いちばん涼しいテントはどれだ!? 素材別"涼度"チェック
このテストでは、テントの素材でどれぐらい温度が違うのかを検証した。
パターン①は、キャノピーにメッシュではない生地を使った一般的なモデルにフライを装着し、さらに日よけのためにタープをセット。②は、遮光生地を使用したモデル。③は、キャノピー全体がメッシュ地のモデルに、日よけタープをプラスした。
実験のルール
1 8時から16時までの1時間ごとに、テントボトムのほぼ中央に設置した温湿度計で内部の温度と湿度を計測。
2 フライのドアは開放、インナーのドアと窓はメッシュにセット。
3 13時から14時の間に、好きな場所にファンを置けるボーナスタイムを15分間設定。
※テスト実施中の外気温は平均34.77度C、湿度は平均28.1%、天候は晴れときどき曇りでした。
1 ノーマルテント+タープ(右)
平均温度:32.4度C
平均湿度:50.7%
テント:ニーモ/オーロラリッジ 3P ¥39,600
問い合わせ先:イワタニ・プリムス TEL:03(6667)0680
タープ:モンベル/ミニタープ HX ¥10,120
問い合わせ先:モンベル・カスタマー・サービス TEL:06(6536)5740
テスター・ライターオオイシ
ノーマルテントとは、キャノピー部分がメッシュではない生地で構成されていることを意味する。
斜め上向きにしたファンを床置き。上部の暖かい空気が流れたためか、温度がわずかに低くなった。
2 遮光生地テント(中)
温度最涼
平均温度:28.81度C
平均湿度:53.2%
テント:ケシュア/ワンタッチテント 2SECONDS EASY FRESH&BLACK-3人用 ¥44,900
問い合わせ先:デカトロン TEL:0570-06-2345
テスター・編集ハラボー
ファンを下向きにして天井にセット。内部温度に大きな変化はないが、湿度低下に効果があった。
遮光生地だから内部は昼間でも真っ暗! 早起きが苦手なハラボーにはおあつらえ向きのテントだ。
3 オールメッシュテント+タープ(左)
湿度最涼
平均温度:30.9度C
平均湿度:47.0%
テント:ライペン/カヤライズ3(フレーム付き) ¥42,790
タープ:ライペン/ビバークタープL ¥16,500
問い合わせ先:アライテント TEL:04(2944)5855
テスター・編集タカセ
タカセも床置きだが、オオイシよりファンの首を伸ばした状態。温度には影響なく湿度が低下した。
カヤライズはキャノピー全体に、虫が侵入しにくい目の細かいナイロンメッシュが使われている。
温度・湿度の推移をチェック!
上のグラフを見てもわかるように、結果は歴然。遮光生地テントが、9時計測時を除いて常にほかのパターンより温度が低かった。とくに注目してほしいのは、計測を開始した8時の温度。①と③が約28度Cなのに対して、②は約21度C! 実験直前ではなく前日から写真の状態でセットしてあったので、この温度の低さは、朝日で温度が急上昇するのを防いだ遮光生地の効果であることは間違いない。テスター・ハラボーも大満足の結果となった。
いっぽうのオールメッシュは、湿度の低さが際立っている。カヤライズはレインフライ別売りなので、日よけ&雨よけのためにあえてタープと組み合わせたが、両翼を少し高くセットすれば、温度、湿度ともにもっと下がったであろうと推測できる。テスター・タカセは人一倍寒がりだから、夏でも高原キャンプで③のセットだと、寒くて凍えてしまうかも(笑)。
"涼度"という観点では、ほかに後れを取ったパターン①。とはいえ、湿度は②より低く、蒸し暑さは抑えられていた。どんな状況でも笑顔を絶やさないテスター・オオイシの笑顔が、暑さで歪むこともなかった。
①のセッティングは、タープをもっと高くすれば、日差しの遮蔽度が高く、風通しも良くなるので、もう少し高涼度な結果になったかもしれない。
何はともあれ、ひとりも熱中症にかからず無事テストが終了し、遮光生地の有効性を実感。遮光性に優れたギアを活用し、サイトを避暑地化して涼度満点なキャンプを楽しもう!
※タープはいずれもポール別売りです。
追加実験 タープ周囲に打ち水で-2.6度C
庭や道路に水をまいて涼を呼び込む日本の伝統文化、打ち水。水が蒸発するときの気化熱の効果で、周囲の温度が低くなる。打ち水後にタープ下に入ると、吹き込む風も涼しくてとても気持ちイイ。
※構成/坂本りえ 撮影/中村文隆
(BE-PAL 2024年8月号より)