
人間は毒のある植物も食べてきたというと、驚く人も多いのではないか。じつは植物の毒には制御できるものもある。たとえばワラビの苦みは有毒物質だが、アク抜きをして成分を除去すれば安心して食べられる。
猛毒で知られるヒガンバナも飢饉のときには利用された。加工してデンプンを取り出し、餅のようにして食べたという。
「毒抜き」技術に学ぶ人類生存の知恵
実際にヒガンバナからデンプンは採れるのか、実験してみた。結果は、採れる!手間のわりに量は少なかったが、昔の人たちの生きるための執念を改めて知ることができた。


鱗茎を掘り、葉は切り落とす。よく洗い泥を落とし、石で細かく潰す。ぬめりが強く非常に滑りやすい。念のためゴム手袋を着用。
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水の中に揉み出すと、白濁した粘液が出る。この濁りがデンプンのよう。ザルで漉して沈殿させる。
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上澄みを捨てたら水を入れ撹拌、今度は布で濾す。沈殿と水替えを繰り返すと白い粉だけになる。
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残った粉が本当にデンプンか、ヨード系のうがい薬で確認。褐色の液が青に変わればデンプン。
見事な青色デンプンです!

生の鱗茎約800gから乾燥重量で16gのデンプンが採れた。「たったこれだけ? 生きるって大変だったんだなあ」(ハラボー)
※ヒガンバナからデンプンを採る実験は、あくまで含有の有無の確認が目的です。採っても食べないでください!
※構成/鹿熊 勤 撮影/藤田修平 写真提供/鹿熊 勤(家庭菜園編・庭)
(BE-PAL 2025年6月号より)