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2026.08.19

まるで折り紙!グアムの先住民が受け継いできた伝統技術「葉編み」を体験しました

まるで折り紙!グアムの先住民が受け継いできた伝統技術「葉編み」を体験しました
カマキリにカニ、エビ、星、そしてハート。上の画像にあるような作品はすべて、たった一枚のココナッツやパンダナス(タコノキ)の葉だけで作られたものである。

これはグアムの先住民チャモロに古くから受け継がれてきた「Hågon Niyok Mamfok(ハゴン・ニゾック・マムフォック)」とよばれる伝統の葉編みだ。

葉編みと聞くと、日本ではカゴや敷物を思い浮かべる人が多いだろう。しかし、チャモロ伝統の葉編みはそれだけではない。細長く裂いた葉を折り重ねながら編み込み、生き物や植物を形づくっていくその技法は、まるで一枚の紙から作品を作り出す折り紙のような繊細で美しい。

その伝統文化を体験できるワークショップがあると聞き、参加してきた。

チャモロの手仕事に触れる

グアム島の繁華街、タモン地区から車で約1時間。訪れたのは、島南東部タロフォフォ地区にあるカルチャーパーク「Valley of the Latte(バレー・オブ・ラッテ)」だ。

豊かな自然に囲まれた園内では、チャモロ文化や歴史を学べるさまざまな体験プログラムが開催されており、そのひとつがチャモロ伝統の葉編みワークショップである。

講師を務めるのは、グアム政府公認のチャモロ文化継承者、Tony Mantanoña(トニー・マンタノーニャ)氏。長年にわたりチャモロの伝統文化を島内外に伝え続けている第一人者である。

この日は子どもから大人まで10人が参加。年齢も国籍もさまざまな参加者がテーブルを囲み、トニー氏の説明に熱心に耳を傾けた。

会場には、細長い前脚を構え、今にも動き出しそうなカマキリをはじめ、甲羅やハサミなど細部まで丁寧に表現されたカニ、丸みを帯びたエビ、魚、星、花など、どれも一枚の葉から編まれたとは思えない完成度の高い作品が展示されていた。

Valley of the Latte(バレー・オブ・ラッテ)。
今にも横歩きしそうなpånglao(パングラオ)=カニ。
ココナッツの葉で編まれたåpahigal(アパヒガイ)=カマキリ。

「生命の木」が育んだチャモロの知恵

これらの葉編み作品は単なる工芸品ではない。

チャモロの人たちは古くからココナッツを「Tronkon Lina’la’(トロンコン・リナラー)=生命の木」とよび、実や果汁だけでなく、葉までも暮らしに役立ててきた。

屋根を葺(ふ)き、帽子やうちわ、敷物やカゴを編み、自然の恵みを余すことなく生かす生活の知恵が受け継がれている。

葉編みも、その暮らしの中から生まれた伝統技術のひとつだ。自然の生き物や植物をモチーフに取り入れた数多くの作品には、自然への感謝や敬意が込められているという。

ブレスレット作りに挑戦

見事な出来栄えの展示作品を目の前にして「これを自分で作るのだろうか?」と身構えていると、トニー氏から「今日は、初めての人でも作れるブレスレットを作りましょう」と説明があり、ほっと胸をなでおろした。

参加者に細長く裂かれたパンダナスの葉が配られた。トニー氏によると、カゴなど立体的な作品には中央に芯のあるココナッツの葉を使い、バッグやアクセサリーにはしなやかなパンダナスの葉を使うなど、用途によって素材を使い分けるのだという。

まずトニー氏が実演する手元を見つめながら編み方を学ぶ。迷いのない手つきは実に鮮やかで、リズミカルに編み目が増えていく。

「意外と簡単そう」と思ったが、実際にはじめてみると、ほんの少し向きを間違えただけで編み目がゆるみ、形が崩れてしまう。

「次は右上から下、それから左下から上……」

頭では理解しているつもりでも、葉を折り重ねるたびに手が止まる。さらに編み目の間隔や力加減を均一に保つのが想像以上に難しく、片側だけが締まりすぎたり、隙間ができたりと思うように進まない。

悪戦苦闘する筆者の様子を見たトニー氏は、笑顔で「ここからやり直しましょう」といって葉をほどき、一つひとつ丁寧にコツを教えてくれた。

「焦らなくて大丈夫。ゆっくり編めば、ちゃんと形になりますよ」

そのアドバイス通り、何度か編み直していくうちに、少しずつコツがつかめてきた。平らだった一枚の葉が、ブレスレットへと姿を変えた瞬間には思わず感嘆の声を上げてしまった。

気が付けば、周りの参加者も皆、手元に集中している。

「難しい」

「でも面白い!」

そんな声があちこちから聞こえてきた。

40分ほどかけてようやく完成した自分だけのブレスレットには、既製品のような完璧さはない。それでも、一から自分の手で作り上げた達成感は格別だった。自然素材ならではの素朴な風合いと手仕事の温もりがある、特別な「思い出の一品」になった。

困ったときにはトニー氏が手助けをしてくれる。
パンダナスの葉でできたブレスレットはとても軽く、使い込むほどに味わい深い色に変化する。

手ぶらでOK!半日でチャモロ文化を満喫

今回参加した葉編み体験は「バレー・オブ・ラッテ」で人気の高いプログラムのひとつだ。

このプログラムでは、葉編みに加え、チャモロ文化の紹介や自然体験、BBQランチも楽しめる約2時間かけてグアムの歴史や暮らしに触れられる充実した内容になっている。

葉編み体験は、初心者向けのブレスレットやカゴ、帽子のほか、経験者はショルダーバッグなど、本格的な作品作りもできる。

必要な材料や道具はすべて用意されているため、手ぶらで参加できるのも魅力だ。プログラムは年齢によって内容や料金が異なり、事前予約制となっているが、小さな子どもからシニアまで幅広い年代が楽しめる。

自然とともに暮らしてきたチャモロの人たちの知恵や価値観に触れられる葉編み体験は、観光だけでは知ることのできない、グアムの奥深い魅力を教えてくれる貴重な時間になるだろう。

現在でも使われている汎用性の高いカゴ。
魚を捕まえるのに最適なカゴ。
愛らしいハート形をしたkåtupat(カトゥパット)はオーナメントとしても親しまれている。
ココナッツの葉でできたうちわ。
通気性が良く涼しい帽子。

世界に一つだけの旅の記念品

完成した美しい幾何学模様の作品はそのまま持ち帰ることができるため、旅の想い出やお土産にも最適。自然の恵みを生かし、暮らしの道具や飾りを生み出してきたチャモロの知恵や歴史に触れられる葉編み体験は、年齢や天候を問わず楽しめるグアムならではのアクティビティだ。

著者画像

陣内真佐子さん

グアム在住ライター

文筆家/翻訳家。1996年3月より家族と共にグアムに移住。グアム大学で3年半の学び直し生活を送った後、00年に米国永住権を取得しグアム政府観光局などに勤務。10年にはグアム政府公認ガイド資格を取得。現在はラジオ出演のほか各種雑誌やウェブ記事の執筆や翻訳活動をしている。海外書き人クラブ会員。

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