実在するシャーロック・ホームズ“終焉の地”!?スイスの名瀑「ライヒェンバッハ滝」を巡る | 海外の旅 【BE-PAL】キャンプ、アウトドア、自然派生活の情報源ビーパル

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2025.07.11

実在するシャーロック・ホームズ“終焉の地”!?スイスの名瀑「ライヒェンバッハ滝」を巡る

実在するシャーロック・ホームズ“終焉の地”!?スイスの名瀑「ライヒェンバッハ滝」を巡る
日も長く、気持ちの良い季節になった初夏のスイス。ある週末、ベルン州の山間部にあるマイリンゲンという村を訪れました。

ここには、最大の高さが約120mのライヒェンバッハ滝(Reichenbachfall)があります。この滝はイギリスの小説家コナン・ドイルの『シャーロック・ホームズ』シリーズの短編にも登場していることから、ファンの間で聖地になっています。
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『シャーロック・ホームズ』に登場する滝とは?

季節限定で運行するレトロなケーブルカーで滝の駅へ

マイリンゲンから直接歩いて滝まで登ることもできますが、夏~秋の期間は滝まで行くケーブルカーが運行しています。それならばせっかくだし、とケーブルカーで滝まで行くことに。

ライヒェンバッハ滝行きのケーブルカー乗り場。

レトロで赤い色が可愛らしいケーブルカーは、1899年から今も現役で活躍中です。

昔ながらの姿が残るケーブルカーは今年126歳。

いざ滝まで出発!ケーブルカーからは花畑と渓流、そして遊歩道や橋なども見えました。

新緑の山中をケーブルカーで登って行きます。

こうして10分弱でケーブルカーは滝のある駅に到着。駅には、ライヒェンバッハの滝で主人公ホームズと宿敵モリアーティ教授が対決している挿絵が飾られていました。

『シャーロック・ホームズ』の「最後の事件」という話の中で、二人が滝の横にある崖道でもみ合い、共に滝に転落して絶命したことをほのめかす衝撃シーンがあるのです。

『最後の事件』の中で、ホームズたちがライヒェンバッハ滝で対峙します。

連載当時、既に人気だったホームズシリーズですが、コナン・ドイル本人は探偵小説のように商業的な作品ではなく、もっと高尚(?)な歴史小説を書く一流小説家だと思われたかったのだそう。そのためホームズの話を手っ取り早く終わらせるべく、自ら主人公の抹殺を試みたのだとか。

しかし読者には当然納得してもらえず、批判も受けたことから「ホームズは実は滝には落ちておらず、生きていました!」といったストーリーに変更、ホームズを復活させることになったのでした。

美しき癒しの名瀑、ライヒェンバッハの滝

さて正面から見る滝は美しく、迫力があります。霧のような飛沫が顔に気持ちよくかかり、癒されます。何時間でも壮大な滝をぼーっと眺めていたい気持ち。

その時ふと、滝の前にある望遠鏡のようなものが目につきました。最初は滝を間近で見るためかと思ったのですが、方向が滝よりも左の方を向いています。では一体何を見るため?

滝の前にある、謎の望遠鏡らしきものとは…? 

実はこれはただの筒。この筒をのぞくとホームズとモリアーティが争った「最期の場所」が示された白い星マークが見えるというのです。

そこで筒をのぞいてみましたが、内部にクモの巣があるのか、はたまたガラスが曇っているのかよく見えません。しかし筒が向いている方向に目をやると、小さい白い星マークとフェンスのようなものが肉眼でも見えました。

あそこはどうなっているのかな、ホームズたちの死闘現場もぜひ見てみたい!となり、さっそく白い星地点まで続くという遊歩道を歩いてみることにしたのでした。

白い星の場所がホームズたちの終焉地。 

ホームズの“最期の地”がある「白い星」をめざせ!

滝の前からスタートする道を歩いて行くと、すでに他の人たちが階段を昇り始めていたのが見えたので、私たちも後に続きました。

滝の横の長い階段からハイキングコースが始まります。

歩いている途中、同じケーブルカーに乗って来た観光客の人たちは一人、また一人と駅まで引き返していきます。滝と周辺だけを見に来ただけで、何十分も歩くつもりはなかったのでしょう。気づけばハイキングコースを歩いていたのは私たち夫婦のみに。

岩場のある階段途中で、初夏の頃スイスなどヨーロッパの高山地帯に自生するアルペンバルザム(der Alpenbalsam/和名:イワカラクサ)のピンクの花たちに迎えられました。

岩場で可憐な花を咲かせていたアルペンバルザム。

それからヴァルトマイスター(和名: クルマバソウ)が群生する新緑の森の中を歩いて行き、ところどころにある展望テラスから、異なる角度や高さからの絶景を堪能しました。

はるか下にマイリンゲン村が小さく見えます。
ライヒェンバッハ滝より高い位置にある展望テラスからの眺め。

さらに途中で滝の上流を横切る小さな橋を渡り——。

滝の上流にある小さな橋を渡ります。
ちょっと日本の自然にも似た、滝の上流エリア。

岩や石が多いがたがた道をけつまずかないよう歩いていくと、今度は森の中で十字路に行き当たりました。

岩や石だらけの道はつまずきやすいので注意。

どうやら私たちが目指すべき方向は、「FUSSWEG/FOOTPATH(歩行者用小道)」の標識が指す左の道のようです。

十字路にあった道標。

「もうすぐ白い星地点のあるゴールだ!」と意気揚々と足取り軽く歩いていたら、目的地近くになるにつれ、人とすれ違うのもためらうようなけもの道っぽい狭い道に。

特に崖から染み出る水が上からしたたり落ちる、ぬかるんだ細道を通って行く時は「バランスを崩して滑って落ちたらどうしよう」とちょっぴりどきどき。そうならないよう、しっかり鎖の手すりにつかまりながら、そろそろと進んで行きました。

ぬかるんだ細道を、鎖につかまりつつゆっくり進みます。

こうして無事白い星ポイントに到着!

真横で轟々と音を立てる滝の飛沫を感じながら、ちょっと頼りなさげなフェンスと崖の記念碑プレートの間にある狭い崖道に立っていると「ああ、ここがその事件現場なのか」とまるで自分も小説の登場人物の一人になって事件を見届けたような、不思議な達成感がありました。

ちなみに同行した夫は「ココ危なくない?怖すぎるよ!」と言って3秒ほどでホームズの終焉地スポットからささっと離れていきました。彼のように高所恐怖症の人にとっては、ややスリル過多な場所のようです。

やっと“事件現場”へ!記念プレートや花輪もあり本格的。

復路は別ルートでマイリンゲンまで歩いて下りることも考えたのですが、ケーブルカーのチケットを往復で購入していたため、再び30~40分ほどかけて駅まで戻った後、ケーブルカーで山を下りました。

ホームズたちの死闘現場から、乗って来たケーブルカーと駅が見えました。

そんなわけでホームズファンの人はもちろん、そうでない人でも自然がいっぱいで楽しめる所でした。いつか『シャーロック・ホームズ』シリーズをちゃんと最初から読んでみようかな、という気分にもさせられた今回の旅でした。

小島瑞生さん

スイス在住ライター

1998年~2009年までアイルランドで暮らした後、2009年からスイス在住。スイス始め欧州の国々のさまざまな興味深い情報を雑誌やウェブサイト、ラジオ等のメディアにて発信中。世界100ヵ国以上の現地在住日本人ライターの組織「海外書き人クラブ」会員

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