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ライター高橋庄太郎
最近増えている仕事は、アウトドアギアをテストしての執筆。自宅の部屋のひとつは、山道具置き場だ。著書に『山道具 選び方、使い方』など。
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どんな機能性を重視するのかで重宝するものは変わる!
今年は登山向けなどの1~2人用の新作テントが非常に少ない。“数”でいえば不作だ。だが“質”では不作とは限らず、むしろ進化して高機能な新製品が目立つ。不作よりも少数精鋭という言葉が正しいのだ。
一方で、バリエーションは増えている。このところ減っていたシングルウォールタイプが再び活気付き、「超軽量」な注目製品が複数登場。形状にもユニークなものが現われ、とくに前室部分に工夫を凝らし、「快適性」をアップしたものが多い。
“色”の多様性が高いのも一大特徴だ。ここで紹介したテントだけでもレインボーに並べることができ、さらに「ブラック」という流行色が出現!
ただ、遮光性が高くて明るい時間でもぐっすり眠れるのは長所だが、その分だけ内部は暗く、昼でもヘッドランプが欲しくなる。上級者向けの色だが、見た目はカッコよく、今後はよりポピュラーな存在になるかもしれない。
このところの物価高はテントにも波及しているが、意外と買いやすい価格帯のモデルも作られているのはうれしい。時間をかけ、じっくり選んでほしい。
Comfortable《気楽に使える快適タイプ》8選
ニーモ/ダガーリッジオズモ2P
¥88,000
四方の壁が立ち上がり、なんとも広い内部空間に!

フライシートをはがすと現われるのは、垂直気味の壁を持ち、天井部分も広い、箱型のインナーテント。小型タイプとしては内部空間が広く、じつに快適! 何連泊もしたくなる。
●サイズ/224×127×109㎝
●重さ/1,620g
問い合わせ先:ロータス TEL:050-3797-1943

テントの天井部分には光を広く拡散するナイトライトポケット。

前室の角には荷物を汚さず保管できるランディングゾーンが付く。
ライペン/エアライズ2トキ60TH
¥57,200
縁起がいいトキ色は創業60周年記念のカラーだ!

形状と使用素材などは大定番のエアライズとまったく同じ。しかし注目すべきは、このさわやかなピンク! 混み合ったキャンプ場でもひと目で自分のテントがわかるはず。
●サイズ/210×130×105㎝
●重さ/1,550g
問い合わせ先:アライテント TEL:04(2944)5855

インナーテント出入り口はメッシュにも。風は通し、虫は入れない。

入口はテントの短辺に。むさくるしい男ふたりでも余裕なのである。
プロモンテ/VEL-20
¥67,100
さわやかな色使いで森に溶け込みそう

"強風吹き荒れる冬山では使わない"ことを前提に、ポールを細くするなどの改良を加え、快適性をキープしつつ軽量に。フライシートやインナーテントは丈夫で、軽量フットプリント付きで2kgを切る。
●サイズ/205×120×105㎝
●重さ/1,180g
問い合わせ先:エイチシーエス TEL:03(5200)0770

吹き流し式のベンチレーターはつねに形状を保ち、通気性抜群!

ポール末端はスリーブに入れ、あとはフックを使う便利なしくみ。
MSR/エリクサー1
¥48,400
広々としたスペースを生む独特なフレーム使い

2本のポールが湾曲して、2回も交差し、さらに天井部のポールを組み合わせた独特の形状。そのために生まれる広々とした空間はすばらしい。タフで強靭な生地もグッドポイント。
●サイズ/224×76×99㎝
●重さ/1,840g
問い合わせ先:モチヅキ TEL:0256(64)8282

裏側にはベンチレーター。メッシュ生地とのコンビで通気を促す。

ユニークなポール使いで吊り上げたインナーは上部にも余裕あり。
アシモクラフツ/ライトロックA 1P
¥129,800
丸く開くフライシートはユニークでいて機能的

リリース直後から品薄という人気モデル。フライシートとインナーテントをいっしょにポールで吊り下げられるため、迅速に設営できるのがいい。ビビッドな赤がとても目立つ!
●サイズ/220×120×90㎝
●重さ/1,500g
問い合わせ先:アシモクラフツ TEL:045(264)4718

地を這うようなフォルムのフライシートで、広い前室が生まれる。

内部の頭部と足元には簡単に開閉できるベンチレーターがある。
ブラックドラゴン/星月
¥65,000
デカい屋根が付いている! 居住性の高さは上々だ

六角形のフライシートと、長方形のインナーテントを組み合わせることで、大きな前室が前後に出現! 天井部分では通気性を最大限に確保しており、悪天候時こそ活躍するはず。
●サイズ/215×113×127㎝
●重さ/1,680g
問い合わせ先:ブラックドラゴン TEL:03(6441)3835

前室も広々。しかも自分が使いやすいように角度を変えられる。

最上部のパネルの下は巨大なメッシュ生地。通気性の良さは◎。
ザ・ノース・フェイス/ハーミット1
¥77,000
焚き火との相性良し! 難燃素材のティピィータイプ

ワンポールテント好きにはたまらない、シックで魅力ある外見! 難燃性の素材のため、ひとり用でもずっしり重いが、その代わり近くで焚き火が楽しめるわけで、これはもう仕方ない。
●サイズ/210×135×145㎝
●重さ/約5,000g
問い合わせ先:ゴールドウインカスタマーサービスセンター TEL:0120-307-560

インナーテントは左右が出っ張った「く」の字型。広々と使える。

出入り口は裏側にも。天候などに合わせて使い分けができ、便利だ。
ゼログラム/ZERO1 PRO
¥74,800
ポールを使えば快適に。ポールを省いて軽量に

頭部付近はトレッキングポールや木の枝で高さを出す前提で、専用ポールは内部空間を広げるための1本のみ。少々狭くてもよければ使う必要はないが、居住性を求めるならプラスしたい。
●サイズ/205×105×115㎝
●重さ/550g
問い合わせ先:ゼログラム TEL:03(6630)3228

サイドのポールを使わないと内部は狭くなるが、105gの軽量化に。

頭部には三角形の前室。シューズ類を濡らさずに保管できる。
Light Weight《ラクに持ち運べる軽量タイプ》5選
プロモンテ/UL-10
¥59,400
さわやかすぎるカラーのシングルウォールタイプ

正面のみ生地が二重。内側に高通気性の生地を使い、湿気がたまりがちなシングルウォールの欠点を克服した。総重量705gと軽量性もすばらしく、ひとつ持っていたくなる!
●サイズ/205×90×105㎝
●重さ/705g
問い合わせ先:エイチシーエス TEL:03(5200)0770

出入り口のパネルの角は、メッシュ使いのベンチレーターに。

ひねってポールにかけ、はずす特殊形状のフック。慣れると便利だ。
サマヤ/アルピニスト2ウルトラ
¥250,000
おおっ! 驚きのお値段。美しいデザインに惚れる

パリッとした質感で、強靭かつ耐水性に優れるダイニーマ素材。しかも高度な透湿性まで備えている。価格にはびっくりさせられるが、この機能性と美的なルックスなら仕方ないかも。
●サイズ/210×120×105㎝
●重さ/793g
問い合わせ先:スタティックブルーム https://store.staticbloom.co.jp/

片手で持ち上げられる軽さ! さすがは重量800gを切るテント。

ポールはテントの角から押し込んで立体化。手早く設営可能だ。
MSR/ハバハバLT1
¥88,000
通気性がいいのに風を冷たく感じずに眠れる

大定番品シリーズの最新作。メッシュとベンチレーターが連動して優れた換気性を生み出すが、それでいて寒さを感じにくい工夫がうれしい。この外観、とてもカッコいい!
●サイズ/224×81×99㎝
●重さ/1,070g
問い合わせ先:モチヅキ TEL:0256(64)8282

メッシュは上部のみ。寝転んだとき、冷たい風が体に当たらない。

フライシートには生地を縫い合わせて雨水を流すための溝がある。
ビッグアグネス/コッパースプール UL1
¥86,900
大きく開くフライシートはタープ的にも使える!

旧タイプは僕も使っているこのテント、ポール使いをブラッシュアップして進化! 開いたフライシートはトレッキングポールなどで固定するとタープのような庇としても使えてお得だ。
●サイズ/224×97×97㎝
●重さ/911g
問い合わせ先:イワタニ・プリムス TEL:03(6667)0680

内部の天井部分には巨大なメッシュポケット。これは有用だ!

フライシート出入り口に2本のファスナー。広くまくり上げられる。
ヘリテイジ/クロスオーバードームKAYA
¥71,500
その名も「KAYA」。当然、通気性はバツグンだ

シングルウォールならまだしも、ダブルウォールタイプなのに重量760gとは! さすがに耐久性はそれなりだが、通気性と軽量性重視で割り切って使えば大きな味方になるに違いない。
●サイズ/200×95×95㎝
●重さ/760g
問い合わせ先:ヘリテイジ TEL:0263(82)0141

フライシートも裏が透けるほど極薄。10デニールのナイロン素材だ。

ボトム部分以外は、フルにメッシュ! 超薄手の軽量生地である。
Black Type《遮光性バッチリのブラックタイプ》4選
ヘリノックス/Alpine Dome 1.5P – Black
¥88,000
山岳用テントがそのままブラックに変化!

"ブラック"テントには外観にも工夫あるタイプが多いなか、これは山岳テントのようにシンプル。悪天候時の実戦力の高さを感じさせる。安心して休みたい人に。
●サイズ/215×115×102㎝
●重さ/1,840g
問い合わせ先:ヘリノックス TEL:03(6627)2589

フライシートは上部を三角に開けられ、内部の熱気を逃す。

インナーテントは白。内部が暗すぎると困る人には良さそうだ。
TOKYO CRAFTS/ナイトローバー 2P グレー (インナーテント付属)
¥34,980
フライシートのみで光を遮るシェルターにも!

ほぼブラックに近いグレーのテント。上から見れば六角形で、強風が吹いていても形状をしっかり保ち、前室を有効活用できる。フライシートだけで使えるのもグッド。
●サイズ/235×300×120㎝
●重さ/3,620g
問い合わせ先:トウキョウクラフト https://tokyocrafts.jp/

3本のポールを使い、前室部分まで完全に立体化。雨の日に強い。

インナーテントを取りはずし、暑い時期はサンシェード的に活躍!
ミニマルワークス/DP1.5
¥82,500
フライシートが大きく開き、たっぷり光を浴びられる

すべての生地がオールブラック(正確にはチャコール)。内部に入って閉め切るとわかるが、その暗さは想像以上だ。真っ昼間でも、真夜中のように眠れるぞ!
●サイズ/225×200×105㎝
●重さ/1,718g
問い合わせ先:アンバイ ジェネラルグッズストア https://www.unby.jp/

前後の出入り口を開くと、開放感は十分。涼しい風が流れ込む。

左右に大きく広がる前室。雨天時もシューズなどが濡れにくい。
ビッグアグネス/フライクリークUL1
¥73,700
大定番軽量テントが大胆なカラーで再登場

本当は超軽量テントとしても紹介したい重量754g! 内部は意外と明るく、見た目ほど圧迫感はないのがおもしろい。旧タイプユーザーなら、買い替えもおすすめだ。
●サイズ/218×97×102㎝
●重さ/754g
問い合わせ先:イワタニ・プリムス TEL:03(6667)0680

足元が狭まった形状。少しでも生地を減らして軽量にするためだ。

ポールをわずかに曲げて足元に高さを出す設計で、窮屈さを軽減。
※構成/高橋庄太郎 撮影/矢島慎一
(BE-PAL 2025年6月号より)