
10月5日に太陽と地球と土星が一直線に並びます。この状態を「衝(しょう)」といいます。土星観察にもってこいのシーズンの到来です。
昨年消えていた土星の環が見えてきた
昨年は土星の「環の消失」が話題になりました。土星の環は、幅は目立つ部分だけで約7万キロメートルもありますが、厚さはわずか数十〜数百メートルしかありません。極薄のため、地球が土星の環を真横から見る位置に来ると、環が見えなくなってしまうのです。
環の消失後、だんだんとまた環が傾いて、現在は地球から見て10度ほど傾いています。美しい環が再び観察できるようになりました。
そして10月5日、土星が地球を挟んで太陽の真反対に来る「衝(しょう)」を迎えます。土星はこれから観察好機を迎えます。

環を観察するには望遠鏡が必要です。望遠鏡の初心者にとっては土星の環を視野に入れることが第一関門。低倍率のレンズを使って土星を視野に入れてみましょう。

小さな望遠鏡では、環は土星の本体からちょっと横に突き出しているように見える程度かもしれません。それでも、他の天体にはない感激が味わえると思います。
望遠鏡で土星を捉えたら、土星のまわりにも注意してください。小さな点が見えたら、それは土星の衛星かもしれません。土星の衛星の中でもっとも明るいのはタイタンです。
麦わら帽子のつばのように土星を取り囲んでいる環は、一見、一枚の板のように見えますが、実際は無数の氷や岩石が集まってできた細い環が数千本、並んで回っています。
中でも大きな環が、A環とB環と呼ばれる環です。このふたつの環の間には大きな隙間があり、これを「カッシーニの間隙」と呼びます。1675年にこれを発見したフランスの天文学者ジョバンニ・カッシーニにちなんで名づけられました。カッシーニの間隙を観察するには、口径10cmほどある望遠鏡が必要になります。
秋の夜空はなぜ暗い?
秋の夜空を見上げていると、西の空にまだ夏の星座が出ています。はくちょう座の1等星デネブ、こと座の1等星ベガ、わし座の1等星アルタイルが形成する雄大な夏の大三角が目に入るでしょう。
南の空に目を移すと、土星のほかに目立つ星が少ないことに気づくでしょう。秋は一年の中でもっとも明るい星が少ない季節です。秋の星座では、1等星はみなみうお座のフォーマルハウトだけ。1等星だけでなく、星の数自体が少ないのです。

秋の夜空はなぜ星が少ないのかというと、私たちが天の川銀河の中心から離れた方向を見ているからです。天の川は天の川銀河の中心方向にあり、たくさんの星がひしめいています。天の川から離れるほど、星の数は少なくなっていきます。
天の川は夏の星座「いて座」あたりが一番濃く見えます。この方向に天の川銀河の中心があるからです。一方、ペガスス座やみずがめ座など秋の星座が見られる空は天の川から離れた方向にあり、そのため星の数自体が少ないのです。➡「夏休みは天の川を観察しよう! ところで「天の川って何?」と聞かれたらどう答える?」)
そんなわけで、なんとなくひっそり見える秋の夜空ですが、惑星や星雲などの観察にはもってこいです。衝を迎えた土星は、これから冬にかけて見ごろが続きます。天候のいい日を狙って、望遠鏡を向けてみてください。土星の衛星の位置は日々変わります。こちらも観察できるようになれば、秋の夜空はさらに楽しくなることでしょう。
構成/佐藤恵菜




