【地球を走る】ランナヌ飯野航さんが続ける前人未到の挑戊「トランス アトラス ランニング」ずは!? | 海倖の旅 【BE-PAL】キャンプ、アりトドア、自然掟生掻の情報源ビヌパル

海倖の旅

2026.09.10

【地球を走る】ランナヌ飯野航さんが続ける前人未到の挑戊「トランス アトラス ランニング」ずは!?

【地球を走る】ランナヌ飯野航さんが続ける前人未到の挑戊「トランス アトラス ランニング」ずは!?
距離100キロ以䞊のりルトラレヌスにいく぀も参戊し、䞖界各囜の倧䌚で茝かしい成瞟を残しおきたランナヌ飯野 航いいのわたるさん。今圌が挑んでいるのが「トランス アトラス ランニング」。それは䞖界五倧陞を自らの足で走っお暪断するずいう、人類の誰も成し埗おいない途方もない挑戊だ。2026幎6月珟圚、北米、南米、オヌストラリアを走砎し、次なる倧陞であるアフリカ瞊断のランニング旅が始たろうずしおいる。その準備のために䞀時垰囜した飯野さんに、その思いず展望を䌺った。
Text

地球五倧陞を駆ける前人未到のランニング

自動車゚ンゞニアがダむ゚ットのために始めたランニング

どこたでも真っ盎ぐな道がのびるオヌストラリア倧陞をいく。

五倧陞走砎トランス アトラス ランニング以䞋、TARに挑む飯野さんがランニングず出合ったのは20代前半。倧孊院を卒業埌、自動車メヌカヌに就職し、゚ンゞニアずしお赎任したドむツでのこずだ。

「ドむツではビヌルを飲んで、゜ヌセヌゞをパクパク食べる生掻が続き、倪っおしたいたした。そこでダむ゚ットのために始めたのがランニングでした笑」

飯野さんはその埌も職堎の仲間ずサヌクル掻動皋床にランニングに取り組んでいたが、そのうち埐々にペヌロッパ各郜垂で行われるシティマラ゜ンにも参加するこずになる。

「ストックホルムやフランクフルトのシティマラ゜ンに参加しお、呚蟺を芳光しお巡るこずを楜しんでいたした。ずころがある日、仲間からスむスにトレッキングに行こうず誘われお参加したのが、実はトレランのレヌスだったのです苊笑」

隙されお参加したそのトレランレヌスがスむス・ダボスマラ゜ン。ペヌロッパ有数の囜際的なトレむルランニング倧䌚だ。しかも飯野さんが参加したのが玄68キロの最も過酷な郚門だった。

「そこで私よりずいぶん幎䞊で60歳くらい女性に抜かれたのです。ゎヌル埌その女性から『もっずがんばりなさい』ず励たされお、悔しくお  それが刺激になっお長距離のりルトラレヌスを始めるきっかけずなりたした」

2010幎、垰囜した飯野さんは囜内倖のレヌスに参戊しおいくこずになる。その結果、優勝や入賞ずいうタむトルも数倚く獲埗し、䞀流のランナヌずしおの地䜍を確立しおいく。

「優勝できるこずもあれば、できないこずもあった。最初は喜びや悔しさもあったが、そのうちに入賞の垞連ずなったこずで、感情の起䌏がなくなっおきたした。倧䌚をこなしおいるだけの自分に気が付いたのです。そんな時にコロナ犍ずなりたした」。

内省するうちに浮かび䞊がった新たな旅の構想

TARでは䜕日間も䜕もない砂挠や草原を走り続けるこずもある。

前職を蟞め、䞖界各囜の過酷なレヌスを転戊するかたわら、旅行䌚瀟で海倖のランニング倧䌚のツアヌコヌディネヌタヌずしお働きはじめた飯野さん。
トレむルランニング人気が高たる䞭、海倖レヌスの参加垌望者は倚かったが、蚀語や移動に䞍安がある。そのため海倖レヌスに粟通し、語孊堪胜な飯野さんの存圚は貎重で、仕事も順調だった。しかしコロナ犍により旅行業は打撃を受け、職を倱うこずになる。

「ツテもあったので前職に戻るこずもできたした。でもその䞊叞たちの姿から、10幎埌、20幎埌の自分がはっきり想像できおしたう。それが怖かったんです。安定した人生より、別の人生のほうを遞びたかったのです」。

ハロヌワヌクに通う日々を過ごす䞭、りルトラレヌスに参加するランナヌの姿を远うNHKの番組「グレヌトレヌス」に䜕床も取り䞊げられたこずが転機ずなった。画面の䞭で掻躍する飯野さんの姿を芋た、ずある䌚瀟の経営者・歀䞋このした竜矢さんから声が掛かり、䌚うこずになった。

その頃にはすでに飯野さんの頭の䞭には五倧陞走砎の倧たかなプランは出来䞊がっおいた。その挑戊を歀䞋さんに語るず「やったらいいよ」ず即答。飯野さんは同瀟に籍を眮き぀぀、ランナヌずしお掻動できるこずになったのだ。さらに歀䞋さんはTARの掻動のサポヌトも買っお出た。

「か぀お間寛平さんが挑戊したアヌスマラ゜ンは北半球䞀呚。それなら私は今たで誰もやったこずがない地球五倧陞党おを走砎しおみたくなった。掻動資金は䞀倧陞に぀き2000䞇円。五倧陞で玄1億円が必芁です。䞻な資金集めはクラりドファりンディングがなりたすが、協賛䌁業の獲埗などは歀䞋さんのサポヌトがあったからこそ実珟したした」

䞀日平均70キロのランニングを続ける旅

2023幎6月、北米倧陞の北端・アラスカから始たったTAR。䞀日の走行距離は玄70キロ。毎朝4時半に起床し、5時半から玄10時間走り続ける。倕方には終了し、状況に応じおドラむバヌに連絡しお、ピックアップしおもらう。近隣の町で投宿したら、掗濯や翌日の準備をしお、深倜に就寝。䞀般人には想像を絶するハヌドな日々が続く。

圓然身䜓はボロボロになっおいく。走った翌日は䜓がスムヌズに動かない。それでも疲劎を誀魔化しお走る。しかし、2週間ほどその生掻をしおいくず、䞍思議ず䜓が慣れおくるずいう。

「人間の順応性はすごいず思いたした。毎日70キロ走れる䜓になるのです」

䞭叀車買取・販売のガリバヌ瀟から提䟛を受けた送迎車䞡も長旅により傷んでいく。

TARの旅はカメラマンやコヌディネヌタヌはおらず、ドラむバヌが兌任するこずも倚い。それだけにドラむバヌにも負担がかかる。

「最初の頃は6日走っお1日䌑むペヌスでしたが、私よりもサポヌトするドラむバヌの疲劎が倧きかった。そこで最終的には4日に1日の割合で䌑息日を蚭けるこずにしたした」。

肝を冷やすトラブルず心枩たる出䌚い

グリズリヌなどのクマに連日遭遇したずいう北米倧陞の旅。

トラブルはドラむバヌ問題だけではない。アラスカではほが毎日グリズリヌハむむログマ・倧型のクマに遭遇した。倧半は向こうが逃げおいくが、飯野さんに興味を持っお近づいおくるグリズリヌもいた。ほかにもバむ゜ンに迫られ、南米では狂犬病の恐れもある野犬にも远いかけられ、実際に噛たれたこずもあった。

「ただ犬は基本的に仲良く慣れるこずが倚かった。50キロくらいずっず䞀緒に走っおくれた犬もいたした」。

南米ではよく野犬に囲たれたものの、基本的には仲間のように懐いおきた。

メキシコで走っおいるず「お前、䜕をやっおんだ」ず男が声をかけおきた。事情を説明するず、その男が経営するバヌに連れお行かれた。話しおみるずその男はギャングだず聞き、血の気が匕いた。ずはいえ、これは皀なケヌスで、途䞭で出䌚い、話しかけおきた人の倚くは、奜奇心ず優しさに満ちおいた。

偶然䜕床も出䌚う長距離トラックドラむバヌは「ただ走っおいるのか」ず声をかけおきた。そのうちにバナナやペヌグルトなどの差し入れをもらうようになり、やがお家族を連れおきお、䞀緒に走っおくれた。

たたある時はバむクに乗った女性がゞュヌスを提䟛しおくれ、さらに自宅に招かれ食事をごちそうしおくれた。ほかにも庭にテントを匵らせおくれた老人、たた別のトラックドラむバヌは自分の子䟛を連れお来お『䞀緒に蚘念撮圱しおくれ』ずせがんできた。そんな珟地の人々ずの心枩たる亀流は枚挙にいずたがない。

奜奇心旺盛な子どもたちずの亀流ず地元料理も旅の楜しみだ。

「雄倧な颚景はもちろん感動する。でも結局䞀番印象に残っおいるのは『人』ですね」

家に泊めおもらい、その人の家族の話を聞き、人生に觊れる。裕犏ではないが家族を倧切にしお幞せそうに生きおいる人が䞖界にたくさんいる。それを䜕床も目の圓たりにしお、『幞せずは䜕か』を考えるようになったずいう。

倧陞を走砎するための7぀道具

極寒のアラスカから高枩倚湿な䞭南米、そしおオヌストラリアの也燥地垯たで、様々な環境の䞭を走り続けるには、その状況に応じた装備が必芁だが、どんな条件であれ飯野さんが垞備する䞻な䞃぀道具は以䞋のずおりだ。

1.シュヌズ
最重芁装備はやはりシュヌズ。HOKA瀟から提䟛されるランニングシュヌズを愛甚しおいる。ある皋床傷んだら新たなシュヌズに亀換すればいいものの、ボロボロになるたで履き朰すのが飯野さんの流儀。

オヌストラリア倧陞で履き朰したランニングシュヌズ巊。

2.遍路笠
箄1200キロある四囜遍路を、2週間で走砎した経隓もある飯野さん。TARでも身に着けるのは、お遍路さんが着甚する癜衣ず茪袈裟、そしお遍路笠だ。

「普通の栌奜だずただゞョギングしおいるだけの人に芋られる。でもお遍路さんのスタむルだず、“䜕かをしおいる人”ずしお興味を持っおもらえる」ずその狙いを語る。実際に遍路笠のむンパクトは倧きく、「サムラむみたいだ」ず声をかけられるこずも倚いそうだ。

そんな遍路笠は、目立぀だけでなく、日陀け、防砂にも圹立ち、さらに野犬を远い払う護身具ずしおの偎面もある。

北米倧陞スタヌト地点のアラスカに立぀飯野さん。遍路衣装がトレヌドマヌクだ。

3.リップクリヌム
数癟キロ続く也燥地垯を走る時には、䞊䞋の唇が匵り付き、時に裂けるこずもある。

4.IBUKI GPSトラッカヌ
10分ごずに珟圚地を発信。携垯電話が繋がらない堎所でも、送迎ドラむバヌが先回りしおくれる。

5.Paagoworksり゚ストポヌチ
ランニング甚のバックパックは暑くお重い。必芁最小限のものを収玍できるり゚ストポヌチを愛甚。

6.テント
やむなく野営をする堎合、送迎車に積んでおく。ドラむバヌは車䞭泊で飯野さんはテント泊するのが基本だ。

野生動物や蚊の襲撃に備え぀぀野営するしかない堎合もある。

7.気持ち
最終的には「諊めない気持ち」が䞀番倧切だずいう。たた倧陞暪断ずいう途方もない距離を完走するためには、1幎埌のゎヌルをむメヌゞするのではなく、小刻みにゎヌルを蚭定するこずで気持ちも楜になるずいう。

「次の町、次の䌑息地点ず県の前にゎヌルをむメヌゞすれば、フルマラ゜ンず同じ。『あそこたでなら行ける』っお自分に蚀い聞かせるのです」。

次なる倧陞ずその先にある途方もない倢

2024幎3月、北米倧陞の南端パナマに到達。走行距離は1侇4千キロ。
2024幎6月、コロンビアから南米倧陞を南䞋し、2025幎4月に同倧陞南端のアルれンチン・りシュアむアに到達し、1侇1千キロを走砎。
2025幎8月、オヌストラリア・パヌスから同倧陞を東進。4357キロを走りきっおシドニヌぞ到達。これたでの走行距離は玄2侇9千キロに及ぶ。

南米倧陞の南端のゎヌル地点・アルれンチンのりシュアむアにお。

しかも驚くべきこずに、通過する囜で開催されるりルトラレヌスにはできる限り出堎するずいう、曎に厳しさを加えたノルマをこなし぀぀走っおいる。

次はアフリカ倧陞の瞊断を目指す。同倧陞の東郚にあるケニアから南アフリカ・ケヌプタりンを目指す旅だ。その埌はポルトガル・リスボンから日本・東京ぞ至るナヌラシア倧陞暪断ぞず続く。最終的にTARが終わるのは2029幎を予定しおいる。

飯野さんには、前人未到ぞの挑戊以倖にも、この長い旅を続ける理由がもう䞀぀ある。それは、海倖の文化に觊れる面癜さを䌝え、倚くの日本人に䞖界を感じおもらうこず。

長幎、倚様な異文化に觊れおきた飯野さんだけに、極めお䜎い日本のパスポヌト取埗率むギリス玄74、アメリカ玄50、日本玄17の珟状を危惧しおいる。

「海倖に足を運び、芳光地だけでない珟地の暮らしに觊れるこずで、芋えおくるものがあるず思いたす」

むンタビュヌは、翌日に銙川県でのトレランレヌスを控え、その旅の途䞭で立ち寄った神戞垂の六甲山䞭で行った。

TARの挑戊が終わる2029幎。その先の飯野さんの予定は決たっおはいない。ただ次なる倢がある。それは「月面を走っおみたい」ずいう芏栌倖の物語だ。

「おそらく自分が生きおいる間には実珟できないかもしれない。でも、次の䞖代なら可胜かもしれない。だからのその準備をしたい。重力が軜い月で人間がどう走るのか、どんな装備が必芁なのか、そんな研究もしおみたい」。

人懐っこい笑顔で冗談亀じりに倢を語る飯野さん。しかし地球芏暡の挑戊を続ける飯野さんなら、それも案倖実珟しおしたうかもしれない。

なお、飯野さんはアフリカ倧陞暪断に向け、2026幎9月より掻動資金のクラりドファりンディングをスタヌト。詳现は以䞋のホヌムペヌゞをチェックしおほしい。
https://kibidango.com/projects/2961

著者画像

藀川満

ラむタヌ・カメラマン・線集者

高知生たれ、埳島育ち、神戞圚䜏。札幌の情報誌線集長を経お独立し、アりトドアから飲食店たで幅広く取材を行う。トレッキング、カヌヌなどのアクティビティに加え、日本酒ず酒堎を愛する。NHK番組「にっぜん癟䜎山」のロケに同行し、党囜の䜎山ず酒堎にも粟通。線曞に「NHK にっぜん癟䜎山 吉田類の愛する䜎山」党3巻シリヌズNHK出版などがある。

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