
たどり着いたのは、静かな山あいの町「マウントプレザント」。
電波の届きにくいこの場所で過ごした、風の音と鳥の声だけがBGMの時間。便利さとはちがう、“本当の豊かさ”に気づかせてくれるスローライフをご紹介します。
RVパークで過ごすのんびりとした時間
静けさを分け合う無言のドライブ
ソルトレイクシティから南東へ国道89号線を走ると、牧草地や山々が次第に広がっていきます。ロードトリップは“退屈を楽しむ”のがマイルール。私は助手席でただ風景を眺めている時間が多く、ハンドルを握る夫との会話はほとんどありません。
ユタ州中央から南東部にかけてつらなる、広大な山岳地帯「マンタイ・ラ・サル山脈」を眺めながら静かな時間が流れます。

田園風景を眺めながら、マウントプレザントに到着。高台にあるRVパークへ向かう前に、私たち夫婦が必ず立ち寄る場所があります。それは本場ストリートタコスのフードトラック。

バックインサイトでちょっとしたこだわり
お腹を満たして、いつものRVパーク「マンタイ・ラ・サルKOAホリデー」へ向かいました。何度か利用している、お気に入りの場所です。
RVパークとは、“キャンピングカーのための快適なキャンプ場”といったイメージ。サイトのタイプは主にふたつ。前から入ってそのまま抜けられるプルスルータイプと、バックで駐車するバックインサイトがあります。
バックインは少しテクニックが要りますが、自然に囲まれた静かな区画が多いのが魅力。その静けさにひかれて、我が家はできるだけバックインを選びます。うまく駐車できたとき、ちょっとした達成感があるのも、地味にうれしかったりします。


サイトにRVを駐車したあと、ジャックパッドと呼ばれるものを(我が家のは赤い円形タイプ)RVのスタビライザージャッキやレベリングジャッキの下に敷いて、安定性を高めます。地面の保護やぐらつき防止に欠かせないアイテム。
余談ですが、初めてRVの中で過ごしたとき、船酔い状態で嘔吐しそうになった経験があるので、安定性は大切なのです。

フルフックアップで、気持ちよく過ごす
さて、アメリカのRVパークには、電気・水道・排水の3つすべてが使えるフルフックアップサイトと、設備のないドライサイトがあります。
自然と一体化したい夫にとっては、パーク内のドライサイトか、BLMの山のど真ん中へ行きたいらしいのですが…。アウトドアでも快適さがほしい私がいっしょなので、フルフックアップはマストです。
その代わり、男友達や息子とハンティングへ行くときは、シャワーも浴びず山奥にこもっているので、バランスはとれているかと…(笑)。

私たち夫婦が今年初めてのサイト利用客だったらしく、排水口のふたが硬くてビクともしません。手の力だけでは無理だったので、ペンチのハンドル部分をうまく利用したら、ポコッっと気持ちよく開きました。




サボテンを飛び超えながらウォーキングを楽しむ
このRVパーク、スクラブオークという低木の森が一面に広がっています。日本で言う“雑木林”のような感じです。
パーク内にいながらネイチャー・ウォーキングができるので、太陽の光がやわらかい朝はお散歩にぴったり。鹿のうんちや、足元に突然現れるサボテンを飛び越えながら、植物の匂いや鳥たちの声を楽しみました。





キャンプ飯はぜいたくなシーフードと焼きマシュマロ
RVの中には、キッチンがフル装備されています。しかし雨さえ降らなければ、やっぱり外で料理したいですよね。
この日のお夕飯は、冷凍のシーフードミックスをドバっと袋からアルミホイルの上に出して、たき火で焼くだけの簡単キャンプ飯。




パークから一歩も出ずに、忙しさを置いてきた3日間。自然の中で時間をぜいたくに使うって、何かをすることじゃなくて、何もしないことを楽しめるかどうかかもしれないですね。
「マンタイ・ラ・サルKOAホリデー」の公式サイト
https://koa.com/campgrounds/manti-lasal/