サトイモ掘りの季節に中秋の名月
中秋の名月とは、旧暦八月十五日の夕方に昇ってくる月のことです。旧暦は月の満ち欠けを基にした暦です。今年は9月25日が旧暦の八月十五日。東京では夕方16時40分頃に月が昇ってきます。
*旧暦は漢数字で表記しています。
この季節の満月を愛でる風習は、平安時代に中国の唐から伝わってきました。その時代は貴族らが名月を愛でながら宴を開いたり歌を詠んだりして楽しんでいたようです。江戸時代になると、庶民の間でも中秋の名月を愛でる風習が広がっていきました。
季節的には秋分前後ということで、農作物の収穫の時期でもあります。名月を愛でながら豊作を願う行事でもありました。現代ではススキに月見団子のイメージが強いですが、収穫した農作物もお供えしていたことから「芋名月」という呼び名もあります。昔は芋といえばサトイモ。現代でも地域によっては団子ではなくサトイモを供えています。

本当の満月は2日後の27日
中秋の名月は単に「十五夜」「名月」と呼ばれることもあります。多くの人は中秋の名月は「満月」そのものと思われているかもしれません。しかし、実は本当の満月でないことがよくあります。
満月の定義とは、地球から見て、月が太陽の正反対に来た瞬間です。
旧暦は新月を含む日が一日(ついたち)になります。今年は9月11日12時27分が新月の瞬間なので、この日が旧暦八月一日。そこから15日目の9月25日が中秋の名月です。
一方、満月はあくまで月と太陽の位置関係によって決まります。そのため、中秋の名月の日と満月の瞬間が異なることは珍しくありません。
ちなみに、今年の中秋の名月、9月25日20時時点の月齢は14.3です。これくらいの月齢になると満月を迎えることもありますが、今回は軌道の関係でもう少し満ちるまで時間がかかります。満月になるのは2日後の27日の未明です。
そんなわけで、今年の中秋の名月は月の左側が若干欠けているのですが、ぱっと見ただけでは満月との差はわからないかもしれません。
また、25日の夜が曇りでも、26日、27日に、さらにまん丸に近い月が昇りますので、今年は月を愛でるチャンスに恵まれていると言えるでしょう。
10月23日の「後の名月」の夜は栗ごはん!
中秋の名月後にも、名月を愛でるイベントがあります。旧暦九月十三日の月を「後(のち)の名月」(または「後の月」)と呼びます。今年は10月23日です。中秋の名月は中国から伝来したものですが、「後の名月」は日本独特の風習です。こちらも収穫を祝う意味合いが込められています。
中秋の名月が「芋名月」と呼ばれたのに対し、後の名月は「栗名月」や「豆名月」という名を持ちます。十三夜の月ですから、月の左側はまだ欠けています。栗名月の栗には、栗の収穫期であることに加え、十三夜の月の形が栗に似ているというダブルミーニングも感じられます。
10月ともなれば夜の空気もひんやりしてくるでしょう。栗ご飯を炊いてお月見するのも風流ではないでしょうか。

構成/佐藤恵菜




