「世界でもっとも危険な道」のさらに先へ。“リトル・チベット” スピティへの旅 | 海外の旅 【BE-PAL】キャンプ、アウトドア、自然派生活の情報源ビーパル - Part 2
  • OUTDOOR
  • NEWS
  • SUSTAINABLE
  • CAR
  • CAMP
  • GEAR
  • COOKING
  • 海外の旅

    2017.11.08

    「世界でもっとも危険な道」のさらに先へ。“リトル・チベット” スピティへの旅

    ナコの村は、区域的にはキナウル地方に含まれていますが、文化や宗教の面では、キナウルとスピティのちょうど狭間に位置する村と考えてもいいでしょう。村には由緒のある仏教僧院、ナコ・ゴンパがあります。

    村の中で出会った小さな男の子。空気が乾燥していて埃っぽいこともあって、このあたりの小さな子供たちの鼻水のたらしっぷりは豪快です(笑)

    村はずれの高台の上から見渡した、ナコの村の全景。こんな険しい山の中に、こんなに美しい佇まいの湖と村がある。じんわりと胸に沁み入ってくるような光景でした。

    翌日、ナコを発ち、さらに北へ。道路の東側、ほんの数十キロ先には国境があるはずです。至るところにインド軍の駐屯地がありました。

    やがて車は、スピティ地方へと入りました。ヒンドゥー教徒の多かったキナウルと違って、ほとんどの住民はチベット系の仏教徒、スピティ人です。途中で街道を少し離れ、ギゥという村に寄り道。この村ではほんの十数年前、風化した古いチョルテン(仏塔)の中から、ミイラ化した僧侶の即身仏が発見されました。12〜13世紀頃の僧侶ではないかと推測されているその即身仏を祀るため、村には新しい寺院が建てられました。即身仏は現在、その境内にある小さな建物内に安置されていて、そう遠くない将来、本堂に移されるそうです。

    スピティの東部にあるやや大きな村、タボに到着しました。この村には、996年に創建されたと伝えられる僧院、タボ・ゴンパがあります。外観は写真のように分厚い土壁に覆われていますが、本堂の内部には、32体の仏像と壁面にびっしり描かれた美しい壁画が今も鮮やかに残されています(内部は特別な許可がないかぎり撮影禁止)。スピティに来る旅行者が必ずといっていいほど訪れる名刹です。

    タボ・ゴンパの新館の境内で、僧侶たちが二人一組になって問答修行を行っていました。このゴンパに属する僧侶は約50名ほど。彼らが手のひらを打ち鳴らす音が、澄んだ空気の中に響き渡っていました。

    ◎文/写真=山本高樹 Takaki Yamamoto
    著述家・編集者・写真家。インド北部のラダック地方の取材がライフワーク。著書『ラダックの風息 空の果てで暮らした日々[新装版]』(雷鳥社)ほか多数。
    http://ymtk.jp/ladakh/

    NEW ARTICLES

    『 海外の旅 』新着編集部記事

    ジャーナリスト 丸山ゴンザレスさんに聞く「危険な取材の面白さ」とは【動画公開中】

    2024.04.20

    ヒマラヤツーリングで直面したトイレ&お風呂問題【38歳女芸人・橋爪ヨウコの爆夢旅その6】

    2024.04.19

    カリフォルニアの砂漠に花が咲く「スーパーブルーム」は再来するか…2冬連続大雨で高まる期待

    2024.04.18

    オーストリアで最も急勾配なラック式シャーフベルク登山鉄道と絶景山歩きの乗り鉄旅

    2024.04.15

    サファリ観光でもそう出会えない絶滅危惧種と贅沢な時間を!アフリカ・タンザニア秘境のワイルドな旅

    2024.04.11

    湖畔の移りゆく季節の風景を感じる公園「グリーン・レイク・パーク」【アメリカ西海岸・シアトルで絶景街ハイク(2)】

    2024.04.09

    工場跡の廃墟がまるでアート!観光にもおすすめのガスワークス・パーク【アメリカ西海岸・シアトルで絶景街ハイク(1)】

    2024.04.08

    探検家・フンボルトも絶賛!ドイツで最も水の綺麗なクーニッヒス湖(ケーニヒス湖)で優雅なひと時を

    2024.04.07