ビーチの目の前にはカイトセンターがあり、道を挟んだ向かいには宿泊施設とレストラン、バーがあります。
カイトをして、シャワーを浴びて、ご飯を食べて、そのまま泊まる。そして翌朝、風が吹いたらまた海へ。カイトサーファーの一日は、大体この繰り返しです。
昔の大会仲間が作ったカイト宿
ウルラサーフハウスのオーナー夫婦、ニコとピナルは私がカイトサーフィンの大会を転戦していた頃からの友人です。

2人ともフリースタイルのトルコ選手権で優勝経験があり、長年、世界各地のカイトスポットを旅しながらレッスンをしてきました。
旅先で出会ったサーフカルチャーや、海のそばに人が集まって暮らす雰囲気をひとつの場所にまとめるように、2015年にウルラサーフハウスを始めました。
最初に作ったのはギュルバフチェのビーチにあるカイトセンターです。その後、道の向かいにホテル、レストラン、バー、プール、スケートボードのミニランプなどを備えた施設ができました。

普通のホテルにカイトスクールが付いているというより、カイトサーファーが欲しいものを集めたら、そのまま宿になったような場所です。
部屋はそれぞれ、2人が旅してきたカイトスポットやボードスポーツをテーマに飾られています。

遠浅でフラット。初心者にも練習しやすい海
ウルラサーフハウスの目の前に広がるのは、ギュルバフチェの穏やかな湾です。
サーフハウスという名前ですが、ここで盛んなのは大きな波に乗るサーフィンではなく、風の力で海の上を走るカイトサーフィンです。
海は遠浅で歩ける水深のエリアが広く、海面はフラットで波はほとんど立ちません。
初心者がカイトの操作を覚えたり、ボードを履いて立つ練習をしたりするのにぴったりです。失敗しても足が届く場所が多く、インストラクターも生徒のそばについて教えやすい環境です。
経験者にとっても、フラットな海面はジャンプや様々なトリックを練習するのに向いています。少し沖に出れば水深もあり、フォイル(水中翼のついたボードで海面から浮き上がるように走る)も楽しめます。

夏にはメルテミと呼ばれる季節風が吹きます。
ギュルバフチェはV字に広がる湾の内側に位置しており、ちょうど風が収束しやすいため、毎日大体15ノット前後、日によっては25ノット(砂が飛ぶほどの強風)以上に吹き上がることもあります。

また、エーゲ海は地中海につながる内海のため、潮の干満がとても小さいのも特徴です。ギュルバフチェはさらに湾の奥にあるため、水位の変化がとても小さく、いつでも遠浅の海を楽しめます。

世界各地に遠浅のビーチはありますが、多くの場合、遠浅なのは限られた潮位の時間だけです。
私がこれまでに訪れた本州各地や沖縄、ベトナム、フィリピン、ザンジバル等でも、満潮になると一気に深くなってしまうところや、逆に干潮時にはまったく水がなくなってしまい、レッスンに適したエリアがなくなってしまう場所がほとんどでした。そのため、こういったビーチを拠点にしている場合は潮汐表(タイドグラフ)に合わせてレッスンの時間を組むのが一般的です。
一方、ギュルバフチェでは、潮位の変化の大きい満月の時にやっと少しだけわかる程度しか水位が変わらず、初心者向けの遠浅エリアはいつでもそのまま。時間帯を気にせず、毎日同じようなコンディションで海に入れるのは、この場所ならではの大きな魅力です。

食事も季節のフルーツも充実
カイトサーフィンをしたあとは、道具を片づけ、道を渡れば宿に戻れます。シャワーを浴びたら、そのままレストランへ。
ウルラサーフハウスはご飯もおいしいです。海で身体を動かしたあとなら何でもおいしく感じるのでは、と思われるかもしれません。
それは確かにあります。でも、それを差し引いてもおいしい。
朝はコーヒーの香りとともに朝食が始まり、昼と夜には日替わりメニューに加えてサラダ、サンドイッチ、ハンバーガーなど、メニューも幅広く用意されています。

また、サーフハウスの中庭には果実のなる木がたくさんあります。イチジク、マルベリー、ぶどう、あんずにザクロ、みかんやオリーブにバナナの木まであります。

夏から秋にかけてはちょうど実りの時期なので、これらのフルーツをその場で摘んで食べられます。デザートやおやつにぴったり。

波の次は風。6歳男子たちの夏休み
私の息子とオーナー夫婦の息子は、以前イリジャビーチで一緒にサーフィンのレッスンを受けた2人です。そのときは小さな波に乗りましたが、今度は一緒にカイトレッスンにも挑戦しました。

ウルラサーフハウスでは、子どもの年齢や体格に合わせた道具を使い、無理のないペースでカイトサーフィンを教えています。海は遠浅でフラットなので、初めてカイトを触る子どもにも練習しやすい環境です。

そしてまたひとり、昔からの友人夫婦の息子が加わりました。偶然にも3人とも同い年。すぐに意気投合し、今ではすっかりスーパーフレンズです。

カイトレッスンが終わっても、子どもたちの一日は終わりません。プールに入り、庭を走り回り、また次の遊びを見つけます。どれだけ遊んでも、まだ遊び足りない様子。

そして夜になってようやく寝たと思ったら、翌朝にはすっかり回復しています。…大人はまだ回復していません。
私が大会を転戦していた頃には、こんな未来は想像していませんでした。世界中を飛び回っていた仲間たちと、今ではそれぞれの子どもを連れて同じ海で夏を過ごしています。
ライフステージは変わっても、自然の中で過ごす時間や海で遊ぶ楽しさは変わらず、カイトサーフィンを通じて生まれたつながりは、時を経ても新しい思い出をつくり続けています。
最高の夏休み。大人も子どもも、まだまだ遊び足りません。
写真提供:ウルラサーフハウス https://urlasurfhouse.com/




