RVにバイクとテントを載せて「スタージス」へ! アメリカ最大のハーレーダビッドソンのイベントとは | クルマの旅・ドライブ 【BE-PAL】キャンプ、アウトドア、自然派生活の情報源ビーパル
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    2025.12.12

    RVにバイクとテントを載せて「スタージス」へ! アメリカ最大のハーレーダビッドソンのイベントとは

    RVにバイクとテントを載せて「スタージス」へ! アメリカ最大のハーレーダビッドソンのイベントとは
    とどろくハーレーダビッドソン(以下、ハーレー)のエンジン音、漂う焼けたタイヤのゴムの匂い、そして夜はキャンプ場で星空のした仲間たちと過ごす時間。アメリカ・サウスダコタ州で毎年開催される、世界最大級のハーレーのお祭り「スタージス・モーターサイクル・ラリー」(以下、スタージス)は、ハーレー好きなら一度は体験してみたい憧れの舞台です。

    今回は、ハーレーをトラックの荷台に積み、ユタ州から車でおよそ11時間ドライブしてイベントに参加した、20代の若者ライダーたちを取材しました。

    初参加の2人を含む彼らの生の声といっしょに、年に一度サウスダコタ州の小さな町がハーレーで埋め尽くされる、バイク旅とキャンプが融合する魅力をたっぷりご紹介します。
    Text

    ハーレー愛好家が胸を高鳴らせる冒険の舞台

    スタージスとは?

    日本人にとって、「サウスダコタ=大統領の顔の山」というイメージが強い、アメリカ北中西部・サウスダコタ州。最も有名なランドマークは、ラシュモア山です。岩山に彫られた4人の大統領の巨大彫刻を、教科書やテレビで見た人もいるのではないでしょうか。

    そのサウスダコタ州の西側に位置する山岳地帯に、小さな町「スタージス」があります。人口わずか7000人ほどのこの静かな町が、毎年8月になるといっきに姿を変えます。大陸各地から、ハーレーやツーリングバイクが続々と集まり、10日間だけ「バイクの町」が誕生するのです。その風景は、まるで大空の下に広がる巨大な夏フェス!

    1938年に始まり、今では世界中から数十万人が訪れる「ライダーの聖地」として知られています。実際には、イベントは周辺の町にも広がりますが、この記事では分かりやすく「スタージス」と統一して紹介します。

    スタージスへの出発を前にガレージでバイク整備

    実は筆者の24歳の息子は、ストリートバイクからオフロードバイクまで、大のバイク好きです。自然な流れで、息子の友人たちもバイク好きのメカニック系ばかり。仲間同士でキャンプやツーリングへ行くときは、我が家のガレージが集合場所になります。

    出発の数日前にバイク整備をしにやって来たデイビッド。

    バイクに乗ることで、人生や日常に大きな影響をあたえてくれると語るのは、スタージス初参加の、息子の友人デイビッドです。ユタ州にある欧州バイクメーカーのショップで働いています。

    「親友のほとんどは、バイクを通して出会ったのさ。仕事で嫌なことがあっても、バイクに乗れば全部忘れられるんだ。バイクは危険だからという理由で、父親に反対されてたんだけど、今は理解してくれて、天気さえ良ければ毎日バイクに乗ってるよ。ヒヤッとする瞬間も正直あるけど、それが逆にスリルで楽しいんだ。バンジージャンプとかと同じで、アドレナリンを感じられるからかもしれないね。」

    慣れた手つきでタイヤ交換をするダームは、オフロード車専門店勤務。今年は彼女もいっしょにスタージスに参加。
    今年は9人のバイク仲間と、合計12台のバイク(ハーレー9台と、日本のホンダ製小型バイク、モンキー3台)で参加。
    RVトレーラーも準備万端。人数が多いので就寝用にテントも持参。
    トラックの荷台に器用に載せたバイク2台。

    キャンプ場と町中に鳴り響くハーレー独特の重低音

    こうして息子とその友人たちを送り出し、約一週間後スタージスから帰って来た彼らを改めて取材しました。もちろん、まだイベントの余韻と興奮が冷めないうちに。

    まず、SNSでバイクのインフルエンサーとして活躍するバグに、キャンプ場で一番印象に残ったことは? と聞いてみると……。

    「夜遅くにバーンアウト(バイクを空転させて煙を出すスタント)をしたことさ。バーンアウトし過ぎて、タイヤがバースト(破裂)してしまったけどね。キャンプ場に“静かな時間”なんてなかったよ。テントに戻ったら、焼けたゴムの匂いで体じゅう覆われてたんだ。」

    RVトレーラーとミニテントで埋め尽くされたキャンプ場。ゴルフカートで移動する人の姿も。

    「100%また行きたい!キャンプ場に入った瞬間から、まるで別世界だったよ。数千人の人が自由に楽しんでいて、“人間観察”してるだけでも面白かったんだ。事前に“絶対期待以上の体験になる”と周りから言われてたけど、本当にその通りで、想像をはるかに超える楽しさだったよ。」

    と語るのは、初参加だったデイビッドです。

    この写真を見て、ドミノ倒しのように、もし間違ってバイクを倒してしまったら!? と思わず心配してしまうのは私だけでしょうか……。

    バイク旅とキャンプを組み合わせることの魅力とは?

    「シンプルに言うと、移動手段がそのままキャンプと結びついていたことかな。各自バイクがあるから自由に動けたし、もし誰かのバイクが壊れても予備のバイクがあったんだ。それにバイク文化って、とてもオープンで包容力があると思うんだ。実際、友達のバイクを修理したりして、トラブルをその場で仲間と解決したんだ。」

    と、みんな口をそろえて話してくれました。

    確かに、筆者が夫婦でRVキャンプへ行くとき、オフロード車を持って行かなければ、RVトレーラーという快適な住まいの空間はあっても、移動手段はけん引力のある大きなトラックタイプのクルマのみ。すると小回りがきかないので、小さな町だと移動が不便になるのです。

    気持ちよさそうに町を走り抜ける女性ライダーたち。
    建物の前に整列駐車する無数のバイクは、まるで映画のワンシーン。
    バーに入ると、知らない人同士が「どこから来たの?」「バイクはどのモデル乗ってる?」と自然に会話が始まる。外の風がそのまま店内へ流れ込むオープンな造りが多い。

    尖った岩が立ち並ぶ、山の中の絶景ロード「ニードルズ・ハイウェイ」

    ツーリングでどこが一番印象に残ったかという質問に対して、全員が即答した場所は、「ニードルズ・ハイウェイ」。サウスダコタ州のブラックヒルズ国立森林の中を通るハイウェイです。

    細く尖った花崗岩の柱が林立する絶景エリアで、道路自体が景勝ルート。岩の間を縫うように走るくねくね道路、車一台ギリギリの細いトンネル、急に目の前に現れる尖峰など、走るたびに景色が変わる「冒険感」あふれる道なのです。岩の迫力、景観の変化、森林の匂いが一体となって、ライダーにはたまならい体験だとか。

    風と雨が削って生まれた、まるで針の穴のようなトンネル「ニードルズ・アイ」。

    ワイルドだけじゃない! エンジン音がつなぐ仲間との絆

    「初めて参加した仲間たちが感動してる姿を見るのが、一番嬉しかったよ。互いに同じ瞬間を見て“今の見た?”って、目を合わせて笑い合うことが何度もあってさ。とにかく笑いが絶えなかったんだ。お酒も多かったけど、ケンカなんて全く無くて、みんな最高に楽しんでたよ。」

    と語ってくれたのは、スタージスに何度も参加しているバグ。

    スタージスの記念バッジ。羽を広げた鷲のシンボルは、アメリカでは力強さと自由の象徴。

    派手なイメージが先行しがちなイベントですが、実際のスタージスは、老若男女がバイクを通じてアメリカの自然と自由を味わう「大人の冒険の場」なのかもしれません。

    最後に日本のBE-PAL.net読者のみなさんへ、スタージス初参加のデイビッドとドゥレイからステキなメッセージをもらいました。

    「ぜひスタージスに行ってみて!バイクを持ってなくても、一度はその場の雰囲気を体験してほしいな。日本でもチョッパー(カスタムバイク)やスポーツバイクの文化があるでしょ。実際、会場でも日本から来た人を見かけたんだ。年齢や人種を超えて、みんなが楽しんでいるのが素晴らしいのさ!」

    「スタージス・モーターサイクル・ラリ―」の公式サイト
    https://sturgis.com/

    トロリオ牧さん

    アメリカ・ユタ州ライター

    2001年渡米、ユタ州ウチナー民間大使。パンデミックをきっかけに「いつ死んでもOK!な生き方」を意識するようになり、17年間務めたアメリカ政府の仕事を2023年に辞職。現在はNHKラジオ出演や日本のWebメディア執筆など幅広く活動中。編著に電子書籍『型の中に答えはある』がある。夫婦でRVキャンプを楽しむのが最高の癒し時間。世界100ヵ国以上の現地在住日本人ライターの組織「海外書き人クラブ」会員。「海外書き人クラブアウォーズ2025」最優秀新人賞受賞

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