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2004年から2010年までの約6年間、世界一の高さを誇った建物といえば?
答えは台北101。台北101が位置する台北市の東側のエリアは、高層ビルや外資系の高級ホテルが密集する大都会です。
そんな大都会・台北の、台北101からわずか3㎞の位置。そこには蛍が見られる公園があります。その名は「大安(ダーアン)森林公園」。
台北市内の蛍スポットは?
大安森林公園は1994年にできた都市公園。「都市の肺」という愛称の通り、台北のど真ん中に位置する約26ヘクタールの広大な公園です。どれぐらい「大都会のど真ん中」なのかは、こちらの写真でおわかりいただけますでしょうか。

公園のすぐ横には高架道路が走り、公園の周りはタワーマンションやオフィスビルが林立…そんな場所なのです。ところが公園の中は、まるで結界で守られているかのような安息の地が広がっています。


そして公園の中央部にはビオトープが。といっても、その単語からは想像できないほど広大で、実際には動物園の巨大バードパークのような広さ。その一角には蛍鑑賞エリアがあって、毎年4月中旬~5月上旬が蛍の鑑賞シーズンです。


台湾には60種類以上の蛍が生息していると言われています。一方で、日本に生息しているのは約50種類。九州よりも小さな大きさの台湾で、日本よりも多くの種類の蛍が見られるわけです。これは…見に行かないわけにはいきませんよね?
同じく台北市内ではほかにも「榮星(ロンシン)花園公園」の蛍鑑賞が有名。こちらは大安森林公園のような広さはありませんが、そのぶん、公園の入り口から蛍の生息地までの距離が非常に近いのが嬉しい。
生態系保護のボランティアチームがとても熱心で、蛍の観賞シーズンになると毎日、蛍の出現状況をFacebookで更新してくれています。しかも10分刻みで蛍の数を数えているというきめ細かさ。頭が下がります。

蛍シーズンの週末は、18:30に公園の入口に集合すれば、ボランティアの方が蛍の生態などについて20分ほどの解説をしてくれます。事前予約は不要。
筆者も4月の週末に蛍鑑賞に行ってみました。あいにくの雨でしたが、50人以上が解説に聞き入っています。

参加した日はベテランボランティアのTobyさんという方が解説担当でした。現在台湾では60種類以上の蛍の生息が確認されていること、榮星花園公園内でよく見られる蛍はキブチボタルであること、そして蛍の雄と雌の見分け方など…。非常に勉強になります。
榮星花園公園ボランティアチームの観察記録によると、今シーズン(現時点)で最も蛍が多くみられたのは4月22日の18:55から19:05。10分間で297匹の蛍を観測できたのだとか。
この日に参加していなかったのが悔やまれる…。たまたまこの日に見に行った方の話によると、19時頃は鑑賞スポットが蛍の光であたり一面キラキラと輝き、とても幻想的だったそうです。
こちらもおすすめ!新北市内の蛍スポット
台北市のお隣の新北市では、より多くの場所で蛍が見られます。そのひとつが、MRT松山新店線の終点である「新店駅」からタクシーで10分ほどのところにある文山農場。

ここの蛍ツアーは毎年大人気のアクティビティで、筆者が参加した日は200人以上が参加していました。こちらは榮星花園公園のツアーとは異なり、ホームページからの事前予約が必要なのでご注意を。
夜18時過ぎ。集合場所は文山農場の芝生広場です。人数が多いので、ガイドさんがてきぱきとグループ分け。

グループ分けされた後、1組に1人ずつガイドさんがついて蛍に関する解説をしてくれます。19時から19時半ごろまでが蛍の発光のピークなのだそう。アップダウンがあるコースを1時間近く歩くので、結構本格的なナイトウォーキングが楽しめます。
最初は1~2匹の蛍を見つけるたびに、「わああ!!蛍いた!」と感動していたのに、多すぎて途中から反応が追いつかないレベル…。とにかく蛍が多いので、中国語の解説がわからなくても、単純にナイトウォーキングという点でも楽しめます。
そして文山農場にはグランピング施設もあります。ツアー終了後宿泊先のグランピング場に戻るときにも、ふわふわと舞う蛍をたくさん見られました。


今回紹介した公園でよく見られるキブチボタルの鑑賞シーズンは4月中旬から5月上旬まで。ですが、台湾にはクロバネボタル、アカムネクロバネボタルなどの陸生蛍も生息しており、それらは秋(9月~10月)にも、台北市郊外の虎山渓(こざんけい)歩道などで鑑賞できます。
蛍はいつから?実は先人たちの努力の賜物だった
台湾にはもともと蛍が多かったのか…というと、実は全くそんなことはありません。少なくとも都市部では。2010年代前半、台北の中心部で蛍を目にすることはほとんどありませんでした。
きっかけは、台北市の郊外にある文山区の土地について、地主が「大安森林公園の友基金会」のメンバーに、「この土地は蚊が多すぎるんだが、なんとかならないか」と相談したこと。依頼を受けたチームが現地の環境調査をしているうちに、蛍が生息している形跡が見つかりました。
蛍の生息には、清潔な水、汚染されていない土壌、光害が少なく産卵と交配に適した場所が必要です。今回の記事で紹介した大安森林公園や榮星花園公園などで、政府、企業、大学、近隣住民、ボランティアなど多くの関係者による蛍再生プロジェクトがスタートし、延べ3000人以上の人たちの手によって環境が整備されました。2013年に台北市内で蛍を放ったところ、2014年春には6種類の蛍の生息が確認でき、そこから徐々に数が増えていったそうです。
先人たちの取組から10年以上が経過したいま、一晩に300匹近い蛍が見られる日もあるほど、蛍は台北市やその周辺の都市部に定着しています。先人たちの努力に感謝をしつつ、今年も蛍観賞にいそしんでいます。いつまでも蛍が見られる環境でありますように…!
台北・新北市内の主な蛍鑑賞スポット
大安森林公園
住所:台北市大安區新生南路二段1号
アクセス:MRT淡水信義線 大安森林公園駅下車すぐ
おすすめの鑑賞時間帯:19:00~20:00
https://www.travel.taipei/ja/attraction/details/824
榮星花園公園
住所:台北市中山區民權東路三段1號
アクセス:MRT文湖線 中山國中駅から徒歩10分
おすすめの鑑賞時間帯:18:40~19:30
https://www.travel.taipei/ja/attraction/details/2069
文山農場
住所:新北市新店區湖子內路100號
アクセス:MRT松山新店線 新店駅からバスで10分、「文山農場」下車
おすすめの鑑賞時間帯:18:30~20:00
https://www.wsfa.com.tw/





