゾーンとなる。田んぼや山並みを眺めて歩くその道は、日本の田園風景のイメージそのもの。山道も楽しかったが、実は、この里山ゾーンのどこか懐かしい風景が一番心に残った。
その先、猿投神社の前を通り駐車場へ。約5時間のうち休憩時間は50分ほど。歩いた距離は12.8kmだった。見どころたくさん、魅力満載の散策ルートだ。
駐車場に戻ったのが13時前。ホームセンターで買い物してから、名古屋市内に借りている市民農園に寄り道してラディッシュを収穫してから帰宅しても15時過ぎ。なんて充実の一日なんだ!
この日は、スニーカーで歩いている人もいれば、未就学児らしき子供連れもいた。有名な低山だけに気軽に訪れる人も多いのだろう。しかし、実際に歩いてみた足元の路面状況や斜度(獲得標高647m)、距離(12.8km)などを振り返ると、登山用シューズ、服装、雨具や携帯食、地図など山歩きの基本装備が必須と感じた。
気軽にアクセスできるのに、しっかり楽しめる見どころ満載の低山=猿投山。近隣の方はもちろん、ジブリパークからも近いので、愛知観光のついでにぜひ歩いてほしい名所でした。