ボルネオ島は海鮮料理天国!海や川の豊かで新鮮な食材と華人たちの出会いが生んだ奇跡 - 【BE-PAL】キャンプ、アウトドア、自然派生活の情報源ビーパル
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    2025.06.29

    ボルネオ島は海鮮料理天国!海や川の豊かで新鮮な食材と華人たちの出会いが生んだ奇跡

    ボルネオ島は海鮮料理天国!海や川の豊かで新鮮な食材と華人たちの出会いが生んだ奇跡
    ボルネオ島は海鮮料理の天国だと筆者は太鼓判を押す。豊かな海から、そしてジャングルから流れ来る川から、新鮮な食材が得られ、それらを料理巧みな華人系移民たちが腕を振るって至高の海鮮料理文化が築かれたのだ。とりわけ海水、淡水の甲殻類は、彼の地の料理文化の華! 

    東南アジア旅の最大の楽しみは海鮮料理

    クチンの公設市場の鮮魚売り場。サラワク州クチンにて。

    東南アジアを旅していて、最大の楽しみは海鮮料理だ。南シナ海に面したサラワク州やサバ州では、じつに多種多様な魚介が得られる。都市の公設市場でも、港町の小さな市場でも、また大きなデパートの魚コーナーでも、色とりどりの新鮮な魚が切り身のパックなどになっておらず、丸のまま一本買いができるように売られている。

    クチンのデパートの鮮魚売り場。丸のまま一本買いができるように売られている。サラワク州クチンにて。
    クチンの公設市場で売られる淡水産に大型ナマズ。サラワク州クチンにて。
    トラップで捕まえたオニテナガエビ。サバ州キナバタンガンにて。

    サラワク州ではラジャン川やサラワク川、サバ州ではキナバタンガン川などの大きな川があるため、コイやナマズの仲間、あるいはオニテナガエビなどの淡水性の魚介も豊富である。市場の近くでは、魚を姿のまま焼くイカン・バッカールの店が立ち並んでおり、すでに焼いてある魚を食べるだけでなく、市場で選んだ魚を焼いてもらうこともできる。

    焼き魚(イカン・バカール)を売る店。市場や食堂街にある。サバ州コタキナバルにて。
    ハタの「清蒸」。魚を蒸してほんのり甘い醤油ベースのたれをかけ、白髪ネギと針生姜をのせて熱した油をジュジュジュッと垂らす。サラワク州クチンにて。

    目立つのはフエフキダイやハタの仲間で、なかでも新鮮なハタの類は「清蒸」という中国風の調理法で供される。中国語でチンジョン、英語でスチーム。魚を蒸してほんのり甘い醤油ベースのたれをかけ、白髪ネギと針生姜を乗せて熱した油をジュジュジュッと垂らす、と思い出しただけでも涎が出る。

    もちろん中国でも福建や広東など南部の海沿いではよくあるが、まさに華人の調理法がボルネオ島の豊かで新鮮な食材に出会って花開いた料理ともいえる。

    ちなみにサラワク州の華人社会は、1970年代の古いデータであるが、いちばん多いのが客家と福州でそれぞれ31%前後、それに続いて福建が12%、潮州が9%、広東が7%となっている。サバ州では客家が半数以上、しかも先住民族であるカダサン人と結婚した華人が多い。

    それぞれの華人社会は同郷組織をつくっていて、現在でも相互扶助やビジネスのネットワークとして機能している。客家人と福州人はもともと農業従事者の移民が多かったが、客家人は都市周辺ではさまざまな商業活動に携わり、福州人はその後サラワクの豊富な木材資源を使った林業および製材業に従事した。

    木材の丸太輸出が禁止されたあとは、木材交易で築いたネットワークを駆使して一種の総合商社として栄えている。サラワクやサバの華人料理にもっとも強い影響を与えているのは、福州や客家も含めた広義の福建料理(閩菜)であるといえよう。

    海鮮料理屋が集まっているオープンなフードコート。食材がショーケースに並んでいる。サラワク州クチンにて。

    フードコートで海鮮料理の華、甲殻類を存分に堪能した!

    さて、街に戻ろう。きちんとした屋内の高級中華料理店でもいいが、おすすめはたくさんの海鮮料理屋が集まっているオープンなフードコートである。もし決まった店があるのなら別であるが、ずらっと並んでいる海鮮料理屋はそれぞれ食材のショーケースを持っている。

    水槽に生きた魚が泳いでいて、それを料理してくれる店もある。ちょっとした水族館だ。サバ州コタキナバルにて。
    人気があるナポレオンフィシュとハタ類。ナポレオンフィシュは、1kgで480リンギット。1リンギットは、約34円。サバ州コタキナバルにて。

    また水槽を並べて、生きたままの魚介を見せている店もある。それをひと通り眺めてから「これは」と思った食材を選んで、お店の人に調理法と味付けを指定して、テーブルで待っていればいい。調理法がわからなければ、向こうからいろいろ提案してくれる。

    立派なイエエビが運ばれる。サバ州コタキナバルにて。

    なかでも海鮮の華は、甲殻類である。ゴシキエビやニシキエビなどのイセエビ類、ゾウリエビやセミエビなど、もちろんクルマエビやウシエビの仲間、ガザミ、ジャノメガザミ、タイワンガザミのガザミ類、最近3種に分けられたトゲノコギリガザミ、アミメノコギリガザミ、アカテノコギリガザミのノコギリガザミ類、巨大なトラフシャコなどなど。

    ノコギリガザミ類は、互いに傷つけ合わないようにハサミを縛ってある。サラワク州クチンにて。
    巨大なトラフシャコは1匹ずつペットボトルに入れて、互いに傷つけ合わないようにしている。サバ州コタキナバルにて。

    調理法は、焼く、炒める、揚げる、蒸すなど。とくに福建料理の素材の味を生かした、あっさりとした優しい味わいが特徴である。観光客が多い店では、何もいわなくてもシンガポール人好み、韓国人好み、日本人好みなどの味付けをしてくれるところが多い。

    ノコギリガザミのカレー風味炒め。サラワク州クチンにて。
    トラフシャコの素揚げ。サバ州コタキナバルにて。

    ノコギリガザミのカレー風味炒め、トラフシャコの素揚げなど、食材と調理法、味付けで、組み合わせは数万通り即座にあげられるだろうが、自分の好みがわかるまでは店のおすすめにしたがって注文するのが無難かもしれない。

    気になるお値段はというと、素材の価格次第というべきか。よく1匹の価格か、kgあたりの価格か間違えて、ときに警察沙汰にまで発展することがあるので、値段を聞くときにはよく確認することを強くおすすめする。

    湯本貴和さん

    1959年徳島県生まれ。日本モンキーセンター所長。京都大学名誉教授。理学博士。植物生態学を基礎に植物と動物の関係性を綿密に調査。アフリカ、東南アジア、南米の熱帯雨林を中心に探検調査は数知れず。総合地球環境学研究所教授、京都大学霊長類研究所教授・所長を務める。京大退官後も旅を続け、調査を続け、食への飽くなき追求を続けている。著書に『熱帯雨林』(岩波新書)、編著に『食卓から地球環境がみえる〜食と農の持続可能性』(昭和堂)などがある。日本初の“食と環境”を考える教育機関「日本フードスタディーズカレッジ 」の学長も務める。

    ※とくに表記のない写真はすべて湯本さんの撮影

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