アメリカ東部ポコノマウンテンの湖畔で出会った“動かないキャンピングカー”の暮らし方とは - 【BE-PAL】キャンプ、アウトドア、自然派生活の情報源ビーパル
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    2025.08.20

    アメリカ東部ポコノマウンテンの湖畔で出会った“動かないキャンピングカー”の暮らし方とは

    アメリカ東部ポコノマウンテンの湖畔で出会った“動かないキャンピングカー”の暮らし方とは
    癒やしの自然、ぜいたくなアウトドア、季節を感じるリトリート。そのすべてがそろうのが、ペンシルベニア州ポコノ山地域です。ニューヨークやフィラデルフィアから車で2~3時間で行けるアウトドア天国です。

    以前ご紹介した、ヒッコリーラン州立公園のボルダー・フィールドがあるこの地域を、2025年6月に再び訪れました。サバイバル感や冒険心をくすぐるユタ州のキャンプとは違い、「癒やし系リゾート」という言葉がぴったりの「キーンレイク・キャンピング&コテージ・リゾート(以下、キーンレイク)」。

    今回はそこで出会った、ユニークなキャンプスタイルをご紹介します。

    ワイルドでミステリアス!約2万年前の氷河期に形成された“アメリカ東海岸の岩石フィールド”を歩いてみた

    キーンレイクのユニークな滞在スタイル

    まるでディズニーテレビ映画の世界に迷い込んだよう!

    アメリカ・ペンシルベニア州ウェイマートに位置し、90エーカー(東京ドーム約8個分)の敷地には、湧き水の湖と緑豊かな森が広がっています。キーンレイクの公式サイトによると、70年以上続いている、キーン家の伝統を感じられる家族経営のリゾートだとか。

    キーン家は1814年にこの地を購入し、1954年キャンプ場をスタートさせ、代々この湖と土地を守ってきました。リゾート内には歴史を感じる石造りの遺構なども。それについては後で説明するとして、まずはチェックインをしにリゾート内のオフィスへ向かいます。

    リゾート内は、むかし娘といっしょについ夢中になった、2006年のディズニーテレビ映画「ハイスクール・ミュージカル」のような雰囲気。カラフルな掲示板に、元気いっぱいのキーン家の笑顔が、旅のワクワク感を高めてくれます。

    緑の森にたたずむおしゃれな建物でチェックイン。

    話しはそれますが、ハイスクール・ミュージカルのロケ地は、筆者の住むユタ州なのです。にも関わらず、アメリカ西部のユタ州から飛行機で4時間以上離れた、東部のペンシルベニア州で、この映画の光景がパッと浮かぶなんて(笑)。

    クマがゴミ箱のフタ開けちゃう?

    キーンレイクには、「ベア・プルーフ・ダンプスター」というクマ対策用の、特別なゴミ箱が設置されています。アメリカのキャンプ場では、「クマに人間の食べ物を覚えさせないこと」が自然を守る大切なルールのひとつです。

    クマが人間のエリアに頻繁に出入りするようになると、人間との事故や接触のリスクが増えてしまいます。そしてクマが「危険な存在」と判断されると、最悪の場合、処分されてしまうこともあるのです。

    クマはとても鼻がきく動物。実際に、ロックをしないとクマがゴミ箱をあけてしまうトラブルは、アメリカ各地の自然公園やキャンプ場でたびたび起きているのです。

    ゴミの中のわずかなニオイでも近づいてきてしまうことがあります。キャンパーは、ゴミを捨てたらカチッとゴミ箱をロックしましょうね!

    アメリカのキャンプ場では、ゴミ箱のフタをロックするのも自然との約束のひとつ。
    英語とスペイン語で「クマ対策用のゴミ箱です。ゴミを捨てた後は、しっかりとロックをして下さい。」と書かれた貼り紙。

    自然の中に並んだ、動かないキャンピングカー

    チェックインを済ませ、ゴミ箱の位置も確認して、いよいよ宿泊場所となるRV(キャンピングカーなど略:Recreational Vehicle)が「固定設置」された場所へ向かいます。

    そう、ユタ州で利用し慣れているキャンプ場と違って、ここでは「固定されたRV」をホテル替わりに借りて宿泊するのです。

    テントやポップアップキャンプ用のサイト、グランピング、バンキャンピングなど、私たち夫婦が見慣れたサイトもあるのですが、固定されたRVサイトエリアのほうが多いように感じました。

    動かすためではなく宿泊専用のRV。
    滞在中は雨ばかりでしたが、ポーチに座っていると、ビーバーが遊びに来てくれました!
    宿泊したRVからの景色。各サイトにグリルやファイヤーピット、ピクニックテーブル付き。薪の持ち込みは禁止でした。

    歩かずにはいられない、90エーカーの冒険

    せっかく晴れたので、広大な敷地内を歩かないともったいない!と、雨上がりの澄んだ空気のなか、ウォーキングすることに。

    この景色を眺めながら、家族や気の合う友人とのおしゃべりはきっと楽しいはず。
    まだ水遊びをするにはちょっと肌寒い6月。
    と思いきや、小麦色の肌の女性がふたりSUPを楽しんでいました。
    湖をぼんやり眺めていたら、すいーっと水面に小さな頭がぽこん。亀さんが静かにスイミング中でした。

    冒頭でも少し触れましたが、200年以上も前からキーン家に大切に守られてきた湖と土地。キャンプ場の奥へ足を運ぶと、静かな森の中にひときわ目を引く、石のアーチ橋が残されていました。

    かつてこの場所を通っていた「グラビティ鉄道(重力式鉄道システム)」の名残。
    19世紀に石炭を運ぶための鉄道が、この湖のそばを通っていたとか。
    釣り用のエサや、薪を販売しているっぽい、壁にたくさんのサインが貼られた小屋。
    地元産のチーズやシロップの販売店のようではあるのですが、先ほどの小屋同様、オープンしている雰囲気がないので、歩きながらの写真撮影だけ。

    「RVを買って、季節ごとに通う」暮らし方

    実はキーンレイクでは、すでに敷地内に固定設置されたRVを、購入することができます。ただしこの場合、RVそのものは購入者の持ち物になりますが、RVが置かれている土地はキーンレイクの所有地。毎年の「土地レンタル料」を支払って利用するシステムです。

    今回このキャンプ場を訪れた理由は、このシステムでRVを購入した、筆者の夫の父親夫婦とバケーションを楽しむためでした。

    ウォーキングの後は、彼らが購入したRVサイトで食事をすることに。

    奥に白く見えるのが「固定RVの購入+土地レンタル」エリアに並ぶRVたち。
    夫の父親夫婦が滞在するエリア。毎年、夏のシーズンに訪れて「自分のRV」に滞在しながら、キャンプ場の設備(プールや湖での水遊び、釣りやイベントなど)が利用可能。
    火を囲み会話を楽しむ夫と彼の継母。
    雨にぬれた土や植物たちの匂いに癒やされて「いただきます!」
    街灯はないので、日が暮れると真っ暗。夜は4人で静かなたき火タイム。

    緑と水が豊かなポコノマウンテンの湖畔で、ホテルでも別荘でもない、もうひとつの旅のかたちに出会えた時間でした。

    キーンレイク・キャンピング&コテージ・リゾートの公式サイト
    https://keenlake.com/

    トロリオ牧さん

    アメリカ・ユタ州ライター

    2001年渡米、ユタ州ウチナー民間大使。パンデミックをきっかけに「いつ死んでもOK!な生き方」を意識するようになり、17年間務めたアメリカ政府の仕事を2023年に辞職。現在はNHKラジオ出演や日本のWebメディア執筆など幅広く活動中。編著に電子書籍『型の中に答えはある』がある。夫婦でRVキャンプを楽しむのが最高の癒し時間。世界100ヵ国以上の現地在住日本人ライターの組織「海外書き人クラブ」会員。「海外書き人クラブアウォーズ2025」最優秀新人賞受賞

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