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一酸化炭素チェッカーの必要性
日常生活において、一酸化炭素について気にする機会はそう多くありません。ではキャンプ中どのようなシーンで一酸化炭素チェッカーが必要になるのでしょうか。
必要性
テント内で注意が必要な一酸化炭素中毒
「閉め切った場所で火を燃やすと、一酸化中毒のリスクがある」と耳にしたことがある人もいるでしょう。一酸化炭素中毒になると、頭痛がしたり、意識を失ったりといった症状が現れるといわれています。
一酸化炭素中毒が起こるのは密室に限ったことではなく、換気が十分でなければいつ起こってもおかしくないとされています。濃度や吸入時間によっては、深刻な被害が出ることもあるでしょう。
一酸化炭素の怖いところは、無臭・無色である点です。目に見ることも、ニオイで認識することもできず、症状が出てから初めて異常に気付くケースが後を絶ちません。
テントの付近でコンロやストーブなどを使用する場合、一酸化炭素がテント内に流れ込んでしまうおそれもあります。「テントの外だから大丈夫」と、油断するのは禁物です。
参考:日本小児科学会雑誌 「2 ルームテント内での一酸化炭素による中毒」
音や光で危険を知らせてくれる
一酸化炭素中毒の症状が現れ、身動きが取れなくなってからでは、外に這い出すことすらできないでしょう。確実に身を守るためには、事前に危険を察知することが重要です。
空気中の一酸化炭素濃度を測るには、一酸化炭素チェッカーを使用するのが一般的です。高い濃度の一酸化炭素を検知すると、音や光で知らせてくれます。
火を使うときや、車中泊をするときに設置しておけば、万が一の事態にも素早く対応できるでしょう。特に外気が冷たくなり、換気がおろそかになりやすい冬場のキャンプでは、必需品リストに入れておくことをおすすめします。
一酸化炭素チェッカーの選び方
一酸化炭素チェッカーを選ぶ際に確認しておきたいのは「検知性能」「ディスプレイ」「設置方法」の3点です。それぞれ詳しく見ていきましょう。
選び方
検知できる数値を確認する
最優先でチェックすべきなのが、検知できる一酸化炭素濃度の数値です。空気中における一酸化炭素の濃度が200ppmを超え、約2~3時間経過すると、軽い頭痛が起こる可能性があります。
そのため、一酸化炭素濃度チェッカーは、少なくとも100ppmの濃度を検知できるものを選ぶのが賢明です。
なお、厚生労働省のガイドラインによると、一酸化炭素濃度が50ppm以下に保たれることを推奨しています。
体力や体質によっては、200ppm以下の濃度でも敏感に反応する人もいるでしょう。体の弱い人や子どもが同行する場合は、50ppmから検知できるチェッカーを持参している方がよいと考えられます。
参考:厚生労働省福岡労働局 「一酸化炭素中毒に注意しましょう!」
参考:東京労働局労働基準部 健康課「建設現場における一酸化炭素中毒災害防止について」
ディスプレイの見やすさで選ぶ
一酸化炭素チェッカーの使い勝手のよさは、ディスプレイ機能によって大きく左右されるといっても過言ではありません。
例えば、ディスプレイが大きく、数値が見やすいものであれば、いちいち手に取って確認する手間がかからないため、こまめにチェックする習慣が付きやすいでしょう。
中には濃度によってディスプレイの色が変化するものもあり、数値が読み取れなくてもだいたいの濃度を把握できます。
どのようなディスプレイが見やすいかは個人差があるため、デザインや機能をよく確認した上で購入しましょう。
吊るせるタイプなど設置のしやすさも大切
見落としがちなのが、一酸化炭素チェッカーの設置方法です。計測したい場所に設置できないと、どんなに高機能なアイテムでも使いにくくなってしまいます。
アウトドアで一酸化炭素チェッカーを設置するのは、テント内や車内がほとんどでしょう。フックやストラップを付けられるタイプなら、場所を選ばず設置できます。
高い位置に設置できれば、一酸化炭素の濃度を正確に計測しやすく、数値の確認にも便利です。常に目に入る場所に吊り下げておけるため、紛失する心配もありません。
コンパクトな一酸化炭素チェッカー
「なるべく荷物を少なくしたい」という人には、小さくて軽い一酸化炭素チェッカーがおすすめです。ミニマルキャンパーにぴったりの、コンパクトなアイテムを3個紹介します。
fromseed「Cam.G Mini」
日本製センサーが搭載されたハンディータイプの一酸化炭素チェッカーです。手に収まるコンパクトサイズなので、片手での操作も簡単です。
点滅、点滅とアラームなどの組み合わせで3段階に分けて光と音で危険を知らせます。200ppmから点滅が始まるので慌てずに対応できるでしょう。
ボールチェーン付きで持ち運びしやすく、耐久カバー付きで安心です。
fromseed Cam.G Mini
PTTech「ミニ一酸化炭素チェッカー」
手のひらに収まるサイズの一酸化炭素チェッカーです。約45gと軽量なので、徒歩のキャンプでもほとんど負担を感じないでしょう。
一酸化炭素が検出されていないときは、約30~40秒ごとに緑のランプが点滅します。濃度が高くなってくると、高濃度継続時間によって、次第に警告を表す赤みを帯びた色へ変化し、最終的に大音量のアラームが鳴る仕様です。
全体的にフラットで、ストラップを付ける部分はありませんが、付属のメッシュ袋のヒモを使用し、吊り下げて設置できます。
PT&Key PTTechミニ一酸化炭素チェッカー
ビームテック「一酸化炭素チェッカー BCG1-559S」
薄型タイプの一酸化炭素チェッカーです。ボタン電池を使用するため、電池を入れても重さはほとんど変わりません。
起動後は自動で測定を始め、200ppmを超えると検知ライトが点滅し、300ppmを超えると点滅に加えてアラーム音が鳴り始めます。
コンパクト設計なので、吊るしたりテーブルの上に置いておいたりしても、邪魔になりにくいのも魅力です。
ビームテック 一酸化炭素チェッカー
耐久性に優れた一酸化炭素チェッカー
アウトドアシーンでは想定外のことも多く、使用するギアには耐久性が求められます。環境変化や衝撃に強く、安心して使える一酸化炭素チェッカーをピックアップしました。
BOSEAN「一酸化炭素測定器」
キャンプで急な悪天候に見舞われたことのある人も多いのではないでしょうか。BOSEANの一酸化炭素チェッカーは「防水防塵規格IP65」(※)を取得しているため、砂ぼこりの舞いやすい強風時や、激しい雨の日でも安心です。
※IP防水防塵規格とは?→参考:日本品質保証機構ホームページ
音・光・振動の3種類の警報で知らせ、アラーム音は危険度の高低によって2種類に分かれているので、濃度が高まる前に落ち着いて対応できるでしょう。
背面には、リングとクリップが付いています。フックやストラップでの吊り下げや、ポケットから引っ掛けることも可能です。
BOSEAN 一酸化炭素測定器
新コスモス電機「一酸化炭素検知機能付き火災警報器 プラシオ SC-735」
一酸化炭素だけではなく、煙や温湿度も計測できるチェッカーです。サイズは約7.5×7.5×5.2cm、電池を含んだ重量は約145gあり、専用のリチウム電池を使用します。
一酸化炭素濃度が100ppmになると、アラーム音と音声によって警告してくれます。危機感をあおるような音なので、よほどのことがなければ聞き逃すことはないでしょう。
火災や熱中症対策としても活用できるため「キャンプは年に数回しか行かない」という人でも、普段は自宅や車でも活用でき便利です。
新コスモス電機 一酸化炭素検知機能付き火災警報器 プラシオ SC-735
ライト搭載の一酸化炭素チェッカー
泊まりのキャンプでは、ライト機能がある一酸化炭素チェッカーが便利です。暗闇でも使いやすい、ライト搭載の一酸化炭素チェッカーを紹介します。
BOJNGEWIN「一酸化炭素チェッカー」
ディスプレイの見やすさを重視するなら、BOJNGEWINの一酸化炭素チェッカーがおすすめです。大画面ディスプレイにデジタル表示されるので、周囲が暗くてもディスプレイの表示をはっきりと読み取れます。
一酸素炭素検知だけでなく、温度と湿度も表示されます。一酸化炭素を検知すると、音で知らせてくれます。
自立はできますが、リングやクリップなどが付いていないため、吊るして使用する場合はフックや紐が必要です。
BOJNGEWIN 一酸化炭素チェッカー
CPDGROUP「Cam.G Plus v2」
一酸化炭素検知のほか、侵入検知・温湿度モニタリング・LEDランタン・非常ベル・虫除けの超音波などが付いている、多機能な一酸化炭素チェッカーです。
濃度が基準値を超えると警報が作動します。LEDランタンは最大400Lmの20段階調光が可能で、サブランタンとしても活躍してくれるでしょう。
本体サイドボタンで機能の切り替えもできますが、スマホとペアリングしておけば、より快適に複数の機能を使いこなせます。
CPDGROUP Cam.G Plus v2
一酸化炭素チェッカーを使うポイント
いかに優れた装置でも、適切に使用しなければ意味をなしません。自分や同行者の身を守るためにも、一酸化炭素チェッカーの正しい使用方法を把握しておきましょう。
使うポイント
2つ以上準備しておく
いつもは問題なく使えていても、いざというときに誤作動が起こるかもしれません。命に関わる装置でもあるので、リスク回避のために2個以上用意しておくことを強くおすすめします。
同じメーカーでそろえても構いませんが、搭載されているセンサーや仕様によって感度や耐久性が異なるため、できれば違うメーカーにする方がよいでしょう。
複数の一酸化炭素チェッカーがあれば、2ルームテントでも同時にリアルタイムでの濃度の計測に役立ちます。
高い位置に設置する
一酸化炭素チェッカーは、テント内のできるだけ高い位置に設置しましょう。見やすさや紛失防止にも役立ちますが、それだけが理由ではありません。
一酸化炭素は、空気と同程度の重さですが、温められた気体は軽くなる性質があります。つまり、燃焼により発生した一酸化炭素は、室内の上の方から充満していくといわれています。
そのため、一酸化炭素濃度をいち早く検知できるよう、人の頭よりも高い位置に設置する必要があります。車中泊ではアシストグリップや、ルームミラーを活用するとよいでしょう。
参考:厚生労働省 職場のあんぜんサイト「一酸化炭素中毒(CO中毒)[安全衛生キーワード]」
事前に動作確認をしよう
一酸化炭素チェッカーを購入したら、すぐに動作確認をしましょう。初期不良・電池残量や、故障の有無を調べるため、キャンプ前にも再度確認しておくと安心です。
また、火を起こす段階で起動に手間取ることのないよう、事前に使用方法もチェックしておきましょう。使い方が難しい装置ではありませんが、使い慣れておくに越したことはありません。
まとめ
キャンプで火を扱う予定があるのなら、一酸化炭素チェッカーを準備しましょう。一酸化炭素は色もニオイもないため、専用の装置がなければ検知できません。
一酸化炭素チェッカーを選ぶ際には、テント内の上部に設置する方が検知しやすいことから、吊り下げて設置できるものがおすすめです。また、いざというときのディスプレイの見やすさも重要です。
確かな性能を持った一酸化炭素チェッカーがあれば、一酸化炭素中毒への不安も和らぎます。できる限りの対策を取って、快適なキャンプを楽しみましょう。