世界遺産の街、シントラにはいくつもの宮殿がありますが、小ぶりながら「19世紀ロマン主義建築の最高傑作のひとつ」と言われるモンセラート宮殿は、とても魅力的です(上の写真が宮殿の外観)。また、宮殿を取り囲む広大な公園には、世界中の植物に巨木と一体化した廃墟、また滝や川などが配置され、訪問者を飽きさせません。
ダウンタウンから少し離れたところにあることもあって、それほど混雑しませんので、ゆっくりと散策してみましょう!
オリエンタルな香りのモンセラート宮殿

現存しているモンセラート宮殿とその庭園は、1850年代に英国の富豪、フランシス・クック氏が別荘として整備したものです。
クック氏は、19世紀のロマン主義にとって「理想的な神秘の象徴」であった東洋のデザインや自然を積極的に取り入れました。例えば、宮殿にはムーア風アーチ、インド風ドーム、アラベスク装飾などが採用されています。また、宮殿の側には、1857年のインド大反乱の後にクック氏が手に入れたというインドの門もあります。

さらに、宮殿の周辺には日本庭園やシダの茂る湿潤な谷の演出なども見ることができます。
日本庭園には、竹や椿が使われています。訪問した3月末は椿が満開でした。

クック氏が手がけた「シダの谷」は、40種類以上のシダを揃えており、完成当初はヨーロッパで最も美しい屋外のシダ園として名を馳せたそうです。
まるでトゥームレイダー!? な廃墟

日本庭園やシダの谷のすぐ近くには、元チャペルの廃墟「Romantic Ruin」があります。

巨大なゴムの木やアイビー、ブロメリアなどさまざまな力強い植物が建物を覆い、なかなかの迫力です。そこまでのサイズではありませんが、映画「トゥームレイダー」の舞台となったカンボジアの「タ・プローム遺跡」を思い出しました。

実はこちら、荒廃の美にバイロン卿が感銘を受けた、廃墟化していたネオゴシックの建物を元に、クック氏が再構成したロマン主義的な人工廃墟なんだとか。自然と一体化した建築は、彼の思惑通り、とても詩的な空間になっています。
水辺や芝生で一休み

また、この近くには、入り口近くにある「ベックフォードの滝」から続く水路があり、涼しげです。
滝からの水路は、まず、シダの谷を通ります。そして日本庭園を静かに流れ、池へと辿り着きます。

この池の側には、広大な芝生が広がっています。実はこの芝生、ポルトガルで初めて取り入れられたんだとか。

美しい宮殿や池を見ながら、ピクニックなどを楽しむ人々の姿や、芝生の坂を叫びながら駆け降りる子供たちの姿もあり、ゆっくり過ごすにはぴったりの場所です。公園内にはカフェもありますので、サンドイッチやエッグタルトをテイクアウトして、一休みするのもいいですね。
山々も美しいメキシコ庭園

さて、日本庭園やシダ園と同じく遠い異国の雰囲気の演出として造形された「メキシコ庭園」は、公園の最も温暖で乾燥したエリアにあります。それぞれ個性的なヤシ、ユッカ、アガベ、ソテツ、サボテンなどが並ぶ道を登っていくと、周辺の山々もよく見えます。
少し歩きますが、ぜひ訪れてほしいエリアです。

大きな熱帯植物の花は、あまり日本では見かけないのではないでしょうか? 今回の訪問では、大きなドリアンテス・パルメリーがあちこちで赤い花を咲かせていました。

また、メキシコ庭園以外でも、たくさんの珍しい植物や花々を見ることができます。3月ですと、ツバキ以外にもフジやシャクナゲ、バナナ、カラーリリー、ウォーターホーソン、ブロメリア、他にも名前の分からない花がたくさん咲いていました。

そういえば、メキシコ庭園の近くにネットが張られている場所があります。これは、なんと最大10kg に達する「バンヤパイン(ヒロハノナンヨウスギ)」の巨大な松ぼっくりから来園者を保護するためなんだとか。確かにこんなボーリングの玉みたいな松ぼっくりが頭上から降ってきたら恐ろしいですよね……。

ちなみに、このバンヤパインも巨大ですが、園内で一番大きな木は、高さ50メートルのノーフォーク松だそうです。

このように世界中の植物が集まる広大な庭園の散策はとても楽しいです! リスボンにお越しの際は、ぜひ足を伸ばしてみてくださいね。

なお、2027年第一四半期まで宮殿の屋根の修理のため、中には入れますが、宮殿が覆われていて外観が一部見えなくなっていますこと、ご留意ください。
オフィシャルマップ:https://www.parquesdesintra.pt/pt/recursos-digitais/experiencias-digitais/monserrate-maps/





