世界一の急勾配を走るケーブルウェイ!映画の舞台にもなったスイス・シルトホルンの絶景を満喫 | 海外の旅 【BE-PAL】キャンプ、アウトドア、自然派生活の情報源ビーパル

海外の旅

2026.05.19

世界一の急勾配を走るケーブルウェイ!映画の舞台にもなったスイス・シルトホルンの絶景を満喫

世界一の急勾配を走るケーブルウェイ!映画の舞台にもなったスイス・シルトホルンの絶景を満喫
映画『女王陛下の007』の舞台としても知られるスイス中央部に位置するシルトホルンのケーブルウェイが、2026年4月2日にリニューアルしました。名峰アイガー、メンヒ、ユングフラウが聳え立つユングフラウ・エリア。環境を配慮型して新たに設計されたケーブルウェイのポイントや魅力、楽しみ方を紹介します。
新しくなったシルトホルンのケーブルウェイ
新しくなったシルトホルンのケーブルウェイで展望台へ。

スイスの中央に位置するユングフラウ・エリア。映画『女王陛下の007』(1969年公開)の舞台としても知られるシルトホルンエリアのケーブルウェイが、約3年の工事期間を終え、2026年4月2日にグランドオープンしました。

リニューアル前は、標高922mに位置しながら、まるで谷底のようなシュテッヒェルベルク駅から、標高2,970mのシルトホルン駅までは4区間で3回の乗り換えが必要でした。リニューアル後は1区間減り、3区間で乗り換え1回となり、所要時間も32分から22分へと短縮され、よりスムーズに移動できるようになりました。

総工費は約1億3,500万スイスフラン。日本円にすると現在のレートで約271億5,000万円。これまでの輸送能力は、1時間あたり400人でしたが、新しいケーブルウェイは800人と2倍に。レストランやホテルに運ぶ貨物などの輸送も完全に自動化されました。

世界最大の急勾配を行く

今回のリニューアルにより、第1区間のシュテッヒェルベルク駅から途中駅のミューレン駅までは、世界一急なケーブルウェイとなりました。最大勾配は159.4%(約58度)、標高差775mの急登斜面を約4分で一気に上ります。岩すれすれを通る景観には迫力があります。

標高1,638mに位置するミューレン村は、人口約450人に対して、約2,000人分の宿泊施設がある人気の山岳観光地。エンジン車の乗り入れを禁止し、電気自動車の利用により環境を保護する村としても知られています。

グリンデルワルトやインターラーケンなどのユングフラウ・エリアは、昨今、世界中から観光客が押し寄せオーバーツーリズムの問題も出てきています。しかしミューレン村は、大きなグループを受け入れず、個人旅行や小さなグループだけを受け入れる契約を村民と交わし、必要以上に過密にならないよう配慮。過ごしやすい村の環境を維持しているそうです。

谷底の絶景を望む
世界一の急勾配に設置されたケーブルウェイ。谷底に見えるのがシュテッヒェルベルク。

鉱物由来の電力を使わない環境配慮型のケーブルウェイ

ミューレン駅で乗り換えてビルク駅へ。シルトホルン駅までは風にも強く安定性がある2本のワイヤーが架けられた「フニフォー方式」で動いています。ゴンドラは2基ずつあり、これまで春、秋に実施されていたメンテナンスのための休業が廃止されました。今は、365日いつでもアクセス可能です。

主な電力は3つ。1つはゴンドラが減速するときのエネルギーを電気として回収して蓄電する仕組みです。2つ目はビルク駅にある太陽光発電パネル。3つ目はラウターブルンネン渓谷の水力発電所です。SDGsの観点から、鉱物に依存しない発電技術を備えているそうです。これには驚かされました。

2本のワイヤーで進むフニフォール式のシステムを採用
2本のワイヤーで進むフニフォー方式のシステムを採用したケーブルウェイ。

シルトホルンに行くにはビルク駅で乗り換えます。展望台とレストランからは、アイガー、メンヒ、ユングフラウの絶景を望めます。ここには空中に浮かんでいるような展望台デッキ「スカイライン・ウォーク」や、切り立った崖に作られた遊歩道「スリルウォーク」があるので、ぜひ出かけてみてください。

ビルク駅から見るアイガー、メンヒ、ユングフラウの絶景
ビルク駅のデッキからは、アイガー、メンヒ、ユングフラウの絶景を望めます。

絶景のシルトホルンへ

アルプスの中を走りシルトホルンへ向かうケーブルウェイ。そこから見る壮大な景色に、心が洗われるような気持ちになりました。そんな風景を写真に残すのも楽しみのひとつです。

シルトホルンへ向かうケーブルウェイ
シルトホルンへ向かうケーブルウェイ。美しいアルプスのパノラマを一望。

シルトホルンの展望台と回転レストランの「ピッツ・グロリア」は、1969年に公開されたジェームス・ボンド・シリーズ6作目『女王陛下の007』の撮影用セットとして建設されました。

回転レストランのピッツ・グロリア
回転レストラン、ピッツ・グロリアには、お土産物店やカフェなども併設されています。

回転レストランでは、アイガー、メンヒ、ユングフラウなどアルプスの雄大な景観を見ながら食事やお茶を楽しむことができます。

ベルン方向なども含めて360度の景色を楽しめる席
ベルン方面なども含めて360度の景色を望みます。
牛肉のワイン煮込みとポレンタと温野菜
おすすめは、牛肉のワイン煮込みとポレンタと温野菜。
スイスの赤ワイン
希少なスイスの赤ワイン。標高が高いので飲みすぎに注意です。

ピッツ・グロリアには、007の世界観を体験できるボンド・ワールドの展示場があります。撮影シーンを記録した写真や絵コンテ、動画が展示された体験型の施設になっています。1969年公開の古い映画になりますが、現在の景色とロケ地を比較してみると楽しいと思います。

007の展示場
007映画の世界に引き込まれるボンド・ワールドの展示場。

冬の楽しみ方

シルトホルンエリアにはスキー場が広がっており、スキーやソリ、ウィンターハイキングもできます。アイガー、メンヒ、ユングフラウの絶景を見ながらのアクティビティは最高の体験となります。

絶景の中でスキーを楽しむ人々
絶景の中でスキーを楽しむ人々。

ミューレンではパラグライダーもできます。インストラクターが撮影してくれた写真や動画もサービス料に含まれています。私が出かけた日はあいにくのお天気でしたが、それでも谷や崖の上を飛び、迫力ある体験をすることができました。ラウターブルンネン谷は氷河が後退しながら形成されたU字谷として知られています。ここは、映画『ロード・オブ・ザ・リング』のほか、小説『アルプスの少女ハイジ』の制作時のイメージ元とされています。晴れていればアルプスが見え大きな感動を得られることでしょう。夏は混雑するので予約が必須。比較的、空いている秋や冬がおすすめです。冬に行く場合は、安全な靴やヘルメットのレンタルがあります。

ラウターブルンネンの谷
氷河が削られてできたラウターブルンネンの壮大な谷。

夏の楽しみ方

夏の楽しみといえばハイキング。6月後半から7月上旬のミューレン周辺のお花畑は最高に美しく、私のイチオシです。牧草地にタンポポやキンポウゲが咲き乱れ、氷河に覆われたアルプス、青空、牧草地の緑やお花の黄色や白のコントラストに感動します。例年7月上旬には牧草が刈られてしまうので、その前がおすすめ。上空にはケーブルウェイが走っています。

ミューレンの奥にあるハイキングエリア
お花畑とアルプスの景色が美しいミューレンの奥にあるハイキングエリア。

アイガー、メンヒ、ユングフラウの北壁を眺めながらハイキングができる「ノースフェイス・トレイル」。コースは、ミューレンを拠点に、ショートカットを含めてたくさんあるので、体力と相談しながら歩けます。牛が放牧されているミューレンエリアの牧歌的な雰囲気を楽しめます。

ミューレン周辺のノースフェイストレイル
ミューレン周辺のノースフェイス・トレイルに広がる牧草地を歩けば気分爽快。

ケーブルウェイ横のおすすめホテル

ユングフラウ地方の雄大な山々が目の前に広がり、崖の上にたたずむミューレン村。EV以外の自動車は乗り入れ禁止なので、空気が澄んでいます。大きな山岳観光地域をあえて外し、静かでのんびりとしたミューレンでの滞在もおすすめです。ホテル・アルペンルーは、シルトホルンへ上るケーブルウェイ駅のすぐ隣という便利なロケーションにあります。

ホテル・アルペンルー
ホテル・アルペンルーの向こうに聳えるアイガー。レストラン内からは、ユングフラウの3つの名峰が見えます。

夕食にはスイスの伝統料理レシュティをいただきました。レストランによって味付けは異なりますが、ジャガイモとチーズ、スグリのジャムのコンビネーションがとても美味しかったです。

スイス伝統料理レシュティ
ジャガイモがカリカリで美味しい、ホテルレストランでいただいたスイス伝統料理のレシュティ。

ホテル・アルペンルーは、山岳ロッジ風の作りで、木の温もりがあふれる内装もいい感じです。なにより立地がいいので、村への散策やシルトホルンへのアクセスも快適でした。

ホテルの部屋
ホテルの部屋は、水回りや床なども新しく、清潔で落ち着いた雰囲気がありました。

お得な交通パスを使ってスイスの旅を快適に

スイス旅行のハイライトのひとつは鉄道やバス、船を使い風景を楽しみながら移動すること。「スイストラベルパス」を利用すれば、スイス全土の主な公共交通機関が乗り放題になります。このチケットには、様々な種類があり、旅のスタイルに合わせて便利なものを選ぶことで、さらにお得になります。旅行中にその都度、切符を買う手間が省け、効率よく快適に移動を楽しむことができます。チケットの種類によってはケーブルウェイや登山鉄道などの山岳交通が半額になったり、美術館や博物館が無料になることも。スイス旅行には欠かせないおすすめのチケットです。

春夏秋冬アルプスの絶景を楽しむことができるスイス。この夏にスイスを訪れる計画がある方は、ぜひ新しくなったシルトホルン・エリアへ足を運んでみてくださいね。

取材協力

西村志津さん

日本山岳ガイド協会認定登山ガイド&スキーガイド・NLPヨガ講師

スイス在住、2児の母。国際マウンテンリーダー。スイスの山岳観光地やアクティビティ、ギア、トレンド、文化をお伝えします!オンラインにてヨガやマインドフルネス体験を発信中。心と体のメンテナンス方法もお届けしています。より快適な山行のお手伝いができればうれしいです。美味しいものとカフェ巡りが好き。スイスと日本の架け橋となる活動に努める。instagram:seas_yoga_hiking_skiing

あわせて読みたい

ヨーロッパ最高地点の鉄道駅ユングフラウヨッホへ最速!アイガー・エクスプレス誕生!

ヨーロッパ最高地点の鉄道駅ユングフラウヨッホへ最速!アイガー・エクスプレス誕生!

スイス在住ガイドに聞いた!ノルウェー、スウェーデン、スイス、アイスランド、アルジェリアのキャンプ事情

スイス在住ガイドに聞いた!ノルウェー、スウェーデン、スイス、アイスランド、アルジェリアのキャンプ事情

5月なのに雪?スイス・レマン湖地方に咲く伝説の花

5月なのに雪?スイス・レマン湖地方に咲く伝説の花"ナルシス"に魅せられて

NEW ARTICLES

『 海外の旅 』新着編集部記事

アウトドアの聖地ユーコンでテント泊デビュー! その顛末は!?

2026.05.13

【台湾】こんな大都会の近くに!?台北周辺でホタル鑑賞できるおすすめ自然スポット3選

2026.05.09

自転車で台湾一周旅!何度でも挑戦したいと思わせる「環島」の魅力とは?

2026.05.07

海のサファリ体験!南アフリカ・ハマナスで楽しむ雄大なホエールウォッチング

2026.05.07

レマン湖に突き刺さる巨大フォークのほとりで堪能する、スイスの歴史探訪ウォーキング

2026.05.06

ビーチ王国!オーストラリア・タスマニア島で「世界最高の秘境ビーチ」へ

2026.05.05

巨大な松ぼっくりも!世界の植物が集まるポルトガルの「モンセラート宮殿」へGO

2026.05.05

舞台はグアムの「風が吹く山」。一年に一度、2万人近くが一斉に山頂を目指す早朝トレッキング

2026.05.05

アウトドアの楽園!人気急上昇中のタスマニア「ブルーニー島」へ

2026.05.04