固有種の宝庫・マデイラ島で「岬めぐり」の大パノラマトレッキング! | 海外の旅 【BE-PAL】キャンプ、アウトドア、自然派生活の情報源ビーパル

海外の旅

2026.07.30

固有種の宝庫・マデイラ島で「岬めぐり」の大パノラマトレッキング!

固有種の宝庫・マデイラ島で「岬めぐり」の大パノラマトレッキング!
アフリカの西に浮かび「大西洋の真珠」と呼ばれるポルトガル領マデイラ島。ただ私はここを「大西洋の宝石箱」と呼びたい! だって素晴らしく、かつ趣が異なるトレッキングコースが綺羅星のごとく小さな島のあちこちにあるのですから。

今回はその中から「PR8」と呼ばれる「岬めぐり」のコースを紹介します!

どうも、オーストラリア在住ライターの柳沢有紀夫です。
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↓前回の記事はこちら

マデイラ島ハイキング!「天国への階段」と「今だけの絶景」へ | 海外の旅 【BE-PAL】キャンプ、アウトドア、自然派生活の情報源ビーパル

【柳沢有紀夫の世界は愉快!ポルトガル・マデイラ島旅編4】

はい、前回の記事で紹介した「PR1」と「PR3」は標高1800メートルの「山岳コース」。で、今回は「岬めぐり」のコースです。

宿泊していたマデイラ島最大の街フンシャルからはちょっと朝の渋滞に巻き込まれた関係で45分ぐらいかかり、島の東端にある岬「ポンタ・デ・サン・ロウレンソ」のつけ根に到着。

案内板です。

「PR8」には「ヴェレーダ・ダ・ポンタ・デ・サン・ロウレンソ」(サン・ロウレンソ岬の小道)という別称もあります。

往復で6キロメートルのショートコースなのですが、上記の写真の左下にある高低を表した「地形断面図」を見ると、かなりアップダウンがあるのがわかります。

コースの地図のアップです。
出発地点はここ。

この人が今日のガイド…ではなく、たまたまいらして「友情出演」してもらいました。笑

で、今日の本当のガイドは…。

前日に引き続きベンです。笑

ただ2日連続で同じガイドで良かった点があります。

じつはここの「岬ハイク」は1日目に訪れて、前回の記事に書いた「ピコドアリエイロ」からのコースは2日目、つまりこの日に来る予定だったのですが、天気予報を確認したベンが「2日目になったらピコドアリエイロの山頂はガスってなにも見えなくなってしまいそう」と判断し、機転を利かせて入れ替えてくれたのです。

樹木ゼロの大パノラマ!その理由は?

さていよいよウォーキングスタート。

さあ、行くぞ! 曇ってはいますがのっけからテンションを上げてくれる見晴らしです。
海の向こう、かすかに見えるのはデゼルタス諸島。

絶滅危惧種のモンクアザラシの繁殖地で、自然保護のレンジャーや研究者以外の定住は禁止されているとのこと。ベンによるとモンクアザラシはこのマデイラ島にもたくさんいたのですが、乱獲で絶滅したのだとか。

ゴールは湾の向こうに見える小高い丘の手前です。

なぜ「丘」ではなく「手前」なのかはあとで説明します。

目の前の風景がどんどん変わります。

さてしばらく歩いてきて気になったのが視界を遮る樹木がまったくないこと。

ベンに聞いたところ、この岬は雨がほとんど降らず、しかも絶海の孤島状態で遮るものがなく風が強くてすごく乾燥しているため木々が育たないのだとか。その気候がこの特別な景色を作り出しています。

というわけで岬歩きの間中パノラマが広がります。

固有種の宝庫はまさに「大西洋の真珠」

そんな特徴的な気候なので樹木がない一方で、マデイラ島の中でもここでしか見られない固有種の植物がたくさんあるとのこと。

アブラナ科のマティオラマデレンシス。これもこのエリアの固有種だそうです。
白い花は「コーストデイジー」。

マーガレットの一種なのですが通常のものよりも葉っぱが分厚いです。それは中に水を溜めるため。乾燥した気候に適応しているんですね。

写真右側は見晴らし台。あちこちから断崖絶壁の絶景が堪能できます。
アップダウンは激しいですが道は整備されています。

木々の根っこもないですからすごく歩きやすいです。

さてあるものを見てベンが顔をしかめました。

人々が作ったケルンです。

ご存じのようにケルンはもともと道しるべとしてつくられますが、これだけ整備されたわかりやすいコースではまったく不要です。そしてベンが顔をしかめたのはこんな理由からです。

「ケルンの下では植物が育つことができないし、ケルンをつくるために石を動かしたらその下にいたこの島固有の昆虫が死んでしまうことがあるんだよ。つまりここでケルンをつくることはこの島の環境破壊につながるんだ。だからこういうことは絶対にやめてほしい」

自然を愛する者の一人として真摯に耳を傾けたいと思います。

「アイスグラス」と呼ばれている植物。

花や葉っぱに「霜」がついているように見えるのでこの名がついたのだとか。ひび割れた地面でもけなげに生きています。

いよいよ折り返し地点へ!

さて往路の半分以上を過ぎたあたりで振り返ると…。

手前の丘の向こう側、霞んで見えるのが前日行った「ピコドアリエイロ山」あたり。

つまり現地は山頂も雲に覆われガスっているということです。訪れる場所を前日とこの日で入れ替えてくれて助かりました。ベン、ナイスプレーです!

まだまだ道は続きます。
足がすくむ断崖絶壁も。
ほぼほぼ折り返し地点に近い場所。写真左上のゴールにだんだん近づいてきました。

写真右側に見える橋には…。

こんな看板と係員が。

この先の岬や灯台を海から眺めたりホエール&ドルフィンウォッチングを楽しんだりするボートツアーや、カヤックとかシュノーケリングも楽しめるそうです。

夏に再訪したい。

そして折り返し地点となるカフェもある休憩所に到着。もともとはこの島で牛を飼っていた牧場の建物の再利用です。

トイレに1ユーロ(約185円)の使用料がかかるのはヨーロッパの「あるある」ですね。

立ち入り禁止のエリアにたくさんのハイカーが!

さてここが折り返しと書きましたがこの先にはまだ小高い丘が見えます。

そしてかなりの人たちが登っていきます。

でもこの先、岬の先端はじつは立ち入り禁止エリアです。

ちゃんと「立ち入り禁止」の看板もあちこちに立てられています。

「すべりやすい」と書かれていますが、ベンによると「崖から落ちる危険性もある」とのこと。

禁止されているルートですから万が一ケガをしたり死亡したりしても保険は降りないとのこと。

「自己責任で行くのならいい」という話ではなく、島の自然を破壊してしまう行為でもあります。SNS映えとかを考えて行ってみたいという気持ちはわかりますが、この素晴らしい自然を守るためにも禁止エリアで撮影した動画や画像を投稿したアカウントは凍結するなど、運営会社も協力してほしいなと思いました。

さて気を取り直して帰路につきます。

対岸で海から立つたくさんの「支柱」が見えるのはフンシャル空港。海の上につくられているとのこと。
タクシーボート。フンシャルの街まで行けるのもあるそうです。

帰り道、青空が出てきました。

やっぱりこの大パノラマは青空の下で楽しみたいものです。
でも曇り空だった往路もベンが植物などについて説明してくれたし。

それがガイドと歩くハイキング/トレッキングのいいところです。

約2時間半、ずっと大パノラマを楽しめたハイキングでした。

ベンによるとマデイラ島には3つ、特に人気のトレッキングコースがあるそう。前回の記事でお伝えした「PR1」、今回の「PR8」、そしてもう一つが「PR6」、別名「Levada das 25 Fontes」(25の泉からの水路)。

名前からしてまったく違うものに感じられます。

次に訪れるときは絶対に行ってみたいな。いや、次は2026年中には完成すると言われている総延長95.5キロメートルで4~6日かかるというマデイラ島横断コース「GR1」にも挑戦したいです!

【柳沢有紀夫の世界は愉快!】シリーズはこちら

マデイラ観光局(英語サイト)
https://visitmadeira.com/en

ポルトガル政府観光局(日本語サイト)
https://www.visitportugal.com/ja

著者画像

柳沢有紀夫さん

オーストラリア在住ライター (海外書き人クラブ)

1999年からオーストラリア・ブリスベン在住に在住。オーストラリア関連の書籍以外にも『値段から世界が見える!』(朝日新書)、『ニッポン人はホントに「世界の嫌われ者」なのか?』(新潮文庫)、『日本語でどづぞ』(中経の文庫)、『世界ノ怖イ話』(角川つばさ文庫)など著作も多数。世界100ヵ国以上の現地在住日本人ライターの組織「海外書き人クラブ」のお世話係

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