豪州のアウトドア好きの間で今そんなふうに話題になっている島があります。「本土」であるオーストラリア大陸から離れたタスマニア州。そのまた「本島」であるタスマニア島から船で行く「ブルーニー島」です。
どうも、オーストラリア在住ライターの柳沢有紀夫です。在住者としては話題の島なら紹介せずにはいられない。というわけで行ってきました。
で、実際に体験した感想がこれ!
「マジでこんないい場所が人知れず残っていたのか?」笑
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【柳沢有紀夫の世界は愉快!オーストラリア・タスマニア旅その1】
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さてまずはそのブルーニー島の場所。タスマニア州の州都ホバートから車で30分強のケタリングという町からフェリーに乗って約10分。フェリーの待ち時間も含めて1時間強で着きます。
その近さにありながら今までそれほど有名ではなかったというのが驚きです。
ホバートからケタリングの船着き場まではバスもあるのですが、島に着いてからは公共交通機関がないし、徒歩で回れる広さではないのでツアーに参加するかレンタカーを利用するのが一般的。
今回は一人旅ということもあり「タジーツアーズ(Tassie Tours)」というツアー会社が催行するその名も「ブルーニー島1日ツアー(Bruny Island Day Tour)」に参加しました。1人ならレンタカーを借りてフェリー代や国立公園入場料を別途払うよりもずっと安上がりですし、ガイドがきちんと見所を押さえてくれますし。
で、今回のドライバー兼ガイドがアンドリューさんです。

島の細かい説明をする前に……まずはこの島も一躍有名にした「SNS映え」スポットを紹介しましょう。
小高い丘からの絶景映えスポット「The Neck」
8時40分ごろフェリーを降りてハチミツショップを経由したあと向かったのが、この島を近年一躍有名にした「Truganini Lookout」、通称「The Neck」。はい、直訳すると「首」ですね。
「島」で「首」。ちょっと松本清張あたりのおどろおどろしい長編推理小説を思い浮かべてしまいますが…とにかく行ってみましょう。


頭の中ではレッドツェッペリンの「天国への階段」が流れ始めます。演奏時間8分の長い曲なんで、それが終わるまでには着くかなあとのんきにのぼっていたのですが、ちょうど中間くらいのところでハタと気づきました。「うっ。記事にするなら、これが何段か数えないと…」と。
引き返そう思ったところ、ちょうど後ろにいたのがガイドのアンドリュー。尋ねてみたら「235段ですよ」と即答でした。アンドリュー、ブラボー! さすがは子どものころから通っていた筋金入り!
…けどよく考えたら引き返してのぼりから数え始めなくても、降りるときに数えれば同じでした。笑

このビーチ越しの海もまたきれいなのですが、このブルーニー島を有名にした映えアングルがこちら。

島の北側と南側が幅100メートルもない長さ2キロメートルほどの砂州でつながっている様子が高台から見られます。この部分が首のようなので「The Neck」という愛称がついたのでしょう。

写真の左右をつないでいるボードウォーク(木道)が見えるでしょうか。
というわけでこのボードウォークも歩いてみます。

なんでそのまま階段とかを降りて砂浜に出られるようになってないのだろうと不思議に思っていると、こんな看板が目に入ってきました。


さて次のスポットに行く前に、この「ブルーニー島」についてザッと紹介しておきましょう。
面積約362平方キロメートル。東京23区の総面積が約628平方メートルだからその6割ほどです。定住している人は1000人ほどとのことですが、ガイドのアンドリューの家族のように州都ホバートなどに家がありながら、ここに別荘を持って夏とか週末とかを過ごす人がかなりいるのだとか。
まだまだ島へ遊びに来る人たちは9割以上が日帰りツアーの参加者ですが、アンドリューによると「島内には様々なトレッキングルートがあるからトレッキングだけでも1週間は楽しめる」とのことです。
「冒険湾」で発見したのは…
アンドリューによると次に向かうのが「アドベンチャーベイ」とのこと。直訳すると「冒険湾」です。その名前を聞いて無茶苦茶ワクワクしていたのですが、アンドリューが運転するツアーバスは島では珍しい住宅街へ。そこでゆるゆると走行しながらまわりを伺うようにきょろきょろし始めたアンドリューから衝撃のひとこと。
「アドベンチャーベイに着きました。ここは島で唯一食料品などが買えて、ガソリンも入れられる場所なんですよ」
…アドベンチャー感、ゼロじゃん。むしろ逆じゃん。っていうかなんで住宅街? と頭の中がハテナマークの原生林状態になっていたところ、アンドリューが「あっ、いました、いました。ここでバスを降りましょう」

白い動物がいます。これはホワイトワラビー。ワラビーとは小型のカンガルーです。
そしてこの「ホワイトワラビー」、その名の通り白いワラビー。遺伝子疾患で突然生まれた白い個体が1~数匹いるのではなく、遺伝子変異でこうなった個体がこの島には200~300匹いるのだそうです。そしてアンドリューによるとホワイトワラビーは、同じくらいの大きさのグレイワラビーとも交尾ができて、その際、どっちの色のものが生まれるかはわからないとだそうです。
なんて話を聞いていたら、目の前に現れたのがこれ!

ちなみにこのブルーニー島では捕食者(彼らを食べる大きな肉食動物)がいないため、ハリモグラのハリも短いのだそう。そして茂みで目立ってしまう白いワラビーが生き残れているのも捕食者がいないからだそうです。
しかし…住宅地なのに「野生の楽園」。すごい場所です。
森林ハイキングで「先住民の知恵」を学ぶ
次に向かったのは「マビスタ(Mavista)ネイチャーウォーク」というトレッキングルート。

その斜め右が先ほどハリモグラなどを見たアドベンチャーベイ。そして地図の右上部分が最初の「The Neck」という砂州です。つまりこの地図はブルーニー島の南半分のみです。


直訳すると「コショウ果実」ですが私たちがよく使うコショウの実とは別のものです。その名の通り、ピリッとした苦みがあるのですが、先住民アボリジナルピープルはこれを料理の風味づけに用いるとともに、痛み止めとしても用いたとのこと。

バーク(bark)とは「樹皮」のこと。まさに「紙」のようにペラッとはがれます。先住民アボリジナルピープルたちは道具を作ったりするのに利用したのだとか。

なんだか原始の世界に迷い込んだような気分になりました。
この散策時間は往復で25分ほど。もっと長居したい気分ですがアンドリューによると「まだまだ見所いっぱい」とのことで先を急ぎます。
浜辺に打ち上げられていたのは…
次にやってきたのはアドベンチャーベイの少し北にある「トゥートゥリーボイントビーチ」です。

とはいえ水温18度とのことなのでちょっと入る気にはなりませんが。でも歩くとキュッキュッと音がなる「鳴き砂」なのでそれを無邪気に楽しんだり…。


じつは打ち上げられたアザラシです。アンドリューによると「首周りに点々があるんでヒョウアザラシだと思います」とのこと。本当はこの辺りにはいなくて南極圏に生息するものらしいです。
「助けなくていいのかな」という目でアンドリューを見ると、「昨日ここに来たときに国立公園のレンジャーに報告しておきました」とのこと。救助活動を勝手にするのが本当に野生動物のためになるのか、それとも自然の摂理に任せるべきなのか。それは専門家の判断にまかせるべきでしょう。

ちなみにアンドリューによると「これ以上は近寄ってはダメ」とのことなので、10メートル以上離れたところから撮影しました。
アンドリューがビーチでおもしろいものを見つけてくれました。

…はい、ウソです。「ジェリーフィッシュに見えますが、これはシースネイルなんですよ~」。つまりクラゲじゃなくて巻貝なのだそうです。ちなみにGoogle先生で画像検索したところ「画像に写っているものは、ツメタガイ(学名: Neverita didyma)の卵塊である可能性が高いです」とのこと。へえ~。
このあとお土産探しのチョコレートショップに寄ってからランチのレストランに向かいます。はい、これまでが午前中。本当に盛りだくさんです。
ちなみにランチもツアーバスの車内で事前にネット予約して、レストランに到着した12時にはサッと料理が提供されるというシステム。オージー(オーストラリア人)らしからぬ、と言っては失礼ですが、ものすごく手際がいいです。
「氷山が見える灯台」と「エメラルドグリーンの入り江」
12時からのランチ終了後、13時15分に「ブルーニー岬灯台」の駐車場到着です。ここでアンドリューが驚きの発言。「灯台の向こう側に氷山がみえることもあるんですよ~」
2025年にはオーストリア、スイス、チリで「氷河」を見てきたのですが、「氷山」は見ていません。


残念ながら中は立ち入り禁止ですが、それよりも「氷山」です。

同じツアーの参加者と「全然見えないねえ」と嘆きました。あとでアンドリューに聞くと「30~40キロメートル先あたりにあることがある」とのこと。平均視力が5.0とか言われるアフリカのマサイ族ならまだしも、近眼の私には無理。

そしてここはオーストラリアでオーロラを見るのに最も適した場所とのこと! 半島をぐるっと回るウォーキングトレイルもあるようですが…ツアーなので次の場所へ向かいます。
「最後に秘密の場所にお連れします」とアンドリューが14時半に車を止めたのが、何の標識もなく車が3台くらいしか止められないスペースです。
そこから歩くこと20メートルほどで「クラウディーベイラグーン」の入り口(インレット)に到着。

本当に盛りだくさんの日帰りツアーでした。でもいつかゆっくり滞在したい。そう思わせてくれた「ブルーニー島」です。
【柳沢有紀夫の世界は愉快!】シリーズはこちら!
Tassie Tours(今回参加した「ブルーニー島1日ツアー(Bruny Island Day Tour)」以外にも、日帰りから数日間のものまでタスマニア州で様々なツアーを催行)
https://tassietours.com/





