
夏の暑さをしのぐテント設営術
夏キャンプは、川遊びや海水浴、虫取りに花火など、夏ならではのアクティビティが満載。さらに陽が長いのも嬉しいポイント。自然の中で、家族や仲間とゆったりキャンプ時間を楽しめるだろう。
しかし言わずもがな、真夏のキャンプで最大の敵となるのが「暑さ」。炎天下のテントの設営、エアコンのない環境での衣食住は、想像以上に過酷だ。
夏キャンプを台無しにしないためにも、暑さ対策は徹底して行おう!
テント設営の暑さ対策
テントの設営は日陰や風下に

テントを設営する際は、日差しを避けて木陰や風通しの良い場所を選ぼう。
直射日光の当たる場所にテントを張るとテント内がサウナ状態になってしまい、とてもじゃないけどテントで寝泊まりするなんてできない。
日陰や風下に設営することで、テント内の温度上昇をかなり抑えられる。つまり、夏キャンプではサイト選びがとても重要なのだ。
どうしても日陰のないサイトでテントを張らなければならない……という事態になってしまったら、タープで日陰を作り、その下にテントを張るようにしよう。
通気性の良いテントを準備

夏キャンプ用のテントは、通気性の良いものを選ぶことが大切。
メッシュ素材の窓や通気口が多いテントは、空気の流れが良くなり、テント内の熱がこもりにくくなる。
通気性の良いテントでさらに扇風機で風の流れを作れば、テントの中が劇的に過ごしやすくなる。
ベンチレーション(空気の流れ)が計算されたテントもたくさんあるので、夏キャンプ用にテントを選ぶ際のポイントにしよう。
▼参考記事
どの素材が一番涼しい?BE-PAL編集部が徹底検証!
テントの素材でどれぐらい温度が違うのかBE-PAL編集部が検証した。
パターン【1】は、キャノピーにメッシュではない生地を使った一般的なモデルにフライを装着し、さらに日よけのためにタープをセット。【2】は、遮光生地を使用したモデル。【3】は、キャノピー全体がメッシュ地のモデルに、日よけタープをプラスした。
実験のルール
・8時から16時までの1時間ごとに、テントボトムのほぼ中央に設置した温湿度計で内部の温度と湿度を計測。
・フライのドアは開放、インナーのドアと窓はメッシュにセット。
・13時から14時の間に、好きな場所にファンを置けるボーナスタイムを15分間設定。
※テスト実施中の外気温は平均34.77度C、湿度は平均28.1%、天候は晴れときどき曇り。
【1】ノーマルテント+タープ(右)
平均温度:32.4度C
平均湿度:50.7%
テント:ニーモ/オーロラリッジ 3P
※現在販売終了
mont-bell (モンベル) ミニタープHX
居住空間に余裕があり、比較的風に強い六角形デザインの小型タープ。自転車やオートバイのソロツーリングなど、できるだけ荷物を軽くしたいときにおすすめだ。軽量のアルミペグとスタッフバッグが付属する。
テスター・ライターオオイシ
ノーマルテントとは、キャノピー部分がメッシュではない生地で構成されていることを意味する。

温度-0.5度C
斜め上向きにしたファンを床置き。上部の暖かい空気が流れたためか、温度がわずかに低くなった。
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【2】遮光生地テント(中)
温度最涼
平均温度:28.81度C
平均湿度:53.2%
ケシュア ワンタッチテント 2SECONDS EASY FRESH&BLACK-3人用
テスター・編集ハラボー
ファンを下向きにして天井にセット。内部温度に大きな変化はないが、湿度低下に効果があった。

湿度-5%
遮光生地だから内部は昼間でも真っ暗!早起きが苦手なハラボーにはおあつらえ向きのテントだ。
【3】オールメッシュテント+タープ(左)
湿度最涼
平均温度:30.9度C
平均湿度:47.0%
ライペン カヤライズ3(フレーム付き)
ライペン ビバークタープL
テスター・編集タカセ

湿度-4%
タカセも床置きだが、オオイシよりファンの首を伸ばした状態。温度には影響なく湿度が低下した。
カヤライズはキャノピー全体に、虫が侵入しにくい目の細かいナイロンメッシュが使われている。
温度・湿度の推移をチェック!

※実線は温度、点線は湿度を表わしている。
上のグラフを見てもわかるように、結果は歴然。遮光生地テントが、9時計測時を除いて常にほかのパターンより温度が低かった。とくに注目してほしいのは、計測を開始した8時の温度。【1】と【3】が約28度Cなのに対して、【2】は約21度C!実験直前ではなく前日から写真の状態でセットしてあったので、この温度の低さは、朝日で温度が急上昇するのを防いだ遮光生地の効果であることは間違いない。テスター・ハラボーも大満足の結果となった。
いっぽうのオールメッシュは、湿度の低さが際立っている。カヤライズはレインフライ別売りなので、日よけ&雨よけのためにあえてタープと組み合わせたが、両翼を少し高くセットすれば、温度、湿度ともにもっと下がったであろうと推測できる。テスター・タカセは人一倍寒がりだから、夏でも高原キャンプで【3】のセットだと、寒くて凍えてしまうかも(笑)。
“涼度”という観点では、ほかに後れを取ったパターン【1】。とはいえ、湿度は【2】より低く、蒸し暑さは抑えられていた。どんな状況でも笑顔を絶やさないテスター・オオイシの笑顔が、暑さで歪むこともなかった。
【1】のセッティングは、タープをもっと高くすれば、日差しの遮蔽度が高く、風通しも良くなるので、もう少し高涼度な結果になったかもしれない。
何はともあれ、ひとりも熱中症にかからず無事テストが終了し、遮光生地の有効性を実感。遮光性に優れたギアを活用し、サイトを避暑地化して涼度満点なキャンプを楽しもう!
※タープはいずれもポール別売り。
撮影/中村文隆
▼参考記事
ファミリーで快適に過ごせる夏向けテント
ブランド・商品 | 画像 | 販売サイト | 詳細情報 |
---|---|---|---|
価格 | |||
スノーピーク ランドネストシェルター | ![]() | ¥87,780 | |
コールマン レインカーム2ルーム/3025 DR | ![]() | ¥140,800 | |
LOGOS (ロゴス) プレミアム PANEL グレートドゥーブルG2・プラス XL-BD | ![]() | ¥159,500 | |
ZANE ARTS (ゼインアーツ) ゼクーM | ![]() | ¥69,800 | |
QUICKCAMP スクリーンタープ 3m | ![]() | ¥26,980 | |
LOGOS (ロゴス) ソーラーブロック Q-TOP フルシェード-BA | ![]() | ¥17,820 | |
スノーピーク ランドネストシェルター
前後左右対称のフレーム構造を採用したオールシーズン対応の2ルームテント。フライシートの向きを気にせずスムーズに設営できるのが特徴で、インナーテントをはずせば大型シェルターとしても使える。
●サイズ:最大長約620××360×210cm
●収納サイズ:約76×32×35cm
●重量:約16.5kg
●MAX:4人

吊り下げ式のインナーテントは、家族4人がゆったり寝られるスペースを確保している。

高さ十分で、グループでの使用もOK!内部は日差しに強く、風の通りも良い。
Coleman (コールマン) レインカーム2ルーム/3025 DR
遮光に加え、新たに静音設計を採用。雨音を抑え、ジッパーのジ、ジ、ジィーッという音を無音に――という、従来になかった発想から生まれたモデル。外幕に遮光生地が使われ、日差しの強い夏場にはテント内の温度上昇を抑えてくれる。

ダークルームテクノロジーにより日光を遮り、室内の温度上昇を軽減。メッシュを活かした二重構造が雨音をやわらげ、快適な眠りをサポートする。クロスフレーム構造で設営はスムーズに行なえる。
●サイズ:590×320×205cm
●収納サイズ:約φ32×74cm
●重量:約20kg
●MAX:5人

日光を遮断し、温度上昇を抑制。テント内は快適な睡眠環境だ。
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撮影/三浦孝明
▼参考記事
LOGOS (ロゴス) プレミアム PANEL グレートドゥーブルG2・プラス XL-BD
大人4人と子ども2人の計6人が快適に過ごせる広さと優れた居住性を兼ね備えた2ルームテント。側面に配置された「X」に交差するフレーム構造により、風や雨にも強い安定感を提供する。ソーラーブロックコーティングのトップシートや優れた換気性能、簡単設営の「SUPPORT BELT SYSTEM」など、便利機能も充実。
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ZANE ARTS (ゼインアーツ) ゼクーM
広々とした居住空間を提供するワンポールシェルター。周囲3か所を逆V字型のエクステンションフレームで立ち上げることで、狭くなりがちな空間を大幅に改善し、床面積はラージサイズ並みの広さを実現。インナーテントは別売り。(付属ロープのカラーはアイボリー)
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QUICKCAMP スクリーンタープ 3m
2〜4人でゆったり過ごせるサイズ感のテント。108×Φ22cmのコンパクト収納で持ち運びもラクラク。

QUICKCAMPのCOOLシリーズのテント。ブラックコーティング生地が使われていて、日差しや紫外線、太陽光の熱をしっかり遮ってくれるのがポイント。
地面からの照り返しや反射も防げるので、日陰内の体感温度は最大マイナス15度以上。UVカット率は99.9%以上、UPF50+で紫外線対策も万全。「日陰の質」にこだわっているから、夏の外遊びがぐっと快適になるはずだ。
さらに、フレームパーツを合わせて紐を引くだけのワンタッチ構造で、灼熱の中でも面倒な設営に時間を取られず、誰でもサッと快適な日陰をつくれる。
▼参考記事
LOGOS (ロゴス) ソーラーブロック Q-TOP フルシェード-BA
折り畳まれたフレームを伸ばしてロックするだけで設営できる構造「Q-TOP SYSTEM」を採用。簡単かつスピーディーな組立てや撤収が可能だ。シートとフレームは一体化しているため、パーツを紛失する心配もいらない。
●サイズ:約幅200×奥行150×高さ117cm
●収納時サイズ:約直径12×長さ69cm
●総重量:約3.0kg

LOGOS独自の「Q-TOP SYSTEM」を採用。
紫外線や暑さ対策も万全だ。生地の表には白を採用し、生地の裏側にはUV-CUT率99.9%以上、遮光率100%を誇るソーラーブロックコーティングを施すことで、日向と日陰で-15℃の温度差を生み出している(※LOGOS調べ)。
さらに、フルクローズタイプでプライベートな空間をつくることも。室内にはランタンを吊るすフック付きなので、太陽光を避けつつ、明かりも確保できる。着替えや授乳など様々なシーンで重宝するだろう。
四隅には砂袋を装備しているので、風が吹いても安心。ビーチなどペグが刺さりにくい地面でも問題ない。

四隅には砂袋を装備。
コンパクトに収納できる収納バッグが付いているため、持ち運びも楽々!公園や海水浴、プールなど、夏場のレジャーシーンで大活躍してくれるだろう。

収納バッグ付き。
▼参考記事
遮光性バッチリ!ソロ向けのおすすめテント
ヘリノックス Alpine Dome 1.5P ― Black
“ブラック”テントには外観にも工夫あるタイプが多いなか、これは山岳テントのようにシンプル。悪天候時の実戦力の高さを感じさせる。安心して休みたい人に。
●サイズ:215×115×102cm
●重量:1.84kg

フライシートは上部を三角に開けられ、内部の熱気を逃す。

インナーテントは白。内部が暗すぎると困る人には良さそうだ。
TOKYO CRAFTS ナイトローバー 2P グレー (インナーテント付属)
ほぼブラックに近いグレーのテント。上から見れば六角形で、強風が吹いていても形状をしっかり保ち、前室を有効活用できる。フライシートだけで使えるのもグッド。
●サイズ:235×300×120cm
●重量:3.62kg

3本のポールを使い、前室部分まで完全に立体化。雨の日に強い。

インナーテントを取りはずし、暑い時期はサンシェード的に活躍!
ミニマルワークス DP1.5
すべての生地がオールブラック(正確にはチャコール)。内部に入って閉め切るとわかるが、その暗さは想像以上だ。真っ昼間でも、真夜中のように眠れるぞ!
●サイズ:225×200×105cm
●重量:1.72kg

前後の出入り口を開くと、開放感は十分。涼しい風が流れ込む。

左右に大きく広がる前室。雨天時もシューズなどが濡れにくい。
ビッグアグネス フライクリークUL1
本当は超軽量テントとしても紹介したい重量754g! 内部は意外と明るく、見た目ほど圧迫感はないのがおもしろい。旧タイプユーザーなら、買い替えもおすすめだ。
●サイズ:218×97×102cm
●重量:754g

足元が狭まった形状。少しでも生地を減らして軽量にするためだ。

ポールをわずかに曲げて足元に高さを出す設計で、窮屈さを軽減。
撮影/矢島慎一
▼参考記事